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"世界一スタイリッシュなホームレス"が送る、究極ミニマリストな生活とは?

フォトグラファー、俳優、そしてモデルと華やかなエンタメ業界で働くニューヨーカー、マーク・レイさん。彼が隠れてビルの屋上暮らしをしていたのには理由がある。

「自分の人生はネタ満載で、ずっとドキュメンタリーをつくってくれる人を探していたんだ」

188cmと長身でダンディーな男性、マーク・レイさん(52)。ニューヨークのフォトグラファー、俳優、そしてモデルだ。華やかなエンタメ業界で生計を立てる一方、6年間にわたって友人が住むビルの屋上で隠れて生活していた。

1月28日、日本で公開されるドキュメンタリー映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』は、家を持たずに"ミニマリスト"な人生を送るレイさんの生活を映している。

映画のプロモーションで来日していたレイさんに、BuzzFeed Newsは民宿・地球に宿借り シェアハウス JamHouseで話を聞いた。

家を持たないのは「ライフスタイルの選択肢」

原題『HOMME LESS』は、フランス語で "人間より少ない" を意味する。タイトルについてレイさんはBuzzFeed Newsにこう語る。

「映画の中で、僕は人間的に不十分なところを明かしている。その意味ではタイトルは僕にピッタリなんだ」

長い間海外で働いていたレイさんは、アメリカに帰国してから友人の部屋を借りて泊まる予定だった。

しかし、自分にシラミが棲みついていると勘違いし、迷惑をかけないようにビルの屋上で寝始めたのが、"ホームレス"生活のきっかけだという。

「自暴自棄になってこんな生活せざるをえなかったんだけど、だんだん自分のライフスタイルの選択肢になってきた。物欲に勝てるかどうかのゲームになってきたんだ。ぐっすり眠って起きただけでも、すでに何かを達成したように思えるよ」

邦題は『ホームレス』だが、レイさん自身は自分を「ホームレスだと呼んだことはない。自覚したこともない」と語る。

「どこで寝る寝ない、というより、自分は人間として価値があるとわかっていた」

「幸運なことに、僕は路上や公園で寝ていなかったので、危ない目に遭わなかった。屋根のない場所で無防備に暮らさなければいけない典型的なホームレスとは違う。『アーバン・キャンパー』と自分を呼んでいるよ。僕にとって、冒険たっぷりのライフスタイルだから」

「自然でオリジナルな自分」を追求して

ずっと自分のドキュメンタリーを夢見ていたレイさん。

モデル仲間だった監督のトーマス・ヴィルテンゾーンさんが、ニューヨークに引っ越してきた時に、お互いの近況を話していた。

「向こうが新しい家について話したあと、僕がどこに住んでいるのか聞いてきたんだ」

友人が住むビルの屋上で生活をしていること。朝の支度を公園のトイレで済ませていること。ジムのロッカーに手荷物を保管していること。

話を聞いたヴィルテンゾーン監督は、レイさんのドキュメンタリー映画を作りたいと話を持ちかけたという。

「トムを監督としては信頼していなかったけど、友人としては信頼していた。僕たち2人の旅はここから始まったんだ」

密着撮影の期間は3年間、合計で300時間に及ぶ。いきなり夜中の2時半に待ち合わせ、ゲリラ撮影もした。

「映画自体は86分だから、余裕で続編を165本も出せるね、とトムと冗談を言っていた(笑)」

演技は一切なしに、自然でオリジナルな自分をさらけ出すのにこだわったレイさん。

自由で気ままな人生を送っている一方、そんな自分に対する葛藤も描かれている。笑顔、涙、怒り——映画では、そんなレイさんの喜怒哀楽が垣間見える。

ドキュメンタリー映画を出してから

映画が完成してから、暮らしは楽になったのだろうか。

「ノー(笑)。いや、ある程度の変化はあったけど、経済面ではあまりなかった。以前と同じくもがいているよ。金は入ってきてもすぐ流れていく。でも、何かを成し遂げた感動はいつまでも続くよね」

映画の反響で、メッセージがレイさんのもとに寄せられたという。

「いろんな人が書いてくれることに感動している。『幸運を祈っています』『やる気が出る映画だった』とか……こういうのを見ると、嬉しくなる」

「俳優、そして普通の人間として、人の前に立つ自信を持てるようになった。自分が生み出したものや手伝ったものが成功し、人が興味を持ってくれるから」

映画を公開してから屋上で暮らすことができなくなり、現在では友人のアパートを借りて住んでいるという。

どのような人生を送りたいか悩んでいる人へのアドバイスを聞くと、「アドバイスをする立場にはあまりないよ」と笑いながら、こう答えた。

「まぁ、映画を観てみて。癒されるかもしれないし、アイディアが見つかるかもしれない。それが僕ができるアドバイスかな」

「人生がどんなに暗くなったとしても、長い冒険に出たら最終的に映画になることもあるよ」

レイさんは、目を閉じてニヤっと笑うと「むしろ僕にアドバイスがあるんだったら、教えてね(笑)」と話してインタビューを締めくくった。

映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』は、1月28日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次ロードショー

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ミモザフィルムズ / Via youtube.com

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Eimi Yamamitsuに連絡する メールアドレス:Eimi.Yamamitsu@buzzfeed.com.

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