「コロナで挿管される時はこんな感じ」ICU看護師の投稿が反響を呼ぶ
あるICU看護師にとって、患者に挿管を伝える瞬間が精神的負担になっているといいます。「私たちは一日中、一人の命と向かい合って、患者を救おうと奮闘し、患者との絆を築いています。患者が一人でこの辛い経験をしなければならないと思うと、心が痛みます」
サバンナさん(28)は、アメリカ・ニューヨーク市にある病院のICU(集中治療室)で働く看護師です。新型コロナウイルス感染症患者の治療を担当しています。

新型コロナウイルスの流行によって、仕事が過酷になったとサバンナさんはBuzzFeedに語ります。

「他の看護師や医療従事者にとっても同じだと思いますが、パンデミックにより、仕事の状況がまるで悪夢のようになりました」
「命をかけて患者の世話をするよう頼まれ、毎日出勤するたびに感染のリスクに晒されるとわかっていながらも、私たちの多くは誇りを持ってその頼みに応えています」
特に精神的な負担となっているのは、新型コロナウイルス感染症の重症患者に、気管挿管が必要だと伝えることだといいます。

挿管とは、患者が自力で呼吸できなくなったときに、気管に専用チューブを直接挿して酸素を送る処置のことです。
チューブは人工呼吸器につながっており、ポンプで肺に酸素を送り込んで二酸化炭素を排出するのを助けます。
そこでサバンナさんは、TikTokにある動画を投稿しました。
動画は患者の視点で撮影されており、防護服に身を包んだサバンナさんが挿管が必要だという旨を伝えます。
「きっと大丈夫。よくなりますよ」「ご家族とビデオ通話をつなぎましょうか?」と語りかけるサバンナさん。動画には、「コロナで挿管される時はこんな感じ」とキャプションがついています。

「ICUの看護師の仕事は、とてもデリケートなバランスで成り立っています。患者の体がもう機能しない時、代わりに私たちが動かすんです」とサバンナさん。

「心臓を動かすために、点滴を打ちます。腎臓の替わりになる機械を動かします。肺での呼吸ができるように、機械を取り付けます。食事を与えます」
「患者の体が機能しない時、必要なケアは全て行います」
「ICUの需要が高まっているため、残業を強いられる看護師が増えています。多くの死や悲しみを目にして、トラウマになる人もいます」

サバンナさんはシフトの後にTikTok動画を撮影・投稿していますが、時には涙を見せることもありました。
「(新型コロナにより)愛する家族を失った人のため、そしていまだにマスクやソーシャルディスタンスを拒む人たちに向けて」、サバンナさんは挿管の動画を投稿したそうです。
「私たち(ICU看護師)の存在を知ってもらうためにも投稿しました。あなたの大切な人が入院している間、私たちは真摯に治療に取り組んでいると知ってほしい」
「私たちは一日中、一人の命と向かい合って、患者を救おうと奮闘し、患者との絆を築いています。患者が一人でこの辛い経験をしなければならないと思うと、心が痛みます」
20代〜40代の患者が新型コロナウイルス感染症により死亡するのを目にしてきたと、サバンナさんは明かします。

「毎日病院で、大人数のチームと一緒に、誰かの体が死と闘うための手伝いをしています」
「医療従事者は人々を助けるためにいると、多くの人に理解してもらいたいです」
「しかし同時に、マスクをつけないで地下鉄に乗るという単純な選択に見えるかもしれないことが、人生を終わらせ、家族を壊滅させる可能性があることも理解してほしいです」
「今は、小さな選択が大きな結果を生みますから」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子