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英タブロイド紙による「メーガン妃いじめ」。トップ記事の比較で、キャサリン妃との報道の違いが明らかに

王室の主要メンバーから「距離を置く」と発表したハリー王子とメーガン妃。背景には「何年にもわたる英国メディアの偏った不公平な報道」があった。デイリー・メール紙やデイリー・エクスプレス紙のキャサリン妃とメーガン妃の報道を比較したところ、2人の扱いには明らかな違いがあった。

1月8日、サセックス公爵夫妻(ハリー王子とメーガン妃)は、王室の主要メンバーの役割から「距離を置く」と発表した。

しかしこれは衝撃的な行動ではなく、「何年にもわたる英国メディアの偏った不公平な報道」と公爵夫妻が呼ぶものに、一泡吹かせる決断だった。

長年のロイヤル・プロトコル(王室のマナー)から関係を断つ、公爵夫妻の新しいウェブサイトでは、様々なことが明記されている。そのひとつとして、公爵夫妻のメディア戦略が記載されている。

イギリスの選ばれた報道機関に独占的なアクセスを与える伝統的な王室の報道システムには、もう加わらない、という主旨だ。

イギリスの王室担当記者は信頼できる情報源だと見られている、と公爵夫妻は主張する。しかし、「この誤解が、たびたび世界中の報道機関を、頻繁に誤報を拡大させるよう駆り立てている」とサイトにつづった。

公爵夫妻が「ロイヤル・ロタ(王室番記者)」の取材対象から離脱することに対し、イギリスのメディアからは非難の声があがった。英国ジャーナリスト組合からは異議が申し立てられている。

ハリー王子とメーガン妃は、ふたりの関係が発覚して以来、イギリスのメディアに不当に扱われ、いじめられ、記事には人種差別的な語調があり、ハリー王子の兄ウィリアム王子と義理の姉キャサリン妃(ケンブリッジ公爵夫妻)とは異なる基準に縛られてきたと考えている、と公言してきた。

英国メディアを代表して王室を独占的に取材する「ロイヤル・ロタ」を構成しているのは、デイリー・エクスプレス紙、デイリー・メール紙、デイリー・ミラー紙、イブニング・スタンダード紙、テレグラフ紙、タイムズ紙、ザ・サン紙だ。

ここで、メーガン妃とキャサリン妃の記事でダブル・スタンダードだと思われる一部の上記メディアによる記事20点を見てみよう。BuzzFeed Newsは、以下で紹介するメディア各社にコメントを求めている。

デイリー・メール紙

キャサリン妃:「見事な足取り! 会場から出てきて、手でお腹を守る公爵夫人のお姿が見られた」(デイリー・メール紙、2018年3月22日

メーガン妃:「個人的には、『赤ちゃんが乗っています』という車の後ろにつけるサインみたいに感じる。高徳の合図。私たち不妊の意地悪婆は、車の中で生きたまま焼け死んで当然のような」(デイリー・メール紙、2019年1月26日

デイリー・エクスプレス紙

キャサリン妃とウィリアム王子:「母親もつわりで苦しんでいる小さな男の子から、リボンをかけられた緑の果実を渡されたウィリアム王子。(キャサリン妃)に渡してみて、様子を見てみる、(少年の)お母さんの幸運を祈っている、と王子は話された」(デイリー・エクスプレス紙、2017年9月14日

メーガン妃:「妊娠中のサセックス公爵夫人(いわゆるアボカドトースト提唱者)は、水不足、違法な森林伐採、環境破壊全般に関連する果実を貪り食っている」(デイリー・エクスプレス紙、2019年1月23日

デイリー・メール紙

キャサリン妃:「クリスマス当日を女王と一緒に過ごさないというウィリアム王子とキャサリン妃の決断を、エリザベス女王は理解し、承認した、と複数の王室関係者が昨日述べた。その中には『エリザベス女王は、多くの若いカップルが直面するジレンマだと理解し、キャサリン妃の家族との関係がいかに親密かを理解している』という者もいた」(デイリー・メール紙、2016年12月16日

メーガン妃:「実のところ、祝祭の季節には、エリザベス女王はご自身の周りにご家族がいることを期待していらっしゃる。エリザベス女王にとって、家族が集まる伝統は、女王のご予定の中でも重要であり、ハリー王子とメーガン妃の不在は、深い悲しみをもたらすものであり、苛立ちのもとともなるだろう」(デイリー・メール紙、2019年11月13日

キャサリン妃とウィリアム王子:「自分たちの会社を設立することで、ウィリアム王子とキャサリン妃は、希望すれば、ティータオルやコーヒーカップなど無数の公認グッズを売り出すことが可能になる」

「夫妻の権利を守るために、『賢いこと』をしている、とケンジントン宮殿関係者は話している」(デイリー・メール紙、2014年1月17日

メーガン妃とハリー王子:「自分たちの新たに設立した財団『サセックス・ロイヤル』のために、サセックス公爵夫妻は、Tシャツ、フード付きトレーナー、日記帳、手袋などあらゆる商品に自分たちの名前を押したがっている」

「ハリー王子とメーガン妃は、自分たちのブランドを商業的に守るために商標登録申請をして、何か月も前から、王室を離脱する準備を活発にしていた、と複数の専門家が話している」(デイリー・メール紙、2020年1月9日

ザ・サン紙

キャサリン妃とウィリアム王子:「ウィリアム王子は昨日、精神的な苦悩を勇敢に告白した弟ハリー王子を支持し、感情を表に出さない『stiff upper lip』という王室の伝統を吹き飛ばした」

「感情を表に出さない時と場所があるかもしれないが、健康を犠牲にする必要はない、とウィリアム王子は話した」

「感情や気持ちを話せると感じて、ジョージ王子とシャーロット王女には成長して欲しいと、キャサリン妃と私は確信している」

「昨年、私たちはいくつかの学校を訪れ、子どもたちがかなり難しい話題について明快に感情面でもはっきりと話すことができるのを聞き、驚いた。多くの大人が苦労することだ」

「目の当たりにして、物事は変わってきていて、感情について率直に話すことが普通の世代が出てきているという希望を実感できた」(ザ・サン紙、2017年4月19日

メーガン妃とハリー王子:「メーガン妃とハリー王子がまた、最近のTVインタビューで王室の伝統に反抗した。インタビューの中でふたりは、『存在しているが、生きていない』と主張している」

「公爵夫妻は、感情を表に出さないというこれまでの王室の伝統『stiff upper lip』を放り出し、世界中へ自分たちの感情をさらけ出して『ジェネレーション・セラピー』の旗を振った。だが、これは正しかったのか?」

「『繊細な』ハリー王子とメーガン妃のコメントをどう受け取るかは、どのジェネレーションに読者が属するかによるかもしれない」

「ザ・サン紙読者の親世代、子ども世代に、サセックス公爵夫妻が人前で、テレビで感情を表したことをどう思うか、このような特権がある立場で嘆く権利があるのかを聞いてみた」(ザ・サン紙、2019年10月23日

デイリー・メール紙

キャサリン妃:「ウェストミンスター寺院を香らせるのに、高級フレグランス・ブランドのジョー マローンからお気に入りの香料入り蝋燭や洗面用具を届けるよう、新婦のケンブリッジ公爵夫人が頼んだことが伝えられた」

「具体的には、『オレンジ ブロッサム』、『グレープフルーツ』、常に人気がある『ライム バジル&マンダリン』など柑橘系の春の香りで、選りすぐりのキャンドル、石鹸、ローションを頼まれた」(デイリー・メール紙、2011年5月4日

メーガン妃:「ゲストが到着する前に、霧吹きで教会に芳香剤を振りまくよう、メーガン妃はスタッフに頼みたがった」

「王室関係者が介入し、丁寧に、でもきっぱりとメーガン妃のオフィスに対して、聖ジョージ礼拝堂は女王の教会であり、実に適当ではない、と伝えた。教会に多少なりとも影響を与える可能性があるため、『ノー』と言ったとは思わない」

「単に、物事の原則である。同礼拝堂は、王室の婚礼や葬儀が行われる場所であり、王室の地下納体堂もある。このような依頼は、今までにされたことがないと思う」(デイリー・メール紙、2018年11月30日

デイリー・エクスプレス紙

キャサリン妃:「結婚式のブーケに限って言えば、気取らない季節の花を控えめにアレンジしたキャサリン妃のブーケには特に豪華さはなかったが、花嫁ご自身のように、そのブーケはいかにも自然に優雅で、しとやかだった」

「だがその控えめな花束には、隠された物語があった。民間から公爵夫人となるキャサリン妃は、丹念に本当の意味を持つ花を選んだ。花言葉や19世紀のあまり知られていない恋のレリック(残存語)に実に詳しい」

「ブーケにはライラックが使われている。ライラックの花言葉は、愛の芽生え。すずらんは幸福の再来、ヒアシンスは不変、ギンバイカは愛、そしてもちろん、ぴったりの名前のアメリカなでしこ(英名:スウィート・ウィリアム)は、勇敢の意味がある」(デイリー・エクスプレス紙、2011年8月29日

メーガン妃:「(メーガン妃)が手にしているウェディング・ブーケの花は、シャーロット王女と他の花嫁の付添人が被っている花の冠にも使われている。デイリー・エクスプレス紙は、子どもたちの冠は、特に子どもにとって命取りになる可能性がある花で作られていたことを突き止めた」

「メーガン妃のブーケは、忘れな草、スイートピー、すずらん、アスチルベ、ジャスミン、アストランティアでできていた」

「すずらんは極めて有毒な植物で、口に入れると命取りになる可能性がある。メーガン妃の介添人はとても若いため、この花を頭に載せるのは危険な決断だと考えられる」

「この花を使った花嫁は、他にはキャサリン妃、ユージェニー王女、コーンウォール公爵夫人カミラがいる」(デイリー・エクスプレス紙、2019年10月13日

デイリー・メール紙

キャサリン妃とウィリアム王子:「エリザベス女王とエディンバラ公フィリップ殿下は、この小さな家族行事を欠席した。この決断は、健康上の理由ではなく、しばらく前に、エリザベス女王とケンブリッジ公爵夫妻と互いに同意したものと理解されている」

「火曜日には英国空軍100周年を記念するイベントへの参加が、金曜日にはウィンザー城でドナルド・トランプ米大統領との面会が予定されており、エリザベス女王(92)のその週のご予定は詰まっていた」(デイリー・メール紙、2018年7月9日

メーガン妃とハリー王子
:「この状況は、バッキンガム宮殿の上級スタッフを驚かせた。公爵夫妻はもっと上手く日取りを計画すべきだと思ったからだ」

「『お二人には伝統に従いたくないという大きな裏づけがある。お若く、他の王室メンバーとは違う道で独り立ちしており、お二人のために喜んでする気持ちも大いにあるが、伝統に配慮せずにやるべきではない』という人もいる」

「『エリザベス女王は、年次のホーリールード・ウィークのためにスコットランドへお出かけになるご予定だったし、その後週末はすでに他のご予定が入っていた。日取りに関しては、もっと柔軟であるべきだったと考える人もいる』」(デイリー・メール紙、2019年7月4日

デイリー・ミラー紙

キャサリン妃:「私たちの殆どはそもそも直面しないファッションの難問だが、エリザベス女王とお茶をいただくときは具体的に何を着ればよいのだろうか? 昨日、ケンブリッジ公爵夫人は、エリザベス女王の淡青色のアンサンブルとご自身の洋服をコーディネートして、この難題に取り組まれた」

「即位60周年を記念する最初の公式イベントに参加されたエリザベス女王は、ミリタリー調に金ボタンが並んだアンジェラ・ケリーによるツーピースのコートドレスに、淡い色合いの帽子をお召しになっていた」

「キャサリン妃はリラックスされ、エレガントなご様子で、女王とコーンウォール公爵夫人との楽しい公式行事に完璧だった」(デイリー・ミラー紙、2013年2月14日

メーガン妃:「グレンフェル・タワー火災で亡くなった方に敬意を払うために、女王は緑の帽子を被られると、女王の側近は(メーガン妃)に伝えていた。自分も帽子を被らなければならないとは気づかずに、メーガン妃が帽子を被らずに現れ、女王は『困惑された』と言われている」

「『公爵夫人が十分に理解されていたとは思わない。これは依頼ではなかった。依頼すべきだったのは他の者であり、エリザベス女王ではない』と上級の側近は話している。公爵夫人の間違い、あるいは『敬意の欠如』を女王のスタッフは言及されたと言われている」(デイリー・ミラー紙、2018年10月29日

デイリー・メール紙

キャサリン妃:「全盛の女性を目の当たりにしている。粋で、自信に満ち、前向きに光り輝き、流行を次々と仕留めてくる。見ているだけで楽しい」

「少女風のドレス、小麦色のタイツ、肌と同系色のヒールという古い制服は脱ぎ捨て、眩いばかりに上品に。これには手厳しいファッショニスタでさえも満足」(デイリー・メール紙、2019年6月16日

メーガン妃:「真の王族には、伝統と義務、自我を抑えての勤めと忠誠が、年や季節が移ろっても必要となる。王族は時とともに移ろってはいけないというわけではなく、単に過行く流行に負けそうな誘惑に抗わないといけないということだ」

「ファッションはまったくその逆を行っている。そのファッションの最も有名なバイブルである『ヴォーグ』誌は、その獣の一過性の特徴のよい例だ」(デイリー・メール紙、2019年7月29日

この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan