「ココ」ことコートニー・ジョンソンさん(15)はこの10カ月、非常に辛い日々を過ごしていました。

父親のケリーさん、母親のエイプリル・ダンズさん、弟のパーカーさんと一緒に米カリフォルニア州パサデナで暮らすココさん。
ココさんは、1週間ほど足の痛みに悩んでいたため検査を受けました。すると、左の大腿骨の下部に腫瘍が見つかったのです。中学校の卒業式翌日のことでした。
ココさんはその後、2度の手術と、化学療法による治療を十数回、受ける必要がありました。そのため、くる日もくる日も病院で過ごさなければいけませんでした。
高校の1年目はまったく通学できず、代わりに自宅で勉強を進めました。家族はココさんの体調を気遣い、家では皆マスクをして過ごしています。
「何日も続けて気分がすぐれないときもたくさんありました」とココさんはBuzzFeed Newsに話します。

母親のダンズさんによると、化学療法を続けていた間、ココさんは体調を崩しても粘り強く耐えていたそうです。
「娘は本当に、病気に負けませんでした。私たちみんなの気分が落ち込んだときもありました」
「しかし娘は自分が惨めだなんて思ったことはありません。彼女はいつも笑顔でがんばっていました」
ココさんは3月24日、最後の化学療法治療を終え、ロサンゼルス小児病院(CHLA)での通院生活を終えました。

CHLAではふだん、化学療法の治療を終えた患者を盛大にお祝いします。
治療を終えた子どもたちは、たくさんの人たちに囲まれながら、ベルを鳴らします。
しかし新型コロナウイルス感染症の流行を受け、病院側は面会者数を1回につき1人までと制限していました。
さらにココさんの場合は、新型コロナウイルスへの感染を避けるため、免疫力が改善するまでの半年間は自宅で厳しい隔離生活を送る必要がありました。
退院する3月24日は、新型コロナが爆発的に流行していた時でもあり、見送りに来るのは家族と数人の病院職員だけ…。この時まではそう思っていました。
「大変なこの時期に、ちょっといい話を聞きたい人いますか?私のかわいい娘が今日、化学療法の治療を終えました」
Who wants a feel good moment during this madness?? My sweet girl finished chemo today.
母ダンズさんのツイート
娘が化学療法を終えたことを盛大にお祝いできない。とても残念に思ったダンズさん。
数日前まで、友達のソニア・シングラさんとこのような話をしていました。
「娘は大変な思いで化学療法を耐えてきたのだから、パーティでも開こうってずっと考えてた」
「なのにいまはそれができないなんて、残念...」
しかしシングラさんはそのとき、あるアイデアを思いつきました。ココさんのために「逆パレード」を開くのです!
それは、ココさんと親しい数人がココさん宅まで車で行き、車内で待機。そして帰宅してくるココさんを手を振って迎えるというものです。
しかし、これに参加してくれたのは「数人」どころじゃありませんでした。
ココさんを乗せた家族の車が、自宅のある道路に入ったところで、ダンズさんは携帯電話で録画を始めました。
パレードに来るのは、せいぜい数人ほどだと予想していたそうですが、外に出るとココさんの友人や支援者がたくさんいました。
ダンズさんに気づかれないよう、シングラさんが多くの人たちにテキストメッセージを送っていたのです。そしてその人たちが、さらに大勢にメッセージを送っていました。
みんなそれぞれ自分の車にいて感染予防に必要な距離を保ちながらも、ココさんの人生の記念すべき瞬間を、看板、ポスター、横断幕、風船でお祝いしてくれていたのでした。
「角を曲がったときの光景は、私たち全員にとってものすごく感情を揺さぶられるものでした」とダンズさんは話します。
「娘のココは昨日、化学療法での治療を終えたのですが、友達がサプライズで『社会的距離を取ってのおかえりパレード』をして迎えてくれました!」
@johnkrasinski #SomeGoodNews my daughter, Coco, finished her final chemo treatment yesterday and our friends had a surprise social distancing welcome home parade for her!
ダンズさんの動画には、ココさんが嬉しさのあまり泣きながら手を振っている様子が捉えられています。その先にいるのは、10カ月間ずっとココさんを元気付け、家族を支え続けてくれた人たちです。
「すっかり胸がいっぱいになってしまいました。何も想像していなかったので」
「だからとてもびっくりしたし、お祝いするために集まってくれた人たちを心からありがたいと思いました」
「みんながいてくれたあの瞬間、とても感動しました」とココさんは話しています。
ダンズさんにとってもまた、この瞬間は感動的なものでした。集まってくれた人たちの多くは、ココさんの治療期間中、食事を作るなど何かしらで家族を手伝ってくれた人たちでした。
最後の治療の数週間前、この人たちは「チーム・ココ:ひとりで戦う人なんていない」という帽子を数百個作り、ソーシャルメディアに投稿していました。
そしてこの人たちがまた、ココさんのために行動を起こしてくれたのです。
「正直言ってここ10カ月、私たちはかなり気を張って過ごしてきました」
「娘がベルを鳴らす姿や、ずっと支えてくれた人たちが角を曲がったところにこんなに集まってくれたのを目にして、感情が一気に解き放たれました」とダンズさんは言います。
ココさんと家族ぐるみの友人である俳優のマシュー・リラードさんも、集まった人のひとりでした。
リラードさんも3月25日、ダンズさんの動画をツイート。
People may need some goodness right now. Coco finished her last chemo treatment yesterday. 9 months later and Ewing sarcoma can SUCK IT! Our community threw an impromptu welcome home party for our favorite warrior. Leave a comment below...let her know how radical she is! #COCO
「みんな、こんな時だからいい話を聞きたいところだと思います。ココさんは昨日、化学療法での治療を終えました」
「骨腫瘍が9ヶ月で消えるなんて!このコミュニティのみんなで、大好きな戦士ココさんのために、即席のおかえりパーティを開きました」
「どれほどココさんを素晴らしいと思うか、みんな、下にコメントを書いて本人に知らせてあげて!」
アメリカの人気テレビ番組『ジ・オフィス』で知られる俳優ジョン・クラシンスキーさんへのリプライがきっかけで、動画はさらに拡散されました。
リプライに添付された動画は現在417万回以上再生されており、多くの有名人の注目も集めています。
ダンズさんのツイートに返信する、ジョン・クラシンスキーさん
@momuses Well this is one of the greatest things I’ve seen. Welcome home Coco!!
「これまで見た中で最高のやつ。おかえり、ココさん!」
他にも、ドラマ『OZ/オズ』などで有名な、俳優のクリストファー・メローニや
Sweetest thing. #communitymatters https://t.co/lgNHi4Dpv6
「最高にいい話」
元ニュースキャスターのグレタ・バン・サステレンさんも、ココさんを祝福
A cheer from me to Coco! Congrats on finishing her last chemo....and watching these people proves once again...people are kind... https://t.co/i9rq3ymVu5
「ココさん、私からも拍手を送ります!化学療法の治療終了おめでとう。こういう人たちを見ていると改めて、人ってやさしいんだなってことが分かる」
ダンズさんは、自分の動画が拡散された理由について、このように話していました。
「コロナウイルスのせいで国がこのような状態なので、ココの話はより人々の心に響いたのだと思います」
「今は誰もが、他の人に頼り、近所の人たちをもっとよく知る必要があります」
また、ココさんはこのように話しています。
「たくさんのコメントをもらったけど、どれもすてき。全部読んでいます」
「新型コロナウイルス感染症が大流行し、いくつかの国や地域はロックダウンも行われています」
「それでも、この動画を見ている人たちが、自分にも所属しているコミュニティがあるということを思い出してくれたら」
「こんな大変なときだからこそ、互いに協力し、支え合うことが大切だと思います」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan