新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、カリブ海にあるオランダ領シント・マールテンのシルヴェリア・ジェイコブス首相は「重要ではない全ての行動を停止するよう」に人々に求めた。
4月1日に行われた1時間に渡る会見の終盤、ジェイコブス首相は簡潔に「人と人との距離を保つこと」、「人が近づく場を避けることの大切さ」を語った。
シント・マールテンはカリブ海のセント・マーチン（オランダ語でシント・マールテン）島の南部に広がるオランダ領で、自治権を持つ。なお、島の北部はフランス領で「サン・マルタン」と呼ばれる。
「（新型コロナウイルスの感染拡大を）私たちは止めることが出来る。動くことをやめてください。簡単なことです。動くことをやめてください」
「もし、家に自分の好きな種類のパンが無かったら、クラッカーを食べてください。家にパンが無かったら、シリアル、オートミール、イワシの缶詰（など家にある食材を）食べてください」
2017年、シント・マールテンに甚大な被害を引き起こしたハリケーン・イルマの自然災害と同等に、新型コロナウイルスの脅威と向き合うよう、ジェイコブス首相は島の居住者に伝えた。
「皆さんの家庭には、ハリケーン災害のために備蓄している2週間分の食料があるはずです。『ハリケーン対策と同じように、災害用キットを準備しろ』と私は初めに伝えたはずです」
ジェイコブス首相は人々に、水やトイレットペーパーの購入は必要ないと前置きした上で、食料の確保は大事だとした。
完全なロックダウンが発生し、食料品店も閉まる場合に備え、1〜2週間分の食料の購入を指示した。
首相は、完全な「島封鎖」を避けるため、社会的距離を保ち、出来る限り家にいるよう、人々に呼びかけている。
「シント・マールテンの人々が自分自身を守るためにも、政府が呼びかけている感染対策を厳守しなければ、（島封鎖以外に）選択肢は無い」
なお、ジェイコブス首相は4月4日に緊急事態宣言を発令し、5日から2週間、必要書類の無い人の外出を禁止している。
ジェイコブス首相の単刀直入な声明が役に立った、と感じたのはシント・マールテンの人々だけではない。米国でも、ジェイコブス首相の声明は高い評価を受けた。
Caribbean leadership is very “straight to the point” 🤣🤣🤣🤣🤣🤣🤣
「カリブ海のリーダーはとても『単刀直入』だ」
American leaders: C’mon everybody, please stay inside. It’s important. The Caribbean:
「米国のリーダー：みんな家にいて。大切なことだから。カリブの首相：動くな」
ツイッター上で、多くの人々がジェイコブス首相の会見動画をシェアした。中には、彼女の「リーダーシップ性」を評価する人もいた。
@ashindestad @Greg0wen Given how unseriously a lot of the west is taking this, I feel like all leaders should be talking to their citizens like this 🤷🏼♂️
「すべての国のリーダーが、彼女のように国民と話すべきだと私は思う」
首相の会見の様子に音楽をつけるユーザーもいた。
@jemelehill
@jemelehill @soulphoodie It hits a little harder with the Ether.
「こっちの方がもう少し力強い」
島の一部の人々が新型コロナウイルスの政府の厳しい対策に怒りを示しているのを、ジェイコブス首相は理解している。しかし、方針を変える予定はないそうだ。
「人々に『聞いてもらう』には、タフで厳しい態度も必要なのです」と語った。
2019年11月に首相に就任したジェイコブス氏。新型コロナウイルス感染対策を「極端」に感じる人かもしれないが、シント・マールテンだからこそ直面する独特の課題があるためだ、と付け加えた。
シント・マールテンには世界中から観光客が訪れるため、ウイルスの感染リスクが高い。しかし、国民には「限られた医療」しか提供できない。
「（島には）集中治療室のベッドが2床しかありません。そのため、2名の患者しか換気された場所に隔離出来ないのです」とジェイコブス首相は説明した。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳：オリファント・ジャズミン