この日は、アンバーリー・ハッチャーさん(28)の人生で最高に幸せな1日になるはずでした。
生まれたときからの親友である、いとこのエリー・ウェリントンさんが、11月9日に結婚することになりました。そして花嫁付添人(ブライズメイド)の1人に、ハッチャーさんを選んでいたのです。
ハッチャーさんは、ウェリントンさんの婚約パーティも大学の試験で出席できませんでした。そのため、ウェリントンさんから結婚式の日にちを聞いたとき、とても落ち込んでしまいました。
というのも、またもや試験の日と重なってしまったから。

ハッチャーさんは、オーストラリアの北東沿岸部タウンズヴィルにあるジェームズ・クック大学(JCU)に通っています。そこは、ウェリントンさんが結婚式を挙げるオーストラリア南部のビクトリア州ジーロンにある式場から、2600キロ以上離れたところ。
JCUの試験日程が発表されなかったため、あと1カ月ちょっとで結婚式…というときまで、ハッチャーさんは自分が式に出席できるかどうかも分かりませんでした。
ハッチャーさんが、花嫁付添人として親友のそばにいるべきまさにその時に、自分は試験を受けなくてはいけない……と電話で聞かされたのは、独身最後の女子会「ヘンズ・パーティ」の前日でした。
「ショッピングセンターで買い物をしていたときに知ったんです。母と妹と一緒にいたんだけど、涙が出てきちゃいました。そしたら妹も泣き出して。みんな泣き出しちゃった」とハッチャーさんは話します。
「(ウェリントンさんにそのことを)話して、2人で少し泣きました。そのあと独身最後の女子会でお祝いしました」
実は、試験を別の日に受けられるよう調整できるかもしれないという小さな希望もありました。この案を許可してくれるよう先生にお願いしたところ一旦は受け入れられ、ハッチャーさんは大学が承認した会場と指導官を見つけました。
ところがハッチャーさんによると、先生の気が変わってしまったようでした。大学の方針で、結婚式は試験日を変える理由として十分ではないとのことでした。
そこで、ハッチャーさんはあることを思い付きました。

「私は、『それでもこのドレスを着ちゃうからね』って感じでした」と、ハッチャーさんはBuzzFeed Newsに話しました。
「試験日の朝に付け焼き刃的な試験勉強をしながら、同時にメイクと髪型を整えました。全力でやることにしたので、ヒールも履きましたよ」
「花嫁付添人の衣装を全部着て試験に臨みました。会場に入ると、みんなこっちをジロジロ見ていました。『あの子、何してるの?』みたいな感じだったので、こう言ったんです」
「結婚式に出席できないからって、花嫁付添人になれないってわけじゃないよ」

ハッチャーさんは、今にも花嫁付添人ができそうなフル装備で試験会場に到着。同じ格好ができるように、結婚式場にいる他の花嫁付添人が写真を送ってきてくれていました。
ハッチャーさんはなんと、試験会場で乾杯できるように、花嫁付添人用のシャンパン・グラスまで持ってきていました。
「先生を見ながら『ムカつく』って思いつつ、グラスに水を注いだのを覚えています」とハッチャーさんは振り返ります。

結婚式は、試験後すぐに始まりました。ハッチャーさんはFaceTimeで参列。
ウェリントンさんがウェディングドレスを着て会場に到着したのを見たその瞬間、ハッチャーさんはもう涙がでてきてしまったそうです。
「彼女がバージンロードを歩いているとき、私は大泣き。向こうでスマホを支えていた私のママも泣いていて、いとこも画面をのぞいてきて、彼女たちも泣き出してしまいました」とハッチャーさんは笑います。

式の最中、ハッチャーさんの妹が新郎新婦のところにスマホを持っていってくれたので、ハッチャーさんは2人におめでとうと伝えることができました。

別の花嫁付添人がスマホをマイクのところへ持っていってくれたため、パーティでスピーチをすることもできました。

その日の夜が終わる頃にはぐったりと疲れてしまい、ドレスを着たままでハウスメイトと一緒にソファに座ってしまったハッチャーさん。まさか自分が親友の結婚式でこんな経験するなんて思ってもいませんでした。
でもハッチャーさんは、方法はどうであれ、ウェリントンさんのために参列できたことを嬉しく思っているそうです。
「当然、まったく出席できないよりは、何らかの形でそこにいられた方がずっといいですから。式に出られるかもって希望を抱きつつ、それが打ち砕かれるのは本当につらかった。それでも、何かしらはできたんじゃないかなと思います。私にとっては、意味があることでした」

この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan