バスケの最高峰、アメリカプロリーグのNBA。日本人としてはじめてドラフト一巡目で指名された八村塁選手が活躍していることで知られていますが、その、八村選手より一足先に、昨年、NBAにデビューしたのが、渡邊雄太選手です。

渡邊選手は香川県出身。尽誠学園からアメリカのジョージ・ワシントン大学へ進学し、卒業後にNBAのメンフィス・グリズリーズと契約しました。昨年は15試合に出場しました。
今季は、下部組織のGリーグでプレーしながらNBAのグリズリーズへと昇格を目指す日々を送っています。アメリカでの生活や、NBAでのプレー、東京五輪への意気込みを聞きました。
――今シーズンの現状はどうでしょうか?
確実に上がってきてますね。自信もついてきました。
NBAで生き残っていくために何が足りないか。2つあると思っていて、ひとつが外からのシュート、もうひとつがフィジカルです。
そのために、オフシーズンに、外角のシュートとフィジカル、体作りですね。そのあたりをみっちりやりました。特にフィジカルは、大学のときから課題感を持っていた部分でもありましたし。
結果として、外からのシュートもフィールドゴールのパーセントも上がってきました。やってきたことが数字に現れた前半戦でした。
――早くNBAでやりたい?
もういつでもいけるぞ、という気持ちですね。

――自分に求められている役割は?
今やっているGリーグでは、リーダーとしてやっていかなきゃいけない立場ですね。
コート上でリーダーシップを発揮しながら、自分の良さであるディフェンス、頭を使ったプレイ。コーチからはバスケIQに関しては褒めてもらってます。
NBAだと、出場時間も限られてるのでまずはディフェンスですね。あとはルーズボールに飛びついて、フィフティ・フィフティのボールを自分のものにする。ここを頑張らないと絶対に出してもらえない。シュートが入る、入らない以前の問題になってくる。
そこをクリアしてはじめて、フリーの状態で受けたシュートを決められるか、という段階になるんだと思っています。
――キツかったことは?
やっぱり言葉です。大学に来て1年目は本当に何を言ってるのかぜんぜんわからなかったです。そのなかで宿題もあって、バスケもあって。勉強してるかバスケしてるか、みたいな感じで、休む時間がまったくなかったです。
今は、移動とスケジュールですね。試合数も多いですし。僕は2ウェイ契約(編注:基本は下部組織のGリーグに所属し、シーズンのうち最大45日までNBAに登録できる)なので、明日、何時にどこにいるのかわからない、っていう状況が精神的にけっこうきます。
――NBAでプレーして、「こいつはすげえ」と思った選手は?
ヤニス(・アンテトクンポ)です。NBAではじめて、前半から出た試合が(ミルウォーキー)バックス戦だったんですけれど、あのサイズ、あのスピードでリングに向かってくる感じは、すべてが規格外でした。僕だけじゃなくて、他の選手も含めて、一対一ではなかなか止められないんじゃないかな、と思いましたね。

――NBAとGリーグはやっぱり違う?
環境に関しては比べ物にならないです。Gリーグは飛行機ひとつとっても、エコノミークラスの普通の飛行機で移動ですし、ホテルにしたってそこそこのところ。NBAは移動も自分たちの飛行機ですし、ホテルも豪華。やっぱり違いはありますよね。
――八村塁選手と談笑する姿が撮影されてました。何の話をしてたんですか?
こないだもあったので、特に内容のある話はしてないです(笑)覚えてないくらい。塁とは、いつもそんな感じですよ。

―メンフィスでは何が美味しいですか?
バーベキューですかねえ(笑) 美味しいんですけど、かなり重いので、月に一回くらいです。一回食べるとしばらくはいいかなって感じです。日本食のレストランも悪くないですよ。お刺身とか。
普段の食事はチームが用意してくれるものを食べてます。
――オフの日は?
何もしてないです。朝はゆっくり寝て…。家族や友達と電話したり。オフは体を休めるのに使いたいという気持ちがあります。軽くシューティングとかはしますけどね。
プロになる以前から、休日に外出とかはあまりしていません。家で過ごしますね。
――Netflixを観たり?
そうです。「ブレイキング・バッド」はよく観てました。「ウォーキング・デッド」は途中で心が痛くなってきて、挫折しちゃいましたね(笑)

――早くNBAでプレイする姿をまたみたいです。
NBAでやれるって自信はあります。そのためには、ガーベージタイムと呼ばれるような、勝敗とは関係のないところで3分、4分と出されても、そのなかで自分の良さを出し切ってコーチにアピールできるか、というところが大事だと思ってます。
まだ2ウェイ契約なので、とにかくNBAで本契約を取るのがひとつ。そしてオリンピックのときに、日本代表としてプレーできれば光栄だなと思っています。普段、僕は日本でプレーする機会がないので、恩師や友人のような、お世話になっている方やファンの方の前でプレーできるのは楽しみにしています。
そのために、残りのシーズン、がんばります。

訂正
初出時、今シーズンの出場はまだないとの記述がありましたが。誤りでした。