ポッコリお腹、「ビール腹」だと思っていたら実は…

    「ただ太っているだけ」ではなかった。

    カリフォルニア在住のヘクター・ヘルナンデス(47)は、最初はただ太っただけだと思っていた77ポンド(約35kg)の腫瘍を腹部から取り除く手術を7月に受けた後、現在は快方に向かっている。

    カリフォルニア州ダウニー在住のヘクター・ヘルナンデスさんは、ビールを飲まないにも関わらず立派な「ビール腹」をこしらえていると、友人達からよくかわれていた。「ただ太っているだけだと思っていました」と、ヘクターはワシントン・ポストに語った。

    運動をしても、痩せる様子はない。腕だけが細くなり、「ビール腹」は硬くなっていった。家族に説得され、医師の診察を受けた。南カリフォルニア大学の発表によると、膨れた腹部は体重増加によるものではなく、癌性の腫瘍だった。

    これは後腹膜脂肪肉腫という、腹部の脂肪細胞から始まる珍しいタイプの癌であった、と手術を担当したウィリアム・ツェン医師はBuzzFeed Newsに語った。南カリフォルニア大学のケック・メディシンで外科の癌専門医を務めるツェン医師によると、脂肪肉腫は体のどこにでもできる可能性があるが、腹部や手足にできることが多いそうだ。しかしその原因は不明である。

    ツェン医師は腫瘍摘出が専門であるため、通常数週間に1度ほどの頻度で20〜30ポンド(約9〜14kg)の腹部の腫瘍を摘出する。しかし他の医師の場合は、このような珍しいタイプの癌を一生に一度しか見ることがないかもしれない、と彼は語った。

    ツェン医師でさえも、ヘクターの脂肪肉腫は間違いなく「今まで治療した中で最大」だった。

    この珍しい癌は、初期の段階では気付きにくいため肥大化した可能性がある。

    「腫瘍がどれくらいの時間をかけて成長するのか正確には分からないのですが、ゆっくりと、何年もかけて成長すると考えています」と、ツェン医師は語った。

    腕の脂肪肉腫ははっきりとした膨らみを確認できるが、腹部の場合、初めは奥に発生し、成長しながら他の臓器を徐々に動かしていく。そして患者の体はその状態に「適応」するという。そのため外側から見ると、腹部はただ単に膨れていたり、普通より大きくなっているだけのように見えることもある。

    肥大化してしまう他の理由として、「患者が痛みを感じないことが多い」と、ツェン医師は付け加えた。膨満感や便秘といったその他の症状も、他の胃腸の問題と取り違えやすい。

    脂肪肉腫の最も一般的な治療法は摘出手術である。癌細胞を破壊するため放射線治療を施すこともある。

    手術の際は、臓器や血管のまわりを慎重に進んでいかなければない。6時間の手術を経て、ヘクターの腫瘍は巨大なひと塊のまま無事に取り除かれた。癌は他の臓器に広がってはいなかったが、腫瘍から切り離すことのできなかったヘクター腎臓片方を摘出しなければならなかった。

    「無事に摘出を終え、その後患者が生活を楽しんでいる様子を見ることができるのは、大切なことです」と、南カリフォルニア大学の発表の中でツェン医師は述べている。

    ヘクターの友人たちが医療費のサポートのために立ち上げたクラウドファンディングGoFundMeのページの最新アップデートによれば、彼は完全に回復したそうだ。

    腹部の35キロの塊がなくなった今、身体がずっと軽くて元気だとヘクターは語った。

    しかしツェン医師は、ヘクターは化学療法を受ける必要はないが、頻繁な検査とCTスキャンが必要だと指摘する。残念ながら脂肪肉腫は再発することが多く、ヘクターのような患者は腹部の腫瘍を摘出した後も注意深く観察を続けなければならない。

    「生きている間に再発する可能性はとても高いです。何度も手術を受けなければならない患者さんもいます」とツェン医師は話す。

    「この珍しい病気のより良い治療法の発見のために努力を続けています。手術よりも効果的な治療法の発見、そしてさらなるリサーチが必要です」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。