ヨガパンツは「みっともない」と言われた女性たち。抗議するのに取った行動とは

    ヨガパンツは「20歳以上の女性にはまったく似合わない」という男性の投稿が発端。

    「都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともないんだ。」

    電車内で化粧をするのは、「みっともない」のか?

    東急電鉄のマナー向上広告をめぐって大きな議論が巻き起こっている。

    電車で化粧をするのは「みっともない」という標語に対して、Twitterには「女性への抑圧」「マナーを女性のみに絞ったのが限定的すぎ」と批判する意見が次々と書き込まれた。

    一方で、「マナーではなくモラルの問題」「他人を不快にさせないのは大人の女性のマナー」と広告に賛成する声も上がっている。

    アメリカでも、20歳以上の女性がヨガパンツを外で履くのは「みっともない」という男性からの投書が地元新聞にあった。


    10月19日、ロードアイランド州バーリントン在住の男性アラン・ソレンティーノさん(63)は、地元新聞Barrington Timesの投書欄に、ヨガパンツを履く大人の女性は「みっともない」と痛烈に批判。

    「女性へのお願いだ。ヨガパンツをしまってくれ」

    「カジュアルからフォーマルまで—結婚式、葬式、ショッピングそして職場までも—ポニーテールでヨガパンツを履いて……なんてひどいことなんだ!」

    ヨガパンツは、ミニスカートと同じく「若さの特権を持つ子どもや若い女性が履くからこそ魅力的」だと論じるソレンティーノさん。「熟成した大人の女性が履いて外を歩いていると、何か奇怪で不隠な感じになる」。

    あの臭くてみっともないヨガパンツより、きちっとしたズボンやジーンズの方が良い。20歳以上の女性にはまったく似合わない。むしろ、見た目が悪い。悪いことは言わないから、いい加減大人になって公で履くのはやめなさい。

    「ヨガパンツは、ヨガスタジオのみで履くべき」と訴えた。

    それに、どこの誰もが身に付けているようなものを着たがるんだ?女性は人と同じものを着るのが嫌なのかと思っていたよ。ヨガパンツは、ヨガスタジオのみで履くべきだ。次は何だ、競泳パンツの姿でスーパーで買い物か?男が外で着ているのを想像してみろ。オエッ!

    最後に、こう締めている。「ヨガパンツを履いているみなさん。歳をとるにつれて自分の体形で悩んでいるのに、あなたたちの体形にも悩ませられたくないんです。ありがとう」

    この投書に対し、ユニークな形で抗議した女性がいる。

    自分の体形を祝う「ピースフル・ヨガパンツ・パレード」

    ロードアイランド州に住むジェイミー・バークさんは、新聞の投書欄を読んでとっさにFacebookに投稿した、とBuzzFeed Newsの取材で話した。「どうやって抗議できるか、友人と一致団結して考えました」。

    パレードが年中多くある、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のバークさん。パレードをしようと思ったのは当たり前のことだったという。バークさんは、ロック音楽を通して女の子たちをエンパワーするボランティア活動もしている。

    投書欄へのレスポンスとして、バークさんは友人や家族の助けを借りて「ピースフル・ヨガパンツ・パレード」をバーリントンで開催することにした。

    Facebookのページでは「一番着心地の良いヨガパンツを履いて、近所をのんびりと歩きましょう」と紹介している。

    「ソレンティーノさんへの嫌がらせではありません。このパレードでは、自分たちの身体を好きな格好で祝っているのです」

    パレードの目的は、「ボディシェーミング(体形の侮辱・body shaming)と男性による女性の体形の規制への対抗」だと話す。パレードのルートには、もちろんソレンティーノさんの家が入っていた。

    ソレンティーノさんはというと、自宅に「言論の自由」と書いた紙を貼っていた。ワシントンポスト紙が報じた。

    バークさんによると、性差別に立ち向かい、自分のあるがままの身体への誇りを持とうと訴える400人の女性が集まった。「友人、近所、家族、犬、そしてメディアがたくさん集まって、笑顔で参加していました。笑いが絶えない、とてもにぎやかな環境でした」

    参加した人たち全員が自分の身体に誇りを持てるようになったのが、何よりも大事だとバークさんは話す。

    パレードの参加者たちは、自ら被害に遭った性差別、声かけや痴漢について話し合ったという。「話し合わなければいけない必要性を改めて認識しました」。

    パレードの最後はヨガで締めくくられた。「個人的には、すべてが丸く収まった完璧な終わりかたでした」

    パレードの反響にバークさんは驚いている。

    「このようなイベントを主催したことがありませんでした。50人くらいが集まって、ソレンティーノさんにヨガパンツを見せられれば良いかなと思っていたので。こんなに大規模になるとは誰も思っていませんでした!」