顔にできたしこりは寄生虫だった その驚くべき生態と感染経路とは

    こんな寄生虫の悪夢で、あなたの1日をぶち壊しにしてごめんなさい。

    ある32歳のロシア人女性が、目の辺りにできたしこりが唇まで移動したことで病院へ駆け込んだ。その結果、顔から生きた寄生虫を摘出することに。

    The New England Journal of Medicine ©2018 / Via nejm.org

    目が覚めたら、顔にしこりができることを想像してみてほしい。そのしこりが、顔の別の場所に向かって動き出す。病院に行ってみたら、実はそのしこりの正体は生きた寄生虫で、皮膚の下で動き回る。完全に悪夢。

    今週、New England Journal of Medicine (NEJM)で発表されたある症例研究によると、この悪夢はあるロシア人女性の身に起こった。最初、そのしこりは彼女の左目の下に現れた。しかし5日後、そのしこりはまぶたまで移動し、それから10日後には上唇まで移動。腫れも生じた。彼女は顔面を移動するそのしこりを、自撮り写真で記録していた。

    局所的に発生する痒みや“ヒリヒリ感”以外には、何の症状もなかった。2週間後、彼女は詳しく調べてもらうために眼科を受診。そこで、彼女は想定外の知らせを受けた。顔にできたしこりは間違いなく動いており、それは外科的に摘出しなければならないというのだ。でも悪夢はここで終わらない。

    手術中、医師は鉗子を使ってその小さなしこりを適当な場所でおさえ、彼女の皮膚を切開し、長くて白い虫を彼女の顔から摘出した。その症例研究では、摘出された虫のサイズについては論じていないがものの、だいぶ大きいよう。検査によって、それは 糸状虫(Dirofilaria repens)——寄生虫感染症であることが明らかになった。幸いなことに、医師たちはその虫を全て摘出することができ、彼女は完全に回復した。

    一体、この寄生虫って何者? そしてどうやって人体内に侵入するのだろうか?

    糸状虫は、通常は犬や猫が感染する寄生虫。時々、感染した蚊に刺されることで人間に伝染することがある。

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    糸状虫は、「糸状線虫類」(別名、寄生性の線虫)といい、通常は犬、猫、およびその他の肉食動物を感染させる、と 米国疾病対策センター (CDC)は説明している。その幼虫は、感染した蚊に人間が刺されることによって広まる。

    この虫がひとたび皮膚下に寄生すると、小さなしこり、あるいは瘤のように見え、目、唇、膝、脚の付け根といった、身体の様々な部分まで動いて回ることができる。ゾッとするように聞こえるかもしれないが、この虫は通常、限局的な腫れと炎症を引き起こす以外には、それほどひどい悪さをするわけではない。

    この虫は人間には通常は寄生しない。そのため糸状虫の成長にとって理想的なコンディションではない。 糸状虫はやがて死ぬが、稀に数年間生き続けることもある。通常の処置は、外科手術による糸状虫の摘出だが、CDCによると抗寄生虫薬が使用されることもあるという。

    人間が実際に感染しうる糸状虫属 には、他に2つの種がある。それが犬糸状虫とアライグマの糸状虫。

    これらは大抵、犬、キツネ、オオカミ、そしてアライグマによって運ばれ、治療をしないままにしておくと、咳、胸部の痛み、発熱といった、より深刻な症状を引き起こす。

    糸状虫は、最も人間に感染させる可能性が高い種で、あなたが思っているほど珍しいものではない。1977年から2016年の間に、3500件以上の事例がヨーロッパで報告されている。この症例研究の女性は、最近、モスクワ郊外の農村地域を訪れ、たくさん蚊に刺されていた。

    糸状虫の感染は、蚊を避けることで防ぐことができる — しかし、ヨーロッパ、アジア、またはアフリカに限る。この特定の寄生虫は、米国内では見つかっていない。

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    この恐ろしい寄生虫について知ってしまったので、多分あなたはこの虫が体内に侵入しないようにするため、できることは全てしたいだろう。そのための最善策は、 蚊に刺されないようにすることだ。

    CDCは、防虫剤(DEETが含まれているものが好ましい)をつけ、外出時には長袖と長ズボンを着用し、家では網戸や蚊帳を使用することを推奨している。

    だから、蚊がたくさんいる場所にいる時は、くれぐれも要注意。幸いにも、糸状虫は米国内で見つかっていないが、他の糸状虫属の種——アライグマの糸状虫と犬糸状虫——は北米で発見されている。

    何か質問がある、あるいは寄生虫に感染していると思われる場合は、医療機関に相談してほしい。

    この記事は英語から翻訳されました。編集:BuzzFeed Japan