持病があっても着られる、ウエディングドレスを作りたい。
あるウエディングサービスの経営者の思いから、1着のドレスがうまれました。
糖尿病や大腸がんなどの持病のために、インスリンポンプやストーマなどの器具を付けている花嫁のためのウエディングドレスです。
Twitterで6千回以上リツイートされ、1万3千を超える「いいね」を集め話題となったこちらのドレス。その誕生までにはどのような経緯があったのでしょうか?
この度、糖尿病インスリンポンプや大腸癌ストーマなどの器具を使っている花嫁に対応出来るウェディングドレスを製作致しました!可愛いから皆んなに見て欲しいし、そんな花嫁に届いて欲しい!
BuzzFeed Newsはこのドレスを製作した秋山康美さんを取材しました。
秋山さんは、静岡県沼津市にある古着屋「PiLOT」を経営する傍ら、「PiLOT Wedding」として、ウエディングプロデュースと、ビンテージウエディングドレスのレンタルサービスをしています。
「新郎新婦とお話しして、おふたりと自由で楽しい結婚式を作っております」

持病があることを、表にだせない日本の風潮を変えたい
20年間古着屋を経営してきたという秋山さんは、常連の女性客からの依頼をきっかけに、2012年から古着屋経営と並行してウエディングサービスを展開。2015年からはウエディングショップとしてサービスを本格化させました。
以来、ウエディングプロデュースをしてきた秋山さんは「一生に一度の幸せな時間を過ごして欲しい」という思いを大切にしてきました。

そして、持病がある人にも、ウエディングドレスを着てほしい。
そんな思いも持つようになり、インスリンポンプやストーマなどの医療機器を身につけている花嫁でも着られるドレスを製作することを決めました。
ウエディングドレスのレンタル店を営みながら縫製をしている15(イコ)さんと、共同で製作したといいます。
今まであるようでなかった、形を求めて。

このドレスを完成させるまでには、困難もありました。
「体型コンプレックスや病気など、様々な悩みをもつ花嫁も多く、今まであるようでなかった、デザインやパターンや袖丈、着心地を求めて、時間をかけてディスカッションしました」
ドレスは、既成の箇所と、オーダーメイドの箇所を組み合わせたセミオーダー型の販売となっており、レンタルサービスはありません。
「持病がある方だからこそ、ストレスが無いように1人1人の要望に応えたくて、セミオーダーにしました」
これまでのドレス購入者の中には、医療機器を付けなくてはいけない持病のある方はいません。しかし、「体型を露わにしたくない」という要望があったステージが低い乳がんを患う方や、「背中と腕の刺青を見せたくない」と望む方からオーダーがあり、製作販売をしたといいます。
「花嫁の方たちが少しでも前向きになれるように、背中を押したい」
秋山さんはTwitterでの反響を受け、「(花嫁さんたちの)背中を押したくてTwitterに載せましたが、こんなに反響が多くて、むしろ自分が皆さんに背中を押してもらえた気分です」と答えます。
秋山さんはこれからも「花嫁の方たちが少しでも前向きになれるように、背中を押したい」と話しました。