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不法入国の現実を露わにする衝撃的な写真

「自分たちの国は移民の国。そのことを覚えておくことは大切だ」

ジョン・ムーアは、ゲッティイメージズ社のシニア・フォトグラファーであり、特派員だ。過去10年間、同氏は幅広い観点からアメリカにおける移民と国境警備について報道してきた。アメリカの政治において入国管理の重要性が増すなか、同氏の視覚に訴える報道は、国境警備の現実を理解する上でより一層欠かせないものとなった。

この春、『Undocumented: Immigration and the Militarization of the US–Mexico Border(密入国:移民とメキシコ国境の軍事化)』(powerHouse Books刊行)という本で、同氏の目を見張るような感情を揺さぶる写真がまとめられる。本稿では、刊行予定の本とメキシコ国境で記録をとる経験について、同氏にBuzzFeed Newsに語ってもらった。


入国管理は現在メディアで注目されている話題であるが、私にとっては長いことそうであった。写真を通して、密入国と国境警備のとても複雑な物語に、人間味を与えることを目的としてきた。この話を聞いたり読んだりするとき、大抵は統計でやりこまれる。例えば、この国には不法入国している人が1,100万人いて、トランプ大統領は国境に壁を作るために180億ドルの予算を欲しがっており、追加で国境警備隊員5,000名、新たに移民税関捜査局員10,000名を雇いたがっている、というようにだ。もちろん、このような数字はニュースに必要だが、この話はそれ以上のものだ。人が関わっているのである。

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私はテキサス州で育ち、テキサス大学オースティン校を卒業した。テキサス出身という理由だけだが、自然とメキシコとの国境沿いで起きていることに興味を持つようになった。ラテンアメリカに住み、キャリアの7年を過ごした。このときの経験は、入国管理の問題に対する私の考え方を大いに広げてくれた。多くの不法入国者の出身地であるメキシコや中央アメリカでたくさんの仕事をし、密入国者が逃げている暴力や貧困を目の当たりにしてきた。

国境の南側で写真を撮るために、メキシコや中央アメリカには未だに友だちや知人がいる。不法入国について共に話し合ったり、ときには困難な状況に巧妙にアクセスする手助けをしてもらったりする。私にとっては、なぜ人びとが危険を冒して家族やコミュニティを置いて北を目指すのかを見せることは重要なのだ。貧困から逃れたい人もいれば、恐怖から逃れたい人もいる。

北部三角地帯として知られるエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスは、世界でも殺人率が高い国々である。現地で暴力行為を写真に収める際には、自分自身の安全のためにも細心の注意を払う必要があった。マラ・サルバトルチャ(MS-13)やバリオ18などのギャングは、非常に凶暴である。そのため、地元のジャーナリストと協力して、犯行現場に速やかに辿り着き、確実に生きて戻ってこられるようにした。私はスペイン語も話せるのだが、話せるのと話せないのとでは雲泥の差があった。

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アメリカ国内では、独立して動く場合もあれば、連邦政府機関を通じて動くこともある。1年くらい前、メキシコとの国境全長2,000マイルを走破した。西は太平洋に国境のフェンスが着水しているところから、東はテキサス州の南側、メキシコとの国境をなすリオ・グランデ川が河口でメキシコ湾に注ぎ込むまでだ。多くの移民が北へと国境を越えるのに通る荒々しい、そしてときには死をもたらす地域を見せたかった。また、移民支持団体も国境沿い、そしてアメリカ国内において重要な仕事をしており、どのように移民の手助けをしているのかも見せられた。

『Undocumented: Immigration and the Militarization of the US–Mexico Border(密入国:移民とメキシコ国境の軍事化)』とサブタイトルにあるように、国境警備もこのプロジェクトのメインテーマだ。国境警備を追うために、早朝や深夜に、米国国境警備隊員が密入国者の足取りを辿って、テキサス州リオ・グランデ川沿いの深い低木の茂みをぬうように歩き、米国移民法を執行するのを写真に収めた。

長く伸びる国境の荒れ地を監視する航空阻止隊員を撮るのに、ヘリコプターにもずいぶんと同乗した。また、移民・税関取締局の留置場と刑務所、不法入国者を大量に中央アメリカへと送り返す強制送還も写真に収めることができた。最初にこれらの連邦政府機関にアクセスできるようにするのは困難だった。だが、何度か撮影を許された。思うに、私が撮る写真は「常に前向き」というものではなかったが、正直で公平だと思ってもらえたのだと信じている。

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自分たちの国は移民の国であることを、覚えておくことは大切だ。この国の歴史を通して、新しい移民は入国時には試練に直面してきた。この現在進行中のドラマにおいてひとりひとりが、不法入国者もそれを止めるのが使命である連邦政府職員も、敬意を表されるべき人間であることを、私はみんなに覚えておいて欲しい。

繰り返すが、この問題をできる限り人間らしくすることが私の目的である。ゲッティイメージズ社のおかげで、これを実現させる時間とリソースを与えられている。この問題に充てられるべき幅広い注目、アメリカ人がこの問題をもっと知る機会を与えられたと信じている。

この問題にこれほどまで長い時間、取り組むとは思ってもみなかった。ブッシュ政権とオバマ政権がともに移民改革案を通そうとしたが、その試みはともに失敗に終わったのを思い出して欲しい。そして今、南の国境に沿って端から端まで壁を建設すると誓ってキャンペーンを続け、トランプ大統領は包括的な移民改革を支持すると表明している。

見てみようではないか。でもこの問題は解決しないというのが、私の読みだ。

John Moore / Getty Images

US Office of Air and Marine (OAM)が操るプレデター・ドローンの確認をする保守スタッフ。駐屯地フォート・ワチューカからメキシコ国境近辺への監視飛行へ飛び立つ前。アリゾナ州シエラビスタにて(2013年3月7日)。ドローンは地上から操作され、メキシコからアメリカへ国境を越えてくる麻薬の密輸入者や不法入国者を捜索する。

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John Moore / Getty Images

骸骨の骨の一覧を作る法医人類学者トレーシー・ヴァン・デーエスト。アリゾナ州ツーソンのピマ郡検視官事務所にて(2014年12月9日)。アリゾナ州の砂漠で見つかることが多い不法入国者の亡骸から身元を確認しようとしている。

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John Moore / Getty Images

松葉づえをつく不法入国者エドゥアルド・コンテラス(23歳、ホンジュラス出身)とエルヴァイラ・ロペス(22歳、グアテマラ出身)。メキシコのタパチュラにあるJesus el Buen Pastor移民シェルター(ジーザスはよき羊飼いの意)にて(2013年7月31日)。アメリカへ向かう貨物列車に轢かれて右足を失ったが、シェルターで回復に向かっている。貨物列車の上で寝てしまい、木の枝に当たって振り落とされたと話している。

John Moore / Getty Images

殉職した隊員ジェームズ・エプリングの記念碑に手向けられた装飾品の調節をする国境警備隊員。カリフォルニア州アンドレードにて(2016年11月17日)。コロラド川で溺れている中国人の移民を助けようとして、自分が溺れてしまった。

ジョン・ムーアの写真をもっと見たい方は、ゲッティイメージズ社のサイトで見られる。『Undocumented: Immigration and the Militarization of the US–Mexico Border(密入国:移民とメキシコ国境の軍事化)』は、2018年3月27日にpowerHouse Books社から刊行予定。

この記事は英語から翻訳されました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan

BuzzFeed JapanNews
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BuzzFeed's resident photo geek.

Gabriel H. Sanchezに連絡する メールアドレス:gabriel.sanchez@buzzfeed.com.

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