ユアン・マクレガーが語る「プーと大人になった僕」への想い
大人になったクリストファー・ロビンを演じたユアン・マクレガーの初来日インタビュー。
ディズニー映画『プーと大人になった僕』が9月14日に公開された。原作小説「くまのプーさん」やアニメを通して、何十年も世界に愛されてきたプーが、実写でスクリーンに登場する。

舞台はロンドン。プーと仲間が暮らす"100エーカーの森"を離れて大人になった親友のクリストファー・ロビンは、娘との約束を犠牲にしてまで仕事に追われる日々を送っていた。
そんなある日、プーと奇跡的な再会を果たすクリストファー・ロビン。大人になってからの新しい冒険が繰り広げられる。

映画のために初来日したクリストファー・ロビン演じるユアン・マクレガー。初来日できて「嬉しい」と語る彼に、BuzzFeedはプーの人生哲学や働くこと、子ども時代の思い出について聞いた。


——映画『プーと大人になった僕』は、プーさんの哲学がたくさんあふれています。ユアンさんご自身、仕事や生き方に対する見方で何か変わったことはありますか?
休憩みたいなのをとって、今まで映画や仕事の合間でしかできなかった好きなことを、もっとじっくり時間かけてやるようになったよ。今年は仕事をやらずに、ゆっくりしている。
でも、それはクリストファー・ロビンを演じたからではないんだけどね。かといって、こうやって休むようになったのと、クリストファー・ロビンの役柄が重なったのは、偶然ではないと思う。
プーの哲学はシンプルで幼く感じるけど、本当にパワフルで。今いるその場所で、その瞬間を生きることについてなんだ。

イヴリン(クリストファー・ロビンの妻)も、映画の中でクリストファー・ロビンにこう言っている。「人生はいま目の前で起きている」と。
でも、クリストファー・ロビンは、まるで自分の人生を生きていないかのような生活を送っているんだ。
僕自身はロビンみたいには感じていないけど、プーのアドバイスは役に立つと思ったよ。

子ども時代の思い出
——大人になって忘れかけていた「大切なモノ」を思い出させてくれる映画ですが、ユアンさんもこの映画をきっかけに何か思い出すことはありましたか?
子ども時代の思い出で、ひとつあるよ。スコットランドに最近戻ったとき、昔よく通っていた場所を誰かに見せていたんだけど、そのときのエピソードが面白くて。
僕が育ったところに森があって、子どもの頃よくそこで友達と遊んでいたんだ。木の枝や葉っぱを使って秘密基地を一緒に作ってね。ちょうど道から見えないようになってたし、僕たちの自信作だった。
デカイ秘密基地ができたと、当時、二人ですごく喜んでいたんだけど、今回そこに戻ってみたら…ほんの小さな空間だったよ(笑)。僕の記憶の中での秘密基地は、現実と違って、大きかったんだ。

——ユアンさんが子どもの頃、「くまのプーさん」は身近な存在でしたか?今作をきっかけに本を読み直したんだとか。
つい最近も、7歳の娘に電子本で読んだよ。娘はほかのことをしたかったみたいだけど、僕が「ううん、読もう」と言ってね。
最初はグズグズしていたけど、読み始めたら娘が近づいてきて。気が付いたら50ページも読んでいた。娘はものすごく夢中になっていたよ。それくらい、この本は素敵に描かれているんだ。
僕は子ども時代にものすごく影響を受けたわけではないけど、ストーリーはぜんぶ知っているよ。親に本を読んでもらったり、ディズニーのアニメを見たりしていたからよく覚えている。
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▲アニメ「くまのプーさん」。映画でも、アニメを思い出させてくれるシーンがいくつかある。
それにイギリスでは、プーは誰もが幼い頃から知っているキャラクターなんだ。ティーポットとか傘にプーさんの絵がついているし。どの家を訪れても、かならずプーのものが置いてあるんだよ(笑)。
——ユアンさんも持っていたんですか?

プーがついているもの?(笑)
9歳のとき、フロリダに家族旅行したのを覚えているんだけど、初めてのアメリカ旅行だったんだ。それまでイタリアとかフランスにしか行ったことがなかったからね。それに、40年前は、海外旅行が今ほど気軽にできるものじゃなかったから、すごく重大なことだったんだ。
そのときディズニーワールドに行って、くまの人形をいくつか買って帰ったんだけど、プーも買ってたと思うよ。きっとね。

ずっと子どもの心の中に
——映画で出てくる「100歳になっても、きみのことは絶対に忘れない」というクリストファー・ロビンのセリフがとても印象的ですが、ユアンさんご自身も100年たっても忘れない出来事はありますか?
数日前、ロサンゼルスのスーパーで娘と買い物をしていたときに、あるお父さんと女の子が近づいてきたんだ。
そのお父さんが「『プーと大人になった僕』を娘と見たんですけど、あなたが演じたということを信じてくれないんですよ」と話しかけてきて。
そのときは女の子に挨拶をして「こんなにヒゲが生えているとわからないかもね」と返事をかわしたけど、これがきっかけで、ディズニーの映画が子どもたちの心にずっと永遠に残り続けていることに気が付いたんだ。

僕自身、映画館で『バンビ』や『ダンボ』とかを見たときを思い出したよ。当時はDVDみたいなのがなかったから、一度きりしか見なかったけど。映画が、子どもにとってどれだけ大切なのかもわかってる。
「そんなディズニー映画に、いま僕が出ているんだ」なんて思ったよ。まぁ、『スター・ウォーズ』もあったけど……この作品が、この僕が、子どもたちの心のなかにいるんだ。
もしかしたら次作もやるかもしれないね。(関係者に向かって)もう一度クリストファー・ロビンを演じられるかな?
残りの人生、できたら最高だよ(笑)。2、3年おきにやりたいな。
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