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「欧州が粉砕したコオロギをピザ等に必ず入れると決定」拡散した情報は誤り。昆虫食をめぐって、EUの実際の動きは…

欧州における昆虫食の動向をめぐって、「欧州決定。コオロギ、必ず入れます」と記載された画像ツイートが拡散。欧州委員会は近年、昆虫を「新規食品」として相次いで承認しているものの、こうした事実はありません。

欧州が粉末状のコオロギなどの昆虫をピザやパスタなどに「必ず入れる」と決定した、という趣旨のツイートが拡散している。

欧州連合(EU)の政策執行機関・欧州委員会は2021年以降、冷凍・乾燥・粉末状のイエロー・ミルワーム、トノサマバッタ、コオロギを食用原料として正式に承認し、EU域内での販売を許可している。今年1月には、部分脱脂粉末状のコオロギと冷凍・乾燥・粉末状のレッサー・ミルワームを新たに追加した。品目ごとに許可される用途は異なるものの、ピザやパスタなどに使われる可能性も想定されている。

しかし、欧州委員会はあくまで販売を許可しただけであり、食品に昆虫を「必ず入れる」と決定した事実はない。拡散した情報は誤りだ。

人口増加による食糧危機などを背景に近年、代替タンパク質源の一つとして昆虫が世界的な注目を集めている。

今回Twitterで拡散したのは、1月28日午前に投稿された以下のツイート。

EU全域でピザ、パスタ、シリアル、ビスケット他に粉砕されたコオロギなど "虫の添加物 "を加えることが決定した。→ → 既成事実化「お前らはもう虫が食えるので、農場(肉)はいらない」という流れにもっていくようです。ヤツラは、本気。

添付された画像には、コオロギが含まれているとされる食事をフォークで口に運ぶ女性の写真と共に、「欧州決定。コオロギ、必ず入れます」という文言が記載されている。

また、ツイートには、保守系の金融ニュースサイトZero Hedgeの英語記事のリンクも貼られている。

投稿は2月7日午前時点で、5000リツイート、1万いいねされており、116万回以上表示されている。

昆虫食品をめぐる欧州委員会の決定は

リンク先の記事は、Zero Hedgeが、保守系ニュースサイトSummit Newsによる1月25日の記事「粉砕された昆虫の“添加物”は現在、EU域内のピザ、パスタ、シリアルに含まれている」を転載したもの。

他メディアを引用しながら、欧州委員会が1月24日に部分脱脂粉末状のコオロギの販売を許可したことや、それに対する懸念などについて紹介している。

だが、拡散したツイートが記すような、欧州がピザやパスタなどに粉末状のコオロギなどの昆虫を「必ず入れる」と決定した、という趣旨の記述はない。

次に、欧州委員会の公式ウェブサイトを確認をした。

欧州委員会は2021年以降、複数の昆虫食品を、安全が確認された「新規食品」として承認し、EU域内での販売を許可している。

これまで、欧州委員会が承認した昆虫食品(リンクはそれぞれの欧州委員会実施規則)は以下の通り。

各食品の実施規則の内容を確認したが、いずれもEU域内での販売を許可するという内容に留まり、「食品に必ず入れる」などという趣旨の内容はない。

さらに、欧州委員会は同ウェブサイト内で、「どうして私たちは昆虫を食べるべきなのか?」という質問に対して、「昆虫を食べるか食べないかは消費者が決めることだ」と明言している。

こうした点から、欧州がピザやパスタなどに粉末状のコオロギなど昆虫を必ず入れると決定したという事実はなく、拡散したツイートは誤りだ。

🦗🐛 Whether a snack or a food ingredient, did you know there are currently three insects authorised in the EU 'novel food'? ‘House cricket’, ‘yellow mealworm’ and ‘migratory locus’ are the three types of insects authorised as ‘novel food’ in the EU market. 👇

Twitter: @EU_Commission

なお、各食品の欧州委員会実施規則には、▽許可されている使用用途および各用途に対して使用できる量▽商品ラベルに記載するべき文言、なども定められている。

たとえば、部分脱脂粉末状のヨーロッパイエコオロギは、「雑穀パン」や「ビールのような飲み物」など17項目での使用が許可されている。その上で、パスタ類100グラムあたりには2グラム、ビスケット100グラムあたりには1.5グラムまでなどと使用量の制限が指示されている。

商品ラベルについては、消費者が誤って購入しないよう、商品上に「ヨーロッパイエコオロギの部分脱脂粉末」と記載した上で、成分表の近くにはアレルギー反応を誘発する可能性を知らせる表示を行うことを求めている。

SNSなどで拡散する画像やニュースには、根拠がはっきりしなかったり、誤ったりしている情報も多くある。拡散には注意が必要だ。


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