エリカ・ベセラさん(33)は最近、夫と娘(1)と一緒に、アメリカ・ロサンゼルスからデトロイトへ引っ越した。
彼女は当時、男の子を妊娠していた。転居してすぐに陣痛が始まり、2日間ほど病院で様子を見たが、退院してから新型コロナウイルス感染の症状が出始めた。
そしてベセラさんは12月3日、新型コロナ感染症により亡くなった。2週間前に男の子を授かったばかりで、その子を抱くこともできなかった。

「感染対策をしていたのに…」と遺族
「エリカは素晴らしい人だった」と、兄弟のミゲル・アヴィレズさんはCNNの取材に答えた。
「彼女は、いつも自分より他人の心配をしていた。他人の幸せが彼女の幸せだったみたい」
「エリカはできるかぎりすべての感染対策をしていたのに、感染してしまった」
アヴェレズさんやベセラさんの友人たちは、べセラさんを追悼する一方で、新型コロナウイルスの恐ろしさと自分たちの苦しみを知ってもらうため、彼女に起きた出来事をシェアしたいと語った。
アヴィレズさんは、自身のフェイスブックにこう投稿している。
「パンデミックの恐ろしさをわかっていない人が多いように感じる。自分や家族が感染して初めて恐ろしさを理解するのは、悲しいことだ」
「エリカはいつもは人に手を差し伸べていた。私が他の人の手助けをすることを、彼女も望んでいると思う」

生まれたばかりの息子を抱くことができなかった
アヴィレズさんによると、べセラさんに陣痛がきて新型コロナウイルスの症状が出始めたのは11月上旬。
「エリカは帰宅後、母に『病院に行ったら悪化した。呼吸するのがつらいし、動くと痛い』と電話した」
11月11日、ベセラさんの状態が悪化したため、救急車で病院に搬送されたという。3日経っても体調は回復せず、医師たちの判断で誘発分娩をすることになった。
そして11月15日、ベセラさんの息子、ディエゴ・アントニオ君が生まれた。ベセラさんは出産後、気道確保のため、すぐに挿管された。
アヴェレズさんは出産後の様子についてこう話している。
「エリカは自分で呼吸できない状態だったため、出産後すぐにチューブに繋がれた。その後、彼女は赤ちゃんに会えなかった」

「看護師に聞いたところ、エリカの頬に赤ちゃんを近づけたが、彼女はすでに気を失っていたらしい」
アヴェレズさんは、ロサンゼルスCBS放送KCALの取材に対し、ベセラさんの状態が悪化したことを聞いて親戚らとデトロイトに行ったと、涙ながらに話した。
「最期を迎える前、エリカは涙目になっていた。私たちの祈りも彼女には聞こえていた。みんなで声をかけ、安心して最期を迎えてほしかった」
今後アヴェレズさんと家族全員で、ベセラさんの夫と2人の子どもを全力でサポートしていくという。
「エリカがみんなを愛してきた分、みんなが彼女の子どもたちをサポートしていく。今はとにかく、子どもたちといることを楽しみたい」
クラウドファンディングで家族に支援の手
ベセラさんの名付け親クラウディア・ガルシアさんは、クラウドファンディングでベセラさんの家族が葬儀に参加するための渡航費を集めている。
1万ドル(約100万円)を目標金額とし、それ以上の寄付金は「ベセラさんの子どもたちの支援に使う」という。
これまでに、約2600人から計97,137ドル(約1000万円)が集まっている。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:アシュウェル英玲奈