人類に全く貢献しなかった研究8選

    タコにエクスタシーを与える研究だって?

    レゴ入りのうんち

    メルボルン大学の研究者が11月、「Journal of Pediatrics and Child Health」誌である研究を発表した。6人の大人(全員が論文の執筆者)がレゴ人形の頭部を飲み込み、便と一緒に排せつされるまでの時間を追跡したものだ。

    あらかじめ、被験者の排便習慣が「SHAT(Stool Hardness and Transit:便の硬さと通過)」スコアで測定されていた。「FART(Found and Retrieved Time:発見と回収時間)」スコアが従属変数となった(訳注:shatはshit=クソをするの過去形、fartはおならのこと)。

    追跡の結果、レゴ人形の頭部は、1~3日で問題なく排せつされることがわかった。

    研究チームは、子どもがレゴを飲み込んだとして不安を抱える保護者に対して、大人の被験者は問題なく排せつできたため、「子供の便を調べ、排せつされたことを確認する」必要はないと助言している。

    論文によれば、今回の研究には方法論的な限界があったという。

    全ての被験者が「パートナーや同僚に排せつ物を調べさせるのは迷惑をかけると感じ」、全員が自分の結果を調べることになったため、ブラインドテスト(客観的な評価を得るために、条件を隠して行うテスト)が不可能だったのだ。

    新種のおっさん

    「オーストラリアにおけるマミル(Mamil)の出現と特徴」と題されたシドニー大学の研究。オーストラリアにおけるMamil(middle-aged man in Lycra:ライクラ=スパンデックス繊維を着用した中年男性)の分布を調べることが目的だ。

    「Medical Journal of Australia」誌で発表されたこの論文によれば、マミルとは、「新しく現れたサイクリング好きの人種」だという。

    週1度以上この人種になる中年男性の割合は、2002年は6.2%だったが、2016年には13.2%まで増加したことがわかった。

    研究チームはさらに、「マミルの生息地は主に、裕福な人々が暮らす大都市の郊外で、水辺にあることが多い」と述べている。

    また、マミルの運動習慣は、オーストラリア全体の身体活動レベルには有意に貢献していない可能性があるという。

    タコにエクスタシーを与える科学者

    9月に「Current Biology」誌で発表された研究。タコに、エクスタシーの別名を持つドラッグ「MDMA」を投与し、人とタコの行動反応の類似性を探るという内容だ。

    メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームは、遺伝子解析によって、タコが人と同じセロトニン・トランスポーター遺伝子を持つことを発見した。

    セロトニン・トランスポーター遺伝子は、エクスタシーの主な結合部位として知られる。

    タコと人が5億年以上前に分離し、別の生物として進化してきたことを考えると、セロトニン・トランスポーター遺伝子の共有は驚くべきことだと研究チームは述べている。

    論文によれば、エクスタシーを与えられたタコは、ほかのタコと過ごす時間が増え、互いの体を探るように接触していたという。

    ジェットコースターで腎臓結石を取り除くことは可能か?

    2018年のイグノーベル医学賞に輝いた研究。ジェットコースターを使って腎臓から結石を取り除き、排出を促そうという試みだ。

    「Journal of the American Osteopathic Association」誌に発表されたこの研究では、成人の腎臓を模したシリコン製の模型に結石を入れ、膀胱へとつながる管(尿管)を取りつけた。

    研究チームは、腎臓の模型を遊園地に持って行き、ジェットコースターの前部と後部に、合わせて60回にわたって乗せた。結石を入れた場所は、腎臓内にある管の3カ所(上中下)のいずれかだった。

    「ほかの来場者の楽しい気分を損なわないよう、注意を払った」と論文には書かれている。

    ジェットコースターの前部に腎臓を乗せた場合、結石は有意に排出されなかった(24回中わずか4回)。

    一方、ジェットコースターの後部に乗せると、36回中23回、結石は尿管へと排出された。

    人肉の栄養価

    2018年のイグノーベル栄養学賞を授与された研究。英国ブライトン大学のジェームズ・コール博士らは、旧石器時代にカニバリズムがあった理由を探るため、人肉を食べることの利点について評価した。

    コール博士らは結論として、体重が変わらない場合、人肉は動物の肉と同等の熱量を持つが、カロリー摂取のためだけにカニバリズムが行われていたとは考えにくいと述べている。当時捕まえることができた動物の肉に比べ、人肉は栄養価が劣るためだ。

    これは、人肉の消費には、社会的、文化的、あるいは、グループの一員が自然死したなどの便宜主義的な理由があったことを示唆している。

    体臭と政治思想の関係

    ストックホルム大学のチームが主導し、2月に論文を発表した研究。体臭への嫌悪を示す反応から、その人が権威主義的かどうかを推測できるという内容だ。

    ストックホルム大学の嗅覚研究所で、ある実験が行われた。201人の被験者を対象に、他人の体臭への反応を評価し、「右翼的権威主義(RWA)」スケールで社会的な態度を測定した。

    論文によれば、体臭への嫌悪感が強いほど、権威主義を信じる傾向にあるという。

    社会的な嫌悪感と病原体の嫌悪感には本質的に関連しており、権威主義的な社会は、異なるグループ同士の接触を少なくするためだ。

    「ゲーム・オブ・スローンズ」の死者

    オーストラリア、シドニーにあるマッコーリー大学のチームが10月に「Injury Epidemiology」誌で発表した研究。「HBO」のテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の主要な登場人物の死について分析し、死の予測因子を見つけることが目的だ。

    シーズン1~7の登場人物330人を観察した結果、研究が終了するまでに、56.4%が命を落とした。

    生存率が低かったのは、男性キャラクター、身分の低いキャラクター、忠誠を誓い続けたキャラクター、目立つキャラクターだ。

    初登場から1時間以内に死ぬ確率は14%だった。

    研究チームはこれらの情報に基づき、「『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界で、非業の死を回避できる可能性は十分にある」と結論づけている。

    最高のピザを焼くイタリアの物理学者

    イタリアで一流とされる3人の物理学者が9月、「おいしいピザを焼くための物理学」という論文を発表した。伝統的な石窯で焼いたピザの方が、電気オーブンで焼いたピザよりおいしい理由を分析している。

    ローマにある「超伝導体・酸化物・革新的物質装置研究所」のアンドレイ・バルラモフ率いる研究チームが、熱伝導、熱放射、焼き時間を分析し、最適なマルゲリータピザの公式を導き出した。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan