身体や心の不調を上手く人に伝えられたら…と思ったことありませんか?
自分ではどうしようもない感情や辛さもそのままの状態で相手に伝えることは難しいですよね…。
本人の感情や感覚をそのまま他の人に伝えることができる超能力を持った職業「メンタル代行人」が存在する世界を描いた漫画があります。
漫画家のあららぎ菜名さん(@Araragi_Nana_23)がTwitterに投稿した漫画には、「私も依頼したかった…」「このお仕事してくださる方がいてくださったら…」と大きな反響が寄せられました。
漫画は会社員の憂木さんが荒い息で上司に電話する場面から始まります。
体調が悪く、立ち上がることもできない会社員、憂木さん。
上司に休みたい旨の電話をしたところ、帰ってきた言葉は、
「ホントに勝手だな!正直困るよ」
「午後はこい いいな!」
上司との電話を切った憂木さんが続いて電話をかけた相手は「メンタル代行人」でした。
憂木さんにしかわからないはずの感情・感覚を上司に伝えたメンタル代行人とはどんな存在なのか…。
BuzzFeedは作者のあららぎ菜名さん(@Araragi_Nana_23)にお話を聞きました。
今回の漫画、もともとはSNSの漫画賞に投稿するために描いたものだったのだといいます。
テーマは「2050年にあってほしい仕事」。
そこであららぎさんは「いつかくる未来では精神状態を伝える人が現れるかもしれない。(そうなったら)実際に助かる人もいるよな」と今回のお話を思いついたんだとか。
実はあららぎさん自身、メンタル不調の時があったそう。
「そういう状態って口でいくら伝えてもわからない人にはなかなか届きません。それが非常に辛かったです」
漫画に登場する憂木さんも上司に電話で不調を伝えますが、上手く上司には伝わらず出社を促されます。
そこで頼ったのがメンタル代行人でした。
あららぎさんは憂木さんのような状態にある人にこうメッセージを送ります。
「憂木さんのような人は決して少なくないと思います」
「そんな状態にある方は多くが頑張り屋さんだと思うので安易に『休んでください』とは言いにくいかもしれませんが、無理はせず漫画の憂木さんのように、誰かに頼ってほしいです」
今回の漫画を投稿したところ、「メンタル代行人のような存在が本当にいてほしい」という反響が寄せられたといいます。
この反響に対し、あららぎさんは「私もそう思っています」と話します。
「日本では、本音を言うのが難しい風潮があります、とくに仕事ではそれが顕著です」
「この漫画で共感していただける方が多かったところを見るに、自分だけで抱え込んで、溜め込んでいる方がたくさんいるんだと痛感しました」
「メンタル代行人のような存在がいなくても、相手がどんな気持ちでいるのかなんとなく想像するだけでも思いやりの気持ちは変わってくるのではないでしょうか」
漫画の中で、上司の方は、「メンタル代行人」から憂木さんの感情・感覚を受け取って初めて憂木さんが伝えたかった体調・感情を知ることができました。
現代には「メンタル代行人」は存在していません。
ですが、実際に相手がどんな気持ちか考えを巡らせるだけでも、メンタル代行人のように相手の感情・感覚に触れられるのかもしれません。
あららぎさんは最後にこう一言。
「苦しかったり生きづらさを感じている人の心をちょっとでも軽くできるような漫画を描いていきたいです」