オーストラリアで100万匹以上の魚が一斉に死亡。いま、何が起きているのか

    地元住人は、今回の魚の大量死は防ぐことが可能だったと話している。

    藍藻類の異常繁殖により水中の酸素が不足したことで、オーストラリア・ニューサウスウェルズ州、ブロークンヒル近くのダーリング川の広い範囲で魚が大量死した。

    今週の初め、小さな町のメニンディーの隣を流れる川の40kmに渡る範囲で、大量死したのはマーレーコッドとマレーパーチ。また50年以上生きた体重40kg以上のマーレーコッドも死亡したと地元住人は話している。

    地元のトラーノ駅の牧畜家のキャサリン・マクブライド氏は、川から「極めて強い悪臭」が流れてきており、メニンディーの住民たちは今回の魚の大量死を受けて非常に動揺しているとBuzzFeed Newsに明かした。

    「これだけ多くの魚が死んだこと、またこれらが将来の子供や孫たちに与える影響は、極めて甚大です」とマクブライド氏は語る。

    藍藻類の異常繁殖は、過剰な栄養源(農場からの肥料の流出などによる)、高温、少ない降雨量という条件下で発生する。

    藍藻類の異常な繁殖は他の植物を死滅させ、その結果、植物の死骸の有機物が細菌に栄養を与え、さらに繁殖する。そして細菌が水中の溶存酸素を使い果たすと、水生動物が窒息してしまうのだ。

    今回のダーリング川での魚の大量死の引き金となったのは、多くの藍藻類が死ぬこととなった寒波だった。寒波で藍藻類が死に、水中に藻類の死骸に由来する有機物が増え、その結果水中の酸素がさらに奪われてしまった。

    このダーリング川では、魚の大量死が2018年にも確認されていた。12月には10,000匹の魚が、メニンディー地方の50kmの範囲に渡って大量死している。

    今年になって起こった魚の大量死は、不適切な水の管理によるものだと地元住民はいう。ニューサウスウェルズ州の水源管理を行うWaterNSWは2017年末からメニンディー湖からの水を放出を開始し、湖にはわずか3.2%の水しか残っていないという。

    CSIROは、降雨量が少ないこともあり、近年マレー・ダーリング盆地で藍藻類の異常繁殖が増加しているとABCの取材に回答している。

    「今回の魚の大量死は自然災害ではなく、人為的な災害であることが明らかなため、私たちは本当に憤慨しています」とマクブライド氏は話した。

    「湖の管理方法を適切に変更し、このような魚の大量死が二度と発生しないようにしてほしいです。このような事故は本当に心が痛みます」

    第一次産業大臣のニール・ブレア大臣は、今回の魚の大量死はこの地域で6か月に渡って発生した干ばつが原因で、水流が大幅に減少したためだと話した。

    ブレア大臣は、第一次産業省(DPI)が川の清掃、復旧に関して地域の支援を行っていくと話した。

    マクブライド氏は、夏に気温が45℃以上になるのが珍しくない地域では、川は暑い日に地域の人と一緒に楽しむ場所であり、暑い夏に川が利用できないということは町の「健全さと豊かな人間性」を育む場所が失われることになると言及している。


    この記事は英語から翻訳・編集しました。