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「僕はいい父親だ」子育て奮闘中のバイセクシュアル男性が伝えたいこと。

バイセクシュアルとして愛、子育て、デートをやりくりする実際の経験について、語ってくれました。

筆者の親友は、性的指向が男女どちらにも向く、バイセクシュアル男性です。これは、そんな彼の実体験に基づく話です。

カミングアウト

僕は19歳の時にバイセクシュアルだとカミングアウトした。2カ月ほどデートした男性を真剣に好きになったんだ。公表して以来、馬鹿にされたり、孤独な思いをしたりしてきた。

女性からは「バイセクシュアルの男性と付き合ったことないの、ごめんね!」って言っていつも振られる。

ほとんどの男性は、僕のセクシュアリティを快く受け入れてくれた。けど一部の人からは、ひどい言葉を言われたこともある。

自分のセクシュアリティを自分の中で受け入れられるようになったのは、つい最近なんだ。自分の幸せのためには、受け入れざるを得なかった。

僕は今年、ひどい鬱になって、長く付き合っていた女性と別れた。だから彼女も僕も精神的にかなり疲弊したんだ。

それで、現実の自分に向き合って、誰を愛したっていいんだってことを改めて受け入れることにした。僕は僕であり、このままでいいんだって。

バイセクシュアルは足がかり…?

まず、バイセクシュアルに対する一番ありがちな誤解から始めよう。

バイ男性は、自分がゲイ男性であることを受け止められないだけだ、と決めつける人は多い。

けど、バイセクシュアルの人全員が、同性愛者だとわかるまでの自分探しの途中にいるわけではない。

僕は今でも女性に惹かれるし、ある女性と子どもも作った。だから、「一時的なもの」ではないんだ。

ゲイ男性のなかには、完全に同性愛者とカミングアウトする前に、表向きバイセクシュアルだと公言する人もいる。でも、みんながみんな、これに当てはまるわけではない!

バイセクシュアルは一時的なもの…?

イギリスのあるバンドマンが「自分は男性とキスした経験はないけれど、バイセクシュアルだ」と発言したことがあった。

でも世間からは、バンドの売り上げを伸ばすため、イメージ作りをするためにそんな発言をしたのだと非難されたんだ。

でもさ、バイセクシュアルであることを、同性とのキスや性行為といった行動で証明する必要なんてどこにもない。

僕はバイセクシュアルだ。波もあるし変化もするけど、一時的なフェーズなんかじゃない。過去には女性とも男性ともそれぞれ長く付き合った経験があるけど、それでも自分がバイセクシュアルだという事実は常にそこにあった。

性的に従順…?

バイ男性=受けだと決めつける男性がいる。

女性の方も、僕が男性と寝たことがあるという理由からか、僕が受け身で女性に攻められるのが好きなんだろうと決めつける。彼女たちはある程度、そうした行為に憧れている部分があると思う。個人の経験上ね。

人によって好みは違うし、ここでは誰かを変態扱いするつもりはない。

けど、僕がいつでもお尻を叩かれたいと決めつけるのは、本当にやめてほしい。僕は女性とセックスするときはリードする方。

男性との場合は確かに、 リードされる側になりがちだ。とは言っても、これはあくまでも僕個人の好みであって、バイセクシュアルの人がそれぞれベッドルームでどう振る舞うかを映し出しているわけではないと、強調しておきたい。

何でもいいってわけじゃない

これは僕のお気に入りの言葉。

人に聞いた話から判断するに、僕の性欲は至って平均的な方だ。しかも心が広くてかなりロマンチックなんだ。

だからと言って、誰でもいいわけではないよ!

バイセクシュアルの人は、誰とでも寝るとか、カジュアルな関係を持ちたがると、決めつけられることが多い。

中にはまったくその通りの人もいるけど、バイセクシュアルがそうだというわけじゃない。

もし僕が浮気性だったり毎晩パートナーを取っ替え引っ替えしたりする人でも、それはそれでいいと思う。でも僕はそういう人じゃない。

なにより、浮気性という人間性は、僕のセクシュアリティとは全く関係ないこと。それなのに、なぜ僕がバイセクシュアルってだけでそういうことを決めつけるの?

男女のどちらも好きだから、常にどちらのことも求めているし手に入れたいと思う、ってことみたいだね。僕に言わせれば、ひどい発言だと思う。

女性に言われる「男らしくない」

僕は自分のことを、ある程度の両性を持ち合わせたシスジェンダー(割り当てられた性と性自認が一致)だと思っている。

個人的な経験として、僕がバイセクシュアルだと打ち明けたとたんに距離を作るのは女性が多くて、その逆はあまりない。

どうしてって聞くとたいてい返ってくるのは、「男らしくない」ってこと。もちろん、全女性がこうだと言っているわけではないことは強調したい。

僕は男性とデートしたりセックスしたりするから、女性からすると「男っぽさが少ない」ということになるんだ。でも男性からは、僕が女性とデートしたりセックスしたり、さらには女性と子どもを作ったりってことは、今のところ問題にはなっていないよ。 

バイセクシュアルの男性の中には、こうやって拒絶されたことで、内に秘めたセクシュアリティを女性の周りでは隠そうとする人がいる。男性がどんな性自認をしようが、本人が男だと感じるのなら男なんだよ。

男性に言われる「俺が男の魅力を教えてやった」

僕自身の経験として、僕がバイセクシュアルということに怯む男性はそんなにいない。でも、デート相手の男性が、僕とデートすることよりも、女性に興味がある男性をヤったぞみたいな感じで、勝ち誇ってみえる時がある。

僕を“その気にさせた”とか、僕に男の魅力を教えてやったぞみたいな感じで…。

バイセクシュアル男性というだけでヤリたがる人は、セックスの相手として最低だよ。言っちゃった…。

で、女の子と付き合ってるときは男性と付き合いたいなとか、その逆を思ったりとかするの?

答えは、ノーだ。誰かと付き合って、長く続いてうまく行っていたら、僕にとってそれは1対1の交際だ。

複数人と付き合う、束縛しない関係を好む人もいるけどね。でも僕にとっては、1対1の関係にいるときに、交際相手とは違う性別の人と付き合いたいと考えることはないな。

付き合っていた人に、(相手とは)違う性別の人との関係を恋しいと思っているか、聞かれたことが何度かある。

バイセクシュアルに対するこうした見方は、バイセクシュアルの人は単に欲張りで肉欲的な存在だ、という誤解から来ていると思う。

パパ、男の子が好き?女の子が好き?

僕は今、26歳のパパ。6歳の息子がいる。

息子とはオープンに話をしている。僕は男性も女性も好きだって。

僕は自分のセクシュアリティを息子に隠したりしない。 愛とは、世間で目にするような型にはまったイメージと常に同じではないことを、小さな子も学ぶ必要があると思っているから。

人は誰でも愛することができるし、愛にはタブーがないと理解できるよう意識して育ててきた。息子が大人になったときに、自分らしくいてほしいから。

息子は、パパが男性と付き合っていようが、女性と付き合っていようが、気にしていない。将来、息子が恋愛する年になったとき、混乱するんじゃないかって言う人もいるけど、息子は人が単純な“モノ”ではないことを理解し始めている。

子どもたちが未来の担い手になるよう、そして今の世代に存在しているステレオタイプと闘うような人物となるよう、働きかけるべきだと思う。

こんなジョークは面白くない!!(言ってやったぞ)

「あの女性とその旦那さんの両方を好きになっちゃうね」ってジョークは、まったく面白くない。君ら2人とも僕の好みじゃないよ。

自分のアイデンティティを疑問視されたことのない人による、卑劣な発言だと思う。僕は嫌になるほどこういうジョークで胸を痛めてきた。

それから、テレビに出てくるバイセクシュアルの男性に似てるって言われることもしょっちゅうだけど、単にバイセクシュアルってだけで似てないから。

僕は、自分の性的指向だけで定義された人間じゃない!

メディアでかき消される

映画『ブロークバック・マウンテン』は、ゲイ映画ではないってことがかなり議論されている。ジャックとイニスは実際のところバイセクシュアルだって話!

メディアが、この作品を完全に、性的指向を隠している2人のゲイ男性というイメージにしているせいで、2人の登場人物がバイセクシュアルかもしれないってことすら誰も考えなかったって事実が、いかにバイセクシュアルの存在が無視されているかを物語っていると思う。

テレビや映画の世界で、バイセクシュアルがきちんと描かれることも多くなってきた。例えば、『ブルックリン・ナイン-ナイン』や『グッド・プレイス』とかね。

でも、メディアの中でバイ男性を目にすることは、鉱山でダイヤモンドを見つけるくらい珍しい存在だと思う。

ロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーでさえも、メディアは彼のセクシュアリティを消し去って、彼の物語をバイ男性ではなく、ゲイ男性として書き替えてしまったしね。

最後に。バイセクシュアルのパパたちへ。

あなたが誰を愛するか、好きになるか、誰と付き合うかで、本当のあなたらしさが損なわれるなんてことはない。自分の経験の中で孤独になる必要なんてない。あなたはあなたであって、そのままで十分なんだ。自信を持って。

僕はバイセクシュアルの男性であり、いい父親でもある。息子にふさわしいのは、途方に暮れたパパじゃなくてハッピーなパパだ。誰もが、僕のセクシュアリティについて細かいところを理解してくれるわけじゃない。でもそれでいいんだ。僕らはそのうち僕らにぴったりの人を見つけるから。

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この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan