アプリ婚と言えず、とっさにうそ 「バツ悪い」「いかがわしい」親にも伝えない人が多数派に

    「出会いのきっかけがアプリだと親に伝えない」が42.6%ーー。人々はなぜ、「アプリ婚」を隠すのか。

    「普段の生活では縁がない人と出会える」「気軽に会える」などを理由に、急速に利用者を増やしてきたマッチングアプリ。

    2022年に結婚した人に「出会いのきっかけ」を聞いた調査では、5人に1人以上が「マッチングアプリ」と回答するなど、結婚に至るケースも増えている。

    しかし、「イメージが良くない」「世間体が気になる」といった理由から、アプリで出会ったことを親に隠したり、結婚式で伏せたりする人も少なくない。

    BuzzFeed JapanがYahoo!ニュースと共同でアプリ経験者1000人に向けて行ったアンケートでは、「出会いのきっかけがアプリだと親に伝えるか」という質問に対して、「伝えない」と答えた人が42.6%を占めた。

    人々はなぜ、「アプリ婚」を隠すのか。

    アプリ婚と言えず、とっさについた嘘

    32歳の女性は2021年、アプリで出会った男性と結婚し、現在は都内で1歳の息子と3人で暮らしている。

    同い年の独身の友人はほとんどがアプリを使っている。だが、親にはアプリ婚であることを隠してきた。親がアプリを一昔前の「出会い系サイト」と同じような感覚で見ているに違いない、と感じていたからだ。

    さらに、交際期間が短かったこともあって、「ネットで出会った何も知らない人と半年も経たず結婚なんて…」と心配される様子が頭に浮かび、夫とどこでいつ出会ったかは一切話さないようにしてきた。

    夫は金融業界で働いていて、女性とは仕事上の接点はない。母から「金融業界の人となんてよく出会ったね」と言われたことがある。

    「金融で働く友だちが紹介してくれた」。

    口から出たのは、とっさの嘘だった。

    アプリ婚だと親に「伝えない」は42.6%、「伝える」は32.2%

    「アプリで出会ったと言いにくい」と感じている人は少なくない。

    BuzzFeed Japanは4月6日〜7日、Yahoo!ニュースと共同で、アプリを利用したことがある18歳から49歳の1000人を対象にアンケートを行った。回答者の内訳は、世代別では10代が1%、20代が13%、30代が32%、40代が54%で、性別では女性が37%、男性が60%だった。

    「出会いのきっかけがアプリだと親に伝えるか」という設問では、「伝える」が32.2%で、「伝えない」が42.6%だった。

    このうち、アプリをきっかけに実際に「婚約・結婚」をした41人の回答に絞ると、「伝えた」が25.6%で、「伝えなかった」が38.4%、「覚えていない」が30.7%だった。

    いずれも、「伝えない・伝えなかった」が多数派を占めた。

    親だけではなく、親戚や職場の上司や同僚、友人など多くのゲストを招く結婚式では、「公表しない」とする人がさらに増える。

    「出会いのきっかけがアプリだと結婚式で公表するか」と尋ねたところ、「公表する」が24%で、「公表しない」が53%だった。

    こちらも、アプリをきっかけに「婚約・結婚」をした41人の回答に絞ると、「公表した」が10.2%で、「公表しなかった」が48.7%、「覚えていない」が28.2%、「結婚式を挙げていない」が5.1%だった。

    それでは、「親に伝えない」及び「結婚式で公表しない」と回答した人は、出会いのきっかけをどのように話すのか。

    「親に伝えない・伝えなかった」と回答した人に尋ねたところ、「ネットで出会ったとオブラートに包む」など曖昧に伝えるという声や、「相手と話し合って口裏合わせをした内容を話す」「仕事で出会ったと話す」など嘘をつくという声が寄せられた。

    「結婚式で公表しない」という人は、親に伝えない場合の対応と同じく、曖昧に伝えたり嘘をついたりするという回答が多かったほか、結婚式ではそもそも出会いのきっかけに触れないとする回答も目立った。

    「バツが悪い」「世間体を考えて」

    「親に伝えない」及び「結婚式で公表しない」理由から浮かび上がってくるのは、アプリに対する偏見や抵抗感だ。

    「親に伝えない」と回答した人に理由を尋ねると、アプリへのネガティブな印象を懸念している実態が浮かび上がった。

    最も多かったのが、アプリへの理解やイメージに対する親世代との「ジェネレーションギャップ」を懸念するものだ。

    「親世代はネットでの出会いにポジティブな印象を抱いていない」や「親世代はまだまだアプリへの信用度が低い」「怪しいと思われる可能性がある」などの声が寄せられた。

    一方で、「自分自身、アプリでの出会いはバツが悪い」など、その人自身もアプリにネガティブな印象を持っていることが伺える回答もあった。

    「結婚式で公表しない」理由には、「公表したくない」という気持ちの程度に温度差があることが分かる結果になった。

    「特に公にする必要がない」「聞かれたら言うくらい」など積極的には公表しないという回答がある一方で、「世間体を考えて」「全ての人がアプリの出会いに好意的であるとは限らないから」などゲストへの印象を気にしている様子が明確に表れている回答も多かった。

    「恥ずかしいという意識はない」

    では逆に、アプリ婚を「親に伝える」「結婚式で公表する」と回答した人は、何を思っているのか。

    回答は、2つの傾向にくっきりと分かれた。

    一つは、やはりアプリへのネガティブな印象を懸念しつつ、それでも「親に伝える」「結婚式で公表する」とするものだ。

    寄せられた声には、「下手に隠すとめんどくさそう」「言えないような結婚はしたくない」「公表して周囲から納得してお祝いされた方が嬉しいから」などがあった。

    もう一方は、その人や周囲にアプリに対する偏見や抵抗感が少なく、「隠す必要を感じていない」というものだ。

    「アプリでの出会いは別段恥ずかしいという意識はない」「両親もアプリに対して抵抗がない」「今現在上手くいってるかどうかが重要なのであって出会ったきっかけが何であろうと全く関係がない」という声が寄せられた。

    現在アプリで婚活中の29歳の女性は「アプリでの婚活の進捗を逐一、母親に報告している」と話す。

    母親の隣でアプリを開いて、「この人どう思う?」などと、やりとりをしている相手について相談することもある。母親も「結婚に出会いのきっかけなんて関係ない。とにかく良い人を見つけてくれれば」と背中を押してくれているという。

    子どもの「取り越し苦労」のケースも

    BuzzFeed Newsは今回、アプリ婚をした10人の男女に取材をした。実はその中で多く見られたのが、子どもが想像するほど親はアプリへの抵抗感がなかった、すなわち「子どもの取り越し苦労」だったケースだ。

    26歳の女性は2020年、アプリで知り合った男性と、妊娠が発覚したことをきっかけに、結婚をした。

    「アプリで出会った人と授かり婚」と伝えたら良い顔をされないんじゃないか──。そんなプレッシャーを感じ、最初は双方の両親に「飲み会で出会った」と伝えた。

    だが、その後「本当のことをきちんと話した方がいいんじゃないか」と夫婦で考え直し、打ち明けることにしたという。

    夫の両親との顔合わせでのこと。

    「アプリで会ったって聞いたんだけど、息子の自己紹介って何て書いてあったの?」

    夫の父に冗談っぽく尋ねられ、驚いた。

    初対面の夫の親戚からも「どのアプリ使ったの?会社の人からも聞かれちゃって…」と話しかけられるなど、周囲の意外な反応に、心の重りが取れたという。

    冒頭で紹介したアプリ婚を親に隠した女性も、最近は「もしかしたら正直に打ち明けても問題なかったかもしれない」と感じるようになった。

    どうやら親同士での会話でもアプリの話題が出てくることが増えているようで、「あの子もアプリで結婚したみたいよ」などと話をしてくることがあったからだ。

    女性はこう話す。

    「私たち世代にアプリで結婚している人が増えて、親世代もそういう会話をするようになって、こうやって段々と抵抗が減っていくのだろうなと感じています」

    専門家「ネガティブなイメージは確実に減っていく」

    アプリに対するネガティブなイメージの背景には何があるのか。

    マッチングアプリの専門メディア「マッチアップ」編集長の伊藤早紀さんはこう分析する。

    「マッチングアプリはこの数年爆発的に伸びてきたサービスなので、親世代などはまだインターネットで見ず知らずの人と出会うことに抵抗を感じている」

    2000年代に詐欺や援助交際など犯罪の温床として問題となった「出会い系サイト」の存在も、要因にある。

    だが、伊藤さんはこうしたイメージは徐々に払拭されていくと見ている。

    「アプリが先に普及した米国では結婚したカップルの3分の1がアプリで出会っていると言われており、日本でも今後さらに普及が進んでいくと考えている。身近にアプリで恋人ができたり結婚したりする人たちが増えていくことで、より当たり前の出会いとして捉えられるようになるだろう」

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    この記事は、BuzzFeed JapanとYahooニュースによる共同連携企画です。