マッサージ店銃撃事件、被告の死刑求刑へ。検察はアジア系への憎悪犯罪と判断

    3月中旬、アメリカ・ジョージア州にあるマッサージ店3軒で、相次いで銃撃事件が起きた。死亡した8人のうち、6人はアジア系女性だった。

    アメリカ・ジョージア州アトランタ近郊で3月16日、3軒のアジア系マッサージ店が相次いで銃撃された事件。犠牲となった8人のうち、6人はアジア系女性で、全米でアジア系に対する攻撃が急増する中で起きた事件に、各地に衝撃が広がった。

    この事件で検察側は5月11日、8人を殺害したとして、殺人などの罪でロバート・ロング被告(21)を地元裁判所に起訴した。

    検察は同時に、事件は人種差別に基づいたヘイトクライム(憎悪犯罪)であったとして量刑を重くし、死刑を求刑する意向を示す文書を裁判所に送付した。

    米国では連邦法やジョージアを含む多くの州の州法で、ヘイトクライムと認定されれば刑を重くできる規定がある。

    ロング被告はジョージア州フルトン郡裁判所の大陪審で、フルトン郡アトランタの2つのマッサージ店で計4人のアジア系従業員を殺害したとして起訴された。

    一方、残り1つの襲撃現場アクワースを管轄する同州チェロキー郡裁判所の大陪審では、アクワースのマッサージ店での事件に関する起訴はまだ行われていないという。AP通信が報じた。

    BuzzFeed Newsが入手したフルトン郡裁判所での起訴状によると、ロング被告は殺人罪など、計19の罪で起訴された。

    ロング被告にヘイトクライムとして量刑の増加を求める理由として、地元検察当局トップのファニ・ウィリス地方検事は、同被告が「人種や国籍、性別、ジェンダー」を理由に、従業員と客を殺害したためだと語った。

    ジョージア州では2020年にヘイトクライム法が制定された。この法律が適用されれば、今回が初のケースとなる。

    アメリカでは、地方検事はおおむね公選制で、選挙を通じて選ばれる。

    一方、死刑を求刑する意向を固めたウィルス地方検事は5月11日の会見で、地方検事選挙の期間中、自らが死刑制度に反対する意向を表明していたことを認めた。

    その上で、以下のように語った。

    「昨年、私はフルトン郡の有権者に対して、死刑を求刑することなど想像できないと話していました。もちろんそのようなことはしませんでした」

    「しかし、私の任期の数カ月間で死刑を求刑しなければならないような事件が起きてしまいました。そのため、実行することにしました」

    被告の警察への供述を聞き、事件現場を訪れ、被害者の家族との対話をしたうえで、ウィルス氏はロング被告に死刑を求刑する決断を下したという。

    警察は当初、事件については調査中だと注意を促した上で、被告が捜査官に対し「射殺の動機は人種ではない」と話していた、と述べていた

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:吉谷麟