オーストラリアではここ数日、新型コロナウイルスの感染者数が急増している。これを受け、ビクトリア州では再びロックダウン(都市封鎖)措置となっている。
ビクトリアのロックダウンは今回で2回目で、6週間続く見込みだ。大人数での集まりは厳しく禁止されており、不要不急の外出は禁じられる。
州都メルボルンの市民は7月8日から自宅待機を求められている。食材や生活必需品の購入、介護、運動や勉強、仕事といった理由以外での外出は、認められていない。違反すれば罰金となる。
そんな状況にあるメルボルンで7月10日深夜、2人の救急隊員がケンタッキーフライドチキン(KFC)を訪れた。
その時、2人組の客が、深夜1時30分にもかかわらず、約20人分の食事を注文した。大量の注文に、救急隊員は驚いたという。

2人組を不審に思った救急隊員たちは、従業員にその旨を伝えた。
従業員は警察に、2人組の車のナンバープレートを通報。警察が2人組を尾行すると、たどり着いた先はメルボルン郊外の住宅だった。
警官らが住宅に入ると、ます眠っている2人を確認。その奥に16人が隠れていた。誕生日パーティーが開催されていた模様だ。
KFCから持ち帰った食事は、来客の腹を満たすためのものだったという。
ビクトリア州警察のシェーン・パットン長官は、7月10日に行われた記者会見で、「本当に馬鹿げています。こんなことをするなんて」と話していた。
パーティーに参加した16人には、罰金が課せられた。総額で2万6千豪ドル(約193万円)になるという。
パットン長官は、このようにコメントした。
「さぞ『お高い』夜になったでしょうね」
「思い出深い誕生日パーティーになったことは間違いないでしょう。今後も決して忘れられないでしょうね」

ビクトリア州では新型コロナウイルスの感染者が増加しており、最近で最も多かった7月10日の感染者は、288人にのぼる。ダニエル・アンドリュー州首相は、「第2波」の感染拡大を防ぐためにロックダウンを決め、市民にマスク着用を求めている。
パットン警察長官によると、罰金の対象になった人々はほかにもいるという。
客を受け入れていた46人のセックスワーカーが罰金を課せられた。また、自宅待機命令が出ていたにもかかわらず、2度に渡り車で別荘に向かおうとした夫婦にも、罰金が課せられた。
「このようにあからさまで、明白な、意図的にガイドラインを無視するような行為に対して、我々は取締りを強化します」と、パットン長官は語った。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:吉谷麟