【相模原事件】「親切で大人しい」容疑者に何が 暴言、大麻、入院から虐殺へ

    2月の豹変。そして、凶行へ。

    「戦後最大級の大量殺人」となった神奈川県相模原市の障害者施設襲撃事件。出頭した植松聖容疑者(26)を古くから知る人たちは「明るい人」「大人しい」と口をそろえる。何が容疑者を凶行に駆り立てたのか。

    残忍な犯行と繋がらない友人たちの印象

    植松容疑者は7月26日未明、2月まで勤務していた「津久井やまゆり園」に侵入。職員を結束バンドで縛り、入所していた障害者を次々と刺したとみられる。

    計画的で残忍。だが、BuzzFeed Newsが友人や知人たちに取材すると、違う一面が浮かび上がる。

    「明るくて、誰とでも仲良くできる」「大人しい」(高校時代からの友人)。「人に優しくて、誰にでも親切」(小中学校の後輩)。

    「気に食わない人にはキレやすい」(高校の同級生)という声もあるが、「こんな犯罪をするとは信じられない」という点は一致する。

    そんな植松容疑者は、いつ、なぜ、変わってしまったのか。朝日新聞などの報道を総合すると、今年2月に大きな変化があった。

    「障害者470名を抹殺できる」

    植松容疑者は2月15日、東京・千代田区の衆院議長公邸を訪ね、大島理森議長にあてた手紙を渡した。

    手紙には、やまゆり園など施設名を挙げ、「職員の少ない夜間に侵入する」など具体的な計画とともに「障害者総勢470名を抹殺することができる」と書かれていた。

    2月18日には同僚に「重度の障害者は生きていてもしかたない。安楽死させたほうがいい」などと話し、19日に依願退職という形をとって、施設を辞めた。

    「明るい」「大人しい」人物像とはかけ離れた文言。このような豹変は「施設を辞める少し前」(黒岩祐治・神奈川県知事)から始まったという。

    容疑者のアカウントとみられるTwitterには、2月12日、こんなツイートがあった。

    退職した植松容疑者は「他人を傷つける恐れがある」との判断で、医師の診断のもと、「措置入院」している。

    措置入院とは、精神障害で「抑うつ状態」などの症状があり、自分や他人を傷つける恐れがある場合、医師が診断したうえで入院させる強制的な処置だ。

    入院した病院では、尿から大麻の陽性反応が出て、「大麻精神病」や「妄想性障害」などと診断された。3月2日に症状がなくなり、本人から反省の言葉が聞かれたことなどから、「他人を傷つけるおそれがなくなった」と診断されて退院したという(NHK)。

    2月の豹変までの間に植松容疑者に何があったのか、詳細は未だ不明だ。

    出頭直前、植松容疑者のものとみられるアカウントでは、こんなツイートがあった。

    やまゆり園で勤務していた頃は、入所者と手をつなぎ、施設周辺を散歩する植松容疑者の姿も目撃されている。

    「障害者なんて、いなくなればいい」と供述しているという植松容疑者。その豹変の理由が解明されるのは、これからだ。