「大変なこと? なかったですね」国内有数のCGスタジオが低予算アニメに本気を出したら…

    「監督のコンテを拝見して理解しました。『これは、好きにやっていいやつだ』と!」

    ハリウッド困惑のプロジェクト…異色の映画「DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団」が10月21日に公開されます。

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    もう、ビジュアルだけで何なんだ!? ですが、バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンなどDCスーパーヒーローズの精鋭たちを集めた「ジャスティス・リーグ」の面々が東京へ。

    あのアメコミヒーローたちと「鷹の爪団」がスクリーンの中でコラボするのです。ほ、ほんとです! 嘘じゃないよ!

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    DLEが制作するフラッシュアニメシリーズ「鷹の爪」。このゆる〜い絵面に誰もが知ってるアメコミヒーローたちがどんどん登場する違和感…

    世界のDCとのコラボということで予算がアップしたのか(?)ハイクオリティなアクションシーンもございます。

    2DアニメパートはGONZO、3D CGパートは「シン・ゴジラ」のCGメイキング動画でも話題を呼んだ、国内有数のCGスタジオ白組が担当。

    日本でオリジナル開発したバットマン印のロボット「バットモービル」の変形&バトルシーンが最高にクールです。

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    オリジナルロボットを許してくださるなんて、DCさん心が広いですね!「許諾、なんとなくとれました」(関係者談)

    説明しにくいので詳しいことは予告編を見てもらうとして、BuzzFeed NewsはスーパークールなCG制作を担当した白組にインタビュー!

    無駄に……いえ、作品をワンランク上に押し上げる、カッコよすぎるアクションシーンの制作の裏側、聞いてきました。

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    Haruna Yamazaki / BuzzFeed

    左から、谷直也さん(テラバイト)、河村友宏さん、板橋貴之さん(テラバイト)、田中尚美さん

    「これは好きにやっていいやつだ!」

    ――発表時にもかなり話題になった異色作ですが、白組にはいつごろお話があったのでしょうか?

    河村:打診があったのは1年以上前ですね。以前にもDLEさん(「鷹の爪」シリーズの制作会社)とはお仕事していて、その流れでお声掛けいただきました。最初に話を聞いた時は「どういうコラボ?」と頭が混乱しましたが……。

    その段階でバットモービルのスケッチはすでにあって、これが変形するという説明を受けました。

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    最初期のスケッチ

    その後、監督のコンテを拝見して、やるべきことを理解しました。「これは、好きにやっていいやつだ」と!

    ――それはどういう意味ですか?

    河村:あ、せっかくなので、実際のコンテ、見ます? FROGMAN監督はセリフも入ったビデオコンテの状態でくださるんですけど……こんな感じで文字だけでざっくり指示が。

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    変形!ギューン(文字)

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    ミサイル?もしくはビームとかでかっこよくやっつける!!(文字)

    ――こ、これは確かに「好きにやっていいやつ」感が出てますね。

    河村:そうでしょ(笑)。戦ってるシーンも「ヤー! トー!」って声だけ入ってておまかせでした。

    監督からはトランスフォーマーのような速い変形がやりたいとあったので、イメージを汲んで、谷くんと相談しながら動きを作っていきました。とにかくカッコよく! 派手に!

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    河村さんと板橋さん。手前にあるのはデザイン検討中のラフ

    すべては「箱」から始まる

    ――初歩的な質問なのですが、そもそもデザイン画の状態からどうやって3Dにしていくんですか? 当然、パーツの変形や合体の動きも事前に考えなくてはいけないですよね。

    板橋:いわゆる「モデリング」という作業ですね。最初はすべて、箱です。

    ――箱?

    板橋:モデリングの手法も今は多様化しているのですが、今回はオーソドックスなやり方。全てのパーツをこの直方体を削り出して作ります。

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    こんな箱

    ――え、そうなんですね! 仏像みたい……?

    板橋:このパーツがここにこうやって移動する、という動きのイメージを動画で作ってから、必要なパーツをひとつずつ組み上げていきます。イラストのイメージを残しつつ、リアルな描写の世界に放り込んでも違和感がないように調整していきました。

    作業中の画面で見ると、パーツごとの動きがわかりやすいです。

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    同じ色のパーツで見比べてください。例えば手前の黄色いタイヤが…

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    くるっとこんなところへ。

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    見えにくいですが、タイヤは肩のあたりに来ています

    谷:最終的には、戦ったり走ったりしやすいように、デザイン画より安定感を出しています。重心を下げたり、足を太めにしたり。

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    バットマンモービルからロボットへ。検討段階の変形モーション

    観る人をびっくりさせたい

    ――時間でいうと約1分程度とのことですが、かなりの迫力で見入ってしまいました。

    谷:うれしい感想ですね、見た人にびっくりしてほしい、「おおおっ!!」となってほしい! と思いながら作っていました。

    ――特にここ! というシーンはありますか?

    谷:ダイナミックに見えるよう、細かい動きはいろいろつけています。

    例えばここ、手を道路に叩きつけた反動でボディを浮かせてジャンプしているんですが、この一瞬があると見応えがあるんですよね。

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    作業中の画面で見るとこんな感じ

    変形って、スムーズにやりすぎると面白くないんです。常に画面の中の何かが動いていて、目まぐるしさがあることは意識しました。

    あと、透明な手裏剣を持たせているのも見てほしいポイントです。おもちゃ化した時にプラスチックで付属品にできるぞ! と思ってました(笑)。

    河村:気が早い(笑)。

    ――おもちゃ化まで見据えて!

    「大変なこと? なかったですね」

    谷:ケンタウロスと戦わせる殺陣のシーンも作ってて楽しかったです! ヘリから撮ってる風の空撮のカットを挟んでみたのもこだわりですね。カッコよくないですか?(※こちらは映画館でご覧ください)

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    パーツを組み合わせ、動きを作り、エフェクトを付けていく様子をまとめたメイキング動画。砂埃や火花で迫力が出る!

    ――これだけ一気に動かすなんてすごい労力ですよね……?

    谷:いやいや、そこが楽しいんですよ! 自分の頭で思い描いたものが気持ちよく動かせるとうれしいです。

    画面にあるものは全部、トラックから道路に落ちたダンボールのひとつずつまで、ゼロからモデリングして作っています。本当に一瞬しか映らないですが。

    ――大変そう、と素人目には思っちゃいますが、さっきから谷さんずっと笑顔ですね。

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    懇切丁寧に説明してくれる谷さん。実際の制作工程の大部分を担当

    谷:そうですか?(笑)確かに今回、苦しかったこと、全然ないですね。

    板橋:ここまで自由にやらせてもらえる仕事ってあんまりないので、スタッフの間でもストレス発散……じゃないですが「好きにやれるー! 楽しいー!」という空気はありました。

    ――映画の中では正直「え、急にカッコいいシーン始まった!?」という衝撃であっというまに終わってしまったのですが、今日のお話踏まえてもう1回見たくなってきました。

    谷:ぜひぜひ。手裏剣と道路に散らばった段ボール、チェックしてください。

    河村:「鷹の爪」シリーズって、家族みんなで見れるアニメでありながら、その時その時の時勢を汲んだテーマがありますよね。あ〜面白かった、大爆笑、で終わらず、監督が伝えたいテーマやメッセージがあるのが魅力だと思います。

    今回もただイロモノだと思わず……いや、今回は特にイロモノなんですが(笑)足を運んでもらえたら、そしてCGにびっくりしてもらえたら、うれしいです。

    BuzzFeed JapanNews