back to top

台湾、前代未聞の大停電「主因は人為的ミス」 脱原発を懸念する声も

2025年を目標とした蔡英文政権の「脱原発」法には賛否の声が上がっている。

8月15日、台湾で大規模な停電が発生した。

夕方5時近く、桃園市の火力発電所の発電機6基がすべて運転停止し、5時間ほどに渡る停電となった。

中央社によると、台湾の全戸半数近くにのぼる約670万戸が影響を受けた。

地元メディアは停電に関して「歴史に前例がない」「1999年に起きた台湾中部大地震以来の最大停電」と報じている。

発電から送電の電力事業を一括管理している国営の台湾電力。7月29日に上陸した台風9号で和平発電所の送電塔が倒壊。また、猛暑が続いていたこともあり、電力不足が懸念されていた。

この事件を受けて、停電した15日に台湾電力の監督を担う李世光経済部長(経財相)が引責辞任する事態となった。

そんな中、日本では停電の原因が「原発止めて火力に移行」したことや、「原発停止による電力不足」だという情報がTwitterで出回っている。

広告

停電の原因は「人為的ミス」

停電の翌16日に開かれた記者会見で、国営企業の石油大手「台湾中油」が、「主因は人為的ミス」だと説明

台湾中油の職員が機材を入れ替える時に操作ミスが生じ、数分の間、天然ガスの供給が中断された。これによって、燃料を受給している台湾電力の発電所が緊急停止した。

台湾中油は、停電の責任を完全に負うと述べた。また、金額は明かされていないが台湾電力に対する賠償責任も負うという。

「脱原発」法を懸念する声も

2016年、台湾で原子力は総発電量の13.5%を占めていた。

2017年6月初めの時点で正常に稼働していたのは原発6基のうち第三原発1号機のみだったが、12日には電力需要が増加する夏に備え、停止されていた2基のフル稼働が認められていた。そして8月現在、原子力発電所3基が稼働している。

停電が起きた15日も3基は稼働していた

「脱原発」法を掲げてきた、蔡英文政権。1月11日に成立された、電気事業法改正案には、「25年までに原発の運転をすべて停止する」という条文が含まれている。蔡英文氏は福島第一原発事故の直後2011年3月24日から脱原発を表明していた。

反原発を唱える声は多く、2011年の事故以来、毎年3月には環境保護団体などがデモを実施している。

しかし、原発を撤廃するにあたって、問題視されていたのが電力不足や経済戦略に与える影響だった。

今回の大停電においても、ブルームバーグは「異常な猛暑、台風によるインフラのダメージ、そして蔡氏が目指す原子力撤廃の組み合わせ」によって電力の供給がかろうじてできていた状態だと指摘

ビジネス面での影響を踏まえて、脱原発を懸念する声も見られる。工商協進会の林伯豐理事長は、「電力が不足しているのは明白なのだから、頑なにならず原子力を開始すればいい」と発言した。

中央社によると、林全行政院長は8月16日午前、行政院の記者会見で「問題は電力供給予備力の不足ではなく、安定性と管理の問題」と説明

原発の再稼働が必要かどうか問われている件に関しては、問題の焦点をぼかさないよう、供給予備力と一緒の問題にするべきではないと指摘した。

台北市長の柯文哲氏も、電力が台湾の産業に影響を及ぼすことを認めつつ、原発はいらないという姿勢を示した。

蔡英文総統は15日付声明文で「政府を代表して全国人民にお詫びを申し上げます」と謝意を表した。

人為的ミスで大きな損害が生じてしまう供給システムを問題視する一方、「政策の方向は変わることはない」と強調した。「大停電は私たちの決心をさらに固めた」。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Eimi Yamamitsuに連絡する メールアドレス:Eimi.Yamamitsu@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.

Sponsored