カリフォルニア州の大学生が、コミュニケーションアプリ「スナップチャット」のカメラの性別変換フィルターを使い、未成年の女性のふりをして性犯罪者の「予備軍」をあぶり出そうと試みた。その結果、40歳の警察官が逮捕された。
サンノゼ警察当局の発表によると当局は6月6日、ロバート・エドワード・デイヴィス容疑者を、重罪を犯すため未成年者に接触した容疑で逮捕した。デイヴィス容疑者はサン・マテオ市警に勤務する警察官だった。
相手の「女の子」が未成年であると知りながら、デイヴィス容疑者は偽のアカウントを使ってチャットで性的なやりとりをしていた。警察は「女の子」のプロフィールを作成した人物について「関心を寄せた市民」とだけ説明していた。
しかし6月11日、「関心を寄せた市民」が地元テレビ局NBCの取材に答えた。
大学生のイーサンさんは、性犯罪者をあぶり出すために性別変換フィルターを使って未成年の女の子になりすました。イーサンさんの親しい友人が幼い頃に性的嫌がらせを受けた経験があり、それが彼の今回の行動につながったという。
警察によると、「関心を寄せた市民」イーサンさんがスナップチャットの新機能・性別変換フィルターを使い、5月11日に自撮り写真を撮影。その写真でマッチングアプリのTinderで「19歳」と偽りアカウントを作成した。
警察はその「女の子」(「エスター」という偽名を使っていた)は19歳よりも、もっと幼く見えたと話している。
すぐに「ロブ」と名乗る男性から接触があった、とイーサンさんはNBCに話した。
「『今夜こっちに来て遊ばない?』とメッセージが来たので、話に乗ってやろうと思いました」
「エスター」に扮するイーサンさんは、やりとりをTinder上ではなく別のコミュニケーションアプリであるキックに移行しようと提案した。そこで「エスター」は本当は16歳だと明かしたが、デイヴィス容疑者はやりとりをやめなかった。
そのあと、デイヴィス容疑者の提案でスナップチャットに移行した。
「そこでもメッセージを送りあったのですが、内容が具体的になってきました」とイーサンさんは語る。
デイヴィス容疑者は「エスター」との「性行為」に言及していたという。
デイヴィス容疑者に知られないよう、イーサンさんはデイヴィス容疑者の携帯が機内モードになっている間に、スナップチャットのメッセージ画面のスクリーンショットを撮影した。
またイーサンさんは、デイヴィス容疑者とのやりとりの中で彼が警察官であることに気づいた。
その後スクリーンショットや「ロブ」の素性など全ての情報をまとめ、シリコンバレー犯罪対策センターに送った。
3週間の捜査を経て、サンノゼ警察はデイヴィス容疑者を逮捕した。
デイヴィス容疑者はサンタクララ郡の拘置所に拘留されている。保釈金は5万ドル(約540万円)だ。
「容疑者は相手が16歳と知った時に、やりとりを止めるべきでした」とサンノゼ警察のエンリケ・ガルシア巡査部長は語った。
デイヴィス容疑者が勤めていたサン・マテオ市警はFacebookに声明を掲載し、捜査が発覚してすぐにデイヴィス容疑者を解雇したと述べた。
「もし彼の容疑が事実だとすれば。(デイヴィス容疑者の行いは)サンマテオ市警の我々と全ての警察官への侮辱です。私達はコミュニティの安全を守るため職務へのコミットメントを守り続けます」とスーザン・マンハイマー署長はコメントした。
今後、独自の潜入捜査を続ける予定はない、とイーサンさんはNBCに話している。
「誰かが引っかかればいいなという気持ちでしたが、まさか警察官だとは思いませんでした」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子