「産むか産まないかの選択を、なぜ他人が決めるのか」ある女子高生の卒業スピーチがSNS上で賞賛

    妊娠6週以降の中絶を禁止する「ハート・ビート(心音)法」に抗議するスピーチが反響を呼んでいる。

    テキサス州のレイクハイランズ高校で卒業生総代に選ばれたパクストン・スミスさん。彼女の卒業スピーチが、ネット上で話題を呼んでいる。

    Paxton in her graduation robes
    Christina Smith

    学校の方針で、スミスさんはスピーチの内容について事前に承認をもらわなければいけなかった。そこで当日は、別に用意していた「ハート・ビート(心音)法」についてのスピーチを読み上げた。

    Sergio Flores / Getty Images

    ハート・ビート(心音)法とは、近親相姦や強姦であっても、妊娠6週以降の人工妊娠中絶を禁止するもので、同州において抗議や反対の的となっていた。

    保守派が人口の多くを占めるテキサス州の高校に通っていたスミスさんは、ニュースの内容によっては、学生の間でたまに政治の話をすることがあったそうだ。

    だが、(女性の)性や生殖に関する権利、中絶の権利についてでさえ、地元メディアではあまり取り上げられることがなかった、と話す。

    大反響を呼んでいるスピーチの中でスミスさんは、6週間という時間がいかに短いか、6週間ではほとんどの女性は自分が妊娠しているとは気づかない、と卒業生たちに向かって説明している。

    Tim Rogers / YouTube / Via youtube.com

    「感情面、身体面、金銭面で、安定して臨月を迎えられるか決める機会を得る前に……」

    「……この世界に新しい命を生む責任が取れるか決める機会を得る前に、知らない人があなたのためにその決定をするのです」

    事前承認されたスピーチをやめて、ハート・ビート(心音)法について話そうと決めたのは、卒業式の10日前くらいだった、とスミスさんはBuzzFeedに話す。

    スミスさんは、同法のことが気になりすぎて、課題に集中できなかったという。この計画を知っていたのは両親だけだった。

    物議を醸している話題であるため両親は不安だったが、最終的には支持してくれた。

    そしてスミスさんは、自分自身のこと、同級生たちのこと、みんなが抱いている夢について話し始める。

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    「私には夢、希望、野心があります。今日卒業するみんなも同じです。これまでの人生で、私たちは自分たちの将来に向かって努力してきました」

    「そして私たちの意見も聞かずに、同意も得ずに、私たちの将来に関する権利が私たちから奪われました」

    この時点で聴衆が歓声を上げ始めた。同級生やSNS、職員からの反応の多くは、好意的なものだった、とスミスさんはBuzzFeedに答えている。

    その夢が奪われ、将来の希望やこころざし、努力がもはやどうでもよいとされるのが怖い、とスミスさんは訴える。

    Tim Rogers / YouTube / Via youtube.com

    「それがどれほどゾッとすることか考えてみてください。自分自身の体に関する権利を奪われることが、どれほど非人間的か考えてみてください」

    スミスさんは高校で、ボランティアクラブに所属していた。そこで、ひとりでもできることの大きさを実感したことも、彼女を今回のスピーチへと後押しした。

    この問題を取り上げるのにこの日を選んだ理由を、スピーチの最後にスミスさんは話している。「私のような声、女性の声に一番耳を傾けてくれるだろう日だと思ったから」

    Tim Rogers / YouTube / Via youtube.com

    「私の体に関する戦い、私の権利に関する戦いが行われているときに、平和や現状に満足しているなどと語ることはできません」

    「母たちの権利に関する戦いで、姉や妹の権利に関する戦いで、娘たちの権利に関する戦いです。私たちは黙ってはいられません」

    スピーチのあと、学校関係者と思われる女性数名に脇へ呼ばれ、卒業証書の保留を検討していると告げられた、とスミスさんは話した。

    だが、証書を取り上げられることはなく、それ以来、学校からは連絡はない。

    @thehippiechickさんがTikTokに投稿した動画はすぐに話題になり、Twitterへと広まった。SNS上では、スミスさんの勇敢さと雄弁さに称賛の声が上がっている。

    Paxton Smith bypassed what was “approved” to do what was right. May our established leaders find the bravery of this young woman. https://t.co/fXpxsx2CF7

    Twitter: @IAmPoliticsGirl

    「パクストン・スミスさんは正しいことをするのに、承認されたスピーチを無視しました。この若い女性の勇敢さが、指導者たちの目に留まりますように」
    否定的なコメントは2件しか見ておらず、オンラインでの反応はほとんどすべて好意的だ、とスミスさんは話している。

    メディアからの反響も数え切れないほどあり、全面支援している両親が代わりに取材に応えているほどだ。

    スミスさんのことを、米テキサス州議会よりも勇敢と呼んでいる人もいる。

    Paxton Smith is braver than the entirety of the Texas legislature. https://t.co/h2xugWGded

    Twitter: @debsbasement

    「パクストン・スミスさんは、米テキサス州議会よりも勇敢」

    「スピーチが一気に広まり、落ち着いて考える時間は持てていないが、テキサス州や全米で、たくさんの人が中絶権を話題にし、認識し始めて興奮している」とスミスさんはBuzzFeedに話している。

    Sergio Flores / Getty Images

    スミスさんに、スピーチを聞いた人たちにどうしてほしいかを訊ねたところ、「地方選挙や州選挙で投票してほしい」と彼女は話す。

    今回のような法にいちばん効果があるのは、選挙での投票だからだ。

    動画(英語)はこちらから。スミスさんのスピーチは、4分30秒あたりから始まる。

    YouTubeでこの動画を見る

    youtube.com

    スミスさんは、9月からテキサス大学オースティン校に進学する。

    女性の権利を追求し続ける予定で、メディアや音楽にも関心があるという。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan