Updated on 2020年3月30日. Posted on 2020年3月25日

    京大生が考案。「ハラスメント防止7か条」を、全人類に見てほしい。

    Twitter上で話題になり「社会人にも配って」とまで言われた「ハラスメント防止7ヶ条」。執筆した京大生2人に、文章に込めた思いを聞きました。

    セクハラ、モラハラ、パワハラ……自分のこととして捉えるには?

    学校、職場でも問題視されている、ハラスメントの数々。

    悪気がなくても、知らず知らずのうちに相手を傷つけ、自分が加害者になっているケースも。どうすればそうした状況を防ぐことができるのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

    そんな中、京都大学の学生たちが作成した、「ハラスメントを防ぐための7か条」がTwitter上で話題になっています。

    「社会人にも配ってほしい」という声まで寄せられたその内容とは?

    ツイートされたのは、京大の学生寮「熊野寮」の入寮者向けのパンフレットの1ページ。

    熊野寮入寮パンフレットの「ハラスメント加害者にならないため」の七カ条がすごくいい

    「ハラスメント加害者にならないために」と題されたこのページには、気をつけるべき項目が書かれています。

    この投稿は、2万8千以上リツイート、6万4千以上いいねを集め(3月25日現在)反響をよんでいます。

    リプ欄には「社会人にも配ってほしい」「素晴らしいルールですね!」など、数多くの声が寄せられました。

    ハラスメント加害者にならないために

    Getty Images / Via kumanoryo-pamphlet-2020.netlify.com

    ・人の体にはさわらない
    「同性同士のボディタッチは友情の証」、「異性へのさりげないボディタッチはモテるコツ」とか思っていませんか?それ、ハラスメントです。やめましょう。

    ・公共スペースでは下ネタ・猥談はしない
    下ネタ・猥談は不快になる人がいます。またある種の「男性ノリ」をその場にいる全体に強要することになります。

    ・人の容姿、私生活を評価することを言わない
    ブスいじり、デブいじりなどなど、すべてやめましょう。人の体はその人のもの。他の人がとやかく言ったり評価したりすることではありません。

    ・「女性 / 男性はこうである」など性別によって人のあり方を決めつけない
    「女の子なのに化粧しないの?」とか「男性が奢らなきゃ」とか思ったことありませんか?でも性別にかかわらず自分の生き方は自分で決めるもの。

    ・怒られない雰囲気に甘えない
    友だちとの会話の中で、ゲイいじり / デブいじり / 不謹慎ネタ等で笑いが取れたとしても、絶対に調子に乗らないこと。周囲の人は嫌な思いをしているのに、その場に合わせてニコニコしているだけかもしれません。

    ・大学生には彼氏 / 彼女がいて当たり前と思わない
    「恋人欲しい!」って思って気になる人にグイグイいくと、相手はけっこう怖いかも。特に熊野寮は生活の場です。出会いの場ではありません。

    ・もし「それ問題だよ」と指摘されたら
    「意図」で反論しない。相手を傷つけてしまったり不快にさせてしまった場合、あなたがどのような意図でそれを行ったかは全く関係ありません。自分の行動の何を問題だと指摘されているのか、まずは丁寧に聞きましょう。

    (文:人権擁護部有志)

    BuzzFeed Newsは「ハラスメント加害者にならないために」の執筆者である小林将悟さんと井上彼方さんを取材しました。

    時事通信

    小林さんと井上さんは共に京都大学文学部に所属しており、小林さんは現在も熊野寮に在寮中、井上さんは2019年まで熊野寮に在籍していたといいます。

    井上さんは「回答は寮としての見解ではなく、私の個人的見解です」としながら、小林さんとともに執筆に至った経緯、思いを教えてくれました。

    そもそも熊野寮とは、京都大学の学生による自治寮のひとつ。1965年4月13日に設立されました。この文章は、2019年の新入寮生に配布する資料に掲載するために執筆したものでした。

    「大切にしたことは『一瞬しか読まれないもの』にどれだけエッセンスを溶かし込むか、ということです。わかる人にだけわかる文章にはしないということです」

    「安易な禁止事項の羅列は、『これさえ守っておけばいいんでしょ』という思考停止や開き直りを生むのではないかという懸念から、具体的な案件を想定してイメージしやすくすることと、そこから自分なりの考えを深められるように、広がりを持たせるということの両方のバランスを取るようにしました」

    また、文章はハラスメントの防止以外に、「被害にあった人を勇気付ける」ことも目指しているのだといいます。

    「実際にハラスメントを受けても声を上げられない状況がある中で、『あれはハラスメントであり、やってきた相手に対して怒っていいのだ。自分を責めなくていいのだ』ということを言語化することが、助けになることがあると思います」

    京大生、約400人が生活する「熊野寮」

    なぜ2人はこうした文章を制作することになったのでしょうか?

    熊野寮は4階建ての建物で、現在約400人の京大生が共同生活を送っています。住んでいる学生たちが話し合いによって意思決定をし、大学とは独立して運営しているのが特徴です。

    「性別や国籍はじめ様々な属性の人が共同生活を営んでいるので、色んなトラブルが起きることがあります」と井上さんは話します。

    「雰囲気作りに対して、寮生一人一人が責任を負っている場だとも言えます。その中で寮をよりよくするための取り組みの一つとして『ハラスメント加害者にならないために』を書きました」

    井上さん提供

    京都大学 熊野寮

    2人がハラスメント防止の活動を始めたのは2015年。合同イベントにおいて、寮生によるハラスメントが発覚したことがきっかけでした。「取り返しのつかないことが起きてからでは遅い。全寮規模の予防的なアプローチが必要だと痛感した」のだといいます。

    今回の文章だけではなく、ハラスメントやジェンダーに関する学習会などを継続的に開いてきました。しかし、その道のりは、簡単なものではなかったといいます。「寮内では、悔しい思いもたくさんしてきた」と、井上さんはいいます。

    だからこそ、2人はより受け入れてもらいやすい内容の提起考案など、地道な活動を積み重ね、活動を寮全体のものへと少しずつ変化させていきました。文章は今年度の新入生向けの資料にも掲載されているそうです。

    「ハラスメントについての規範は、確立しておらず、この文章には不十分な点もあります。熊野寮生には、自分たちでより良い雰囲気を作り、アップデートしていってほしいです」

    誰でも「加害者であり、被害者である」ということ

    Mehmet Salih Guler / Getty Images

    「寮内、学内でたくさんのハラスメントを見聞きしてきた」という2人。自らが「加害者、被害者、仲裁者として当事者であった案件もたくさんあった」といいます。

    自分や周りの人たちの実体験をもとに書いた文章だからこそ、「加害者を『自分とは違う悪い人』として扱わない」ことも大切にしました。

    「誰でも潜在的には加害者であり、被害者であり、誰でも加害をする可能性があるという視点を持ってはじめて、自分の加害性について内省することができると思います。もちろんこれは私自身にも当てはまることです」

    Twitterでの反響を受け、「自分の書いた文章にエンパワメントされたと言ってくれる人が一人でもいることが何よりも嬉しいです」と語ります。

    「悪意を持ってハラスメント行う人は、この文章を読んでも行動を改めてくれないかもしれません。被害を減らす役に立たない場合もあると思います」

    「でも、こういった認識が広がることで、被害者や心ある人が声をあげやすい雰囲気作りができれば、巡り巡って社会全体のハラスメントを減らしていくことはできると思っています。この文章がその一助になったら嬉しいと思っています」

    Contact Hana Shimada at hana.shimada@buzzfeed.com.

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