韓国・平昌で2月9日、冬季オリンピック開会式が開かれた。華やかな会場の一方、その外側では「北朝鮮を爆撃しろ」と強硬に批判するデモもあった。BuzzFeed Newsが現場からリポートした。
これまで韓国内では、韓国の文在寅大統領が北朝鮮に対して譲歩しすぎていると批判の声が高まっており、今回の抗議デモも事前に予想されていた。
開会式1時間前の午後7時ごろ、スタジアム近辺で保守団体「大韓愛国同志会」10人ほどが集まっていた。
「北朝鮮が平昌にくるなんて嘆かわしい」「金正恩、地獄に落ちろ！」と叫びながら、破った金正恩の写真と北朝鮮の国旗に火をつける参加者たち。
「金正恩、地獄に落ちろ！」と叫びながら、金正恩氏の写真と北朝鮮の国旗に火をつけています。
同行していたBuzzFeed Newsのアメリカ人記者が、トランプ大統領について質問すると、「トランプ！トランプ！トランプ！」と歓喜をあげて連呼した。
「トランプ大統領に爆弾を北朝鮮に落としてほしい」と話す大韓愛国同志会のナム・インス会長。「トランプ！トランプ！トランプ！」と連呼が。
「トランプに北朝鮮をクソみたいに爆撃してほしい」と訴える抗議参加者たち。
トランプ大統領が北朝鮮にタカ派の姿勢を取ることを期待しているという。
同志会のナム・インス会長は、BuzzFeed Newsの取材に対し「これは（北朝鮮の首都の）平壌オリンピックじゃない。平昌のオリンピックだ」と訴えた。
抗議参加者の一人はBuzzFeed Newsにこうも話した。
「北朝鮮が核を保有していないなら統一は可能だと思う。北朝鮮が核を保有したままの統一は許されない。北朝鮮による南北統一は許されない」
開会式が始まった午後8時ごろ、オリンピックスタジアムから5分ほど離れた別の場所でも、50人規模の抗議が始まった。
#平昌五輪 の開会式が始まった今でも、デモが続いています。
「政治的で醜いオリンピック反対」「平壌オリンピックOUT」「文在寅OUT」などと書かれたバナーが掲げられていた。
「政治的で醜いオリンピック反対」などと書かれたバナーが。
背景で流れているのは、韓国の文大統領の北朝鮮に対する姿勢を罵倒するラップ曲「平昌遺憾」。
朴槿恵前大統領を釈放するよう求めるプラカードを持つ参加者もいた。
デモの始まりの様子。国歌を歌っています。
デモ参加者たちの背後には、オリンピックスタジアムが。
開会式デモが始まってから1時間経った午後9時ごろ、警察と衝突が始まった。デモの参加者が北朝鮮の国旗を火に付けようとしたからだ。
また、金日成や金正日、金正恩が描かれた北朝鮮の国旗を女性が破った時も、警察が駆けつけ介入。
デモ参加者が北朝鮮の国旗を破るたびに警察との衝突が。
デモ参加者によると、金正恩氏の人形に火をつける予定だったが、北朝鮮の国旗を燃やそうとして警察に阻止されるところで終わりとなった。
会場近辺で、北朝鮮の参加に強硬に反対している集団は、全体から見ればごく一部だった。しかし、明確に反対でなくとも、複雑な気持ちを抱える観客もいる。洪川郡からきたキム・ヒュンクワンさんはこう話す。
「韓国の選手たちは、一人一人この日のために努力して来たのに、南北合同チームができてから落とされた選手もいる。馬鹿げている」
一方、開会式スタジアム内では、韓国と北朝鮮の選手たちが統一旗をともに持ちながら合同入場。大歓声が起き、和解ムードもあった。
ソウル市から開会式を見に来たナ・ビョンジュンさんは、「北朝鮮の選手とともに韓国の選手がコリアとして参加するのは、国にとって良い」と話す。
韓国政府や大会組織委員会が「平和」を目指す今回のオリンピック。友好ムードを演出する一方、政治的な要素が大きいと批判の的にもなっている
韓国選手団や、南北合同で出場する女子アイスホッケーチームなど、試合の行方によって、国民のオリンピックへの反応も左右される。
この記事はチュン・サンクさんの協力を得て作成しました。