【写真】22のカラー写真が過去を奥行きある姿に映し出す

    「カラー写真は全く新しい過去の姿を見せてくれる」

    2003年までアマチュア写真家のチャールズ・W・クシュマン氏はまったく無名の存在だった。1972年に彼が亡くなった後、クシュマン氏が生涯を通して撮影してきた数千点の写真は、妻のエリザベスさんによってインディアナ大学の母校に寄贈された。クシュマン氏の写真に対する情熱は、当時生まれたばかりの技術であるカラー写真での撮影に駆り立てた。その結果、一般的には白黒写真で撮影されていた時代に、クシュマン氏の写真は現実的な奥行きを与えることになった。

    ブラッドリー・D.クック氏は、インディアナ大学の写真のキュレーターであり、大学のチャールズ・W・クシュマン氏のコレクションの専門家だ。クック氏はBuzzFeed Newsに、コレクションの中で最も魅力的で歴史的に重要な写真をいくつか選んで紹介してくれた。氏はまた、作品の背景にある、写真家の情熱的に対する洞察も教えてくれた。以下は、クック氏の説明である。

    クシュマン・コレクションは、特に1930年代から1950年代にかけての時代について、歴史的にも文化的にも重要な意味を持っている。その時代の風物は多くの場合、白黒写真でしか見ることができない。歴史的な場所や出来事の写真がカラー写真で映されていたとしたら、歴史というものがどんなに違って見えるか、考えてみてほしい。カラー写真は全く新しい過去の姿を見せ、過去に対する新しい視点を与えてくれるのだ。

    また、クシュマン・コレクションではそれぞれの写真に番号をつけ、ノートに彼が撮影地と撮影対象を書き残している点も重要だ。時には撮影地は特定の住所まで書いてある。この記載によって個々の写真はすばらしい記録となる。日付、場所、出来事の情報がない場合の写真を想像してみればその理由がわかるだろう。これらの情報はその写されている対象とともに、この写真をすばらしいものにしているのだ。

    編集者注:写真下のキャプションは、クシュマン氏のノートの記載に基づいてわかりやすく編集したものである。

    2003年10月下旬にクシュマン・コレクションが公開されるまで、クシュマン氏は事実上全くの無名の人物だった。彼はインディアナ州ポジービル出身で、1917年にインディアナ大学を卒業した人物である。第一次世界大戦中に海軍に入隊し、シカゴの様々な企業で働いた後、醸造会社ドゥルーリーに入社した経歴を持つ。

    クシュマン・コレクションには約14,500枚の35mmフィルムのカラー写真が含まれており、そのほとんどは、当時世界初のカラーフィルムだったコダック社のコダクロームで撮影されている。寄贈されたもののなかには、クシュマン氏のカメラ、三脚、カメラバッグに加え、白黒写真のネガもコレクションもある。クシュマン氏はカラー写真での撮影を始めた後になっても、白黒写真も撮影していた。

    私がスーツケースに入れられたコレクションを「再発見」し、インディアナ大学の資料館に送ったのは、ここで働き始めた20年前のことである。それ以来、毎週、ドキュメンタリー、紀行記事、雑誌記事、新聞記事からの画像の印刷や使用を求めるリクエストを受けている。私はクシュマン・コレクションに関する仕事に費やすすべての時間を愛してきた。

    コレクションが公開されてから15年も経つが、人々は今でも写真を閲覧するのがどれほど好きだったかを伝えるメールを送って来る。ある時には「クシュマンのコレクションがあまりにおもしろくて丸一日使ってしまい、仕事ができなかった。だから、あのコレクションは大嫌いだ!」というメールを受け取ったほどだ。

    写真の中の特定の店は自分の家族の所有するものだったとか、この教会で祖父母が出会ったとか、自分の祖母がほかの人と一緒にある写真に写っているのを見つけたというメッセージを受けることも、とてもうれしい。こうやってコレクションを通して人と繋がることは、私にとって無上の喜びなのだ。

    多くの人が無意識のうちに古い「白黒の時代」は、違う世界を写したものだと思っているだろう。しかし、クシュマンのカラー写真は、白黒の時代にあった世界も今とは違う世界ではなく、私たちとまったく同じ世界だったのだと思い出させてくれる。

    かつての人々も、現在の私たちと同じように悩み、楽しんでいた。このコレクションの写真を今日の人々が見る時、私は、その写真に映されている過去の人々と同じことを見る人が考えていたらいいなと思っている。

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan

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