東京のど真ん中にある貧困。調査から見えてきた4つのこと

    子どもの貧困を解決するため、文京区で始まった「こども宅食」。そのアンケート調査で明らかとなった貧困世帯の実態とは。

    東京ドームや東京大学を有し、まさに都会の中心ともいえる文京区。しかしその裏には、貧困状態の家庭が約1千世帯あるという現状がある。

    今回、文京区で取り組まれている「こども宅食」の利用世帯を対象としたアンケートで「半数以上が世帯年収300万円以下」、「約1割が公共料金の支払いができなかった」など、貧困世帯の実態が明らかになった。

    「こども宅食」とは?

    貧困世帯の子どもたちの家庭に食料を直接届ける「こども宅食」は、2017年から文京区で実施されている。

    低所得世帯(児童扶養手当、就学援助受給世帯)にいる子どもたちの家に直接、無料で食料を届ける取り組みだ。

    認定NPO法人フローレンスやNPO法人キッズドア、村上財団や文京区などの7団体が、コンソーシアム(共同事業体)としてプロジェクトを続けている。さらに企業やフードバンクなど40の協力団体、個人に支えられている。資金はふるさと納税で賄われている。

    宅食の内容は、協力団体から提供された飲料や米、レトルト食品、お菓子などで、2ヶ月に1回の頻度で届けられる。また、2018年6月以降には図書カードや書籍など、食料以外の配布も行っている。

    「こども宅食」の特徴は事業者が直接、宅食を家庭に届けているという点だ。そうすることで、家庭の変化や困っている事に気づくことができるようにしているという。

    「こども宅食」をする家庭の実態が明らかに

    プロジェクトは、2018年10月度の「こども宅食」の配送に申し込んだ555世帯に向けて、その家庭実態を聞くアンケート調査を実施した。

    調査によって、経済的に余裕のない世帯が抱えている状況や、支援に対してのニーズが明らかとなった。

    1. 世帯年収300万円以下の世帯が半数以上を占める。

    2. 約1割の世帯が借金をして家計をやりくり

    3. 食品など生活必需品の支援に対するニーズが高い。

    4. 約1割が過去1年の間に、公共料金の支払いができないことがあった。

    経済的に大きな負担を背負う、「こども宅食」の利用世帯。こども宅食によって、どのような改善が見られたのだろうか。

    プロジェクトは、2017年10月の初回配送から「こども宅食」を利用する218世帯に向けて、「こども宅食」利用前後の家庭環境の変化についてのアンケート調査を行った。

    1. 「こども宅食」利用後、食事内容に変化が。

    2. 保護者の精神面にもポジティブな変化。

    3. 1ヶ月に節約できた金額の平均は3,620円。

    4. 節約したお金は他の食品や生活必需品に使われている。

    5. 子どもに「笑顔が増えた」。

    「こども宅食」を文京区から全国に。

    UPDATE コンソーシアムおよび協力団体の数を修正しました。また、宅食の一例を最新のものに差し替えました。