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Posted on 2019年11月26日

「虐待行為やドーピングを隠蔽している」女性アスリートたちがナイキと米陸上競技連盟を批判

「いろいろな感情が入り混じっていて、床にうずくまって泣きたくなる気持ちを抑え込もうとしています」オリンピック選手のアリシア・モンターニョはそう語った。

Brianna Sacks

イベントでの討論会に登壇するアリシア・モンターニョとカラ・ガウチャー。

オリンピックランナーのアリシア・モンターニョとカラ・ガウチャーは、彼女たちが心から愛するスポーツでいかに「地獄」をくぐり抜け、その中で大きな痛みや怒り、苦しみに苛まれてきたか、声をあげた。そして、「もうたくさん」だと訴えた。

やや肌寒さを感じるサンフランシスコのスポーツ店で、ランニングに関するイベントが開催された。主催はノースフェイス・エンデュランス・チャレンジクリーン・スポーツ・コレクティブだ。

ランニングにおける透明性に関するパネル討論会で、オリンピックランナーたちが語った。

彼女たちは、有望な若手ランナーたちに対する暴力や虐待行為、蔓延するドーピングの隠蔽と容認を行っていたとして非難を受けている大手ブランドや有力なアメリカのスポーツ機関を、正面から批判した。

「このスポーツは、文化的、制度的に大きな問題を抱えています。どんな犠牲を払っても勝つのだというメンタリティは、正しいとは言えません」

7度の全米王者に輝いた一流スプリンターのモンターニョは、司会のクリス・マクラングに対してそう語った。

「最終的には、それが人々の命を脅かし、健康を損なうことになります。自分の夢や目標を追いかける中で得られるはずの純粋さや、驚くほどの楽観的な気持ちが失われてしまいます」

33歳のモンターニョはこれまでにも妊娠中のアスリートとしての経験を声高に語っており、元スポンサーのナイキ、アメリカオリンピック委員会、全米陸上競技連盟といったアメリカのスポーツ機関に対して批判の声を上げている。

世界選手権で2度の銅メダルを獲得したモンターニョは、妊娠8カ月でピンクのシングレットを着用し、髪の毛に黄色い花を挿してレースに出場したことで有名だ。

5月、彼女はニューヨーク・タイムズに厳しい意見記事を寄稿した。

彼女の記事がきっかけとなり、数多くの女性ランナーたちが、大手ブランドやスポーツ運営機関による女性アスリートたちへの扱いを告発した。虐待や体型に対する暴言、結果のためにアスリートの健康を犠牲にしてきたコーチたちを擁護したとも批判している。

「あなたたちにとっての価値は?倫理観は?誠実さはあるのでしょうか?」

ナイキと全米陸上競技連盟に対してモンターニョはそう問いかけた。

「スポーツ界の女性たちだけではありません。女性たちは体重のことや、精神的な虐待などに関しても大きなターゲットにされています。少なくとも私にとっては、もうたくさんだと言うべき時が来たと思います。私たちは自分にふさわしいやり方で幸福を追求できないことに、うんざりしています」

彼女は、虐待的なコーチの排除やドーピングをはじめとする制度的問題の解決に対して、各機関は十分な対応ができていないと語った。

「(全米陸上競技連盟)は知っていたんです。彼らはドーピングを隠蔽しました。それは私にとって許しがたいことですし、そのことに対して十分な対応がされていないと思います」

「今でも自分の気持ちに折り合いがつけられません。いろいろな感情が入り混じっていて、床にうずくまって泣きたくなる気持ちを抑え込もうとしています」

今月初めにニューヨーク・タイムズが動画を公開して以降、各団体にはより一層厳しい視線が向けられている。

その動画では、高校時代にスター選手だったメアリー・ケインが、先日閉鎖されたナイキのプロトレーニング団体「オレゴンプロジェクト」所属時に受けた精神的、肉体的虐待についての詳細を語っている。

ケインは同団体の有害な文化により、摂食障害や自傷行為、自殺を考える状況に追い込まれたという。

彼女の動画が公開される前にも、全米反ドーピング機関が、同プロジェクトのディレクターで、アメリカで最も有名なオリンピックコーチであるアルベルト・サラザールがアスリートたちのパフォーマンスを違法に増強させたことを明らかにし、4年間の活動禁止処分を命じていた。

After placing 6th in the 10,000m at the 2011 USATF championships, I was kicked out of the Oregon Project. I was told I was too fat and “had the biggest butt on the starting line.” This brings those painful memories back. https://t.co/ocIqnHDL8F

「2011年、全米陸上競技連盟選手権の1万メートルで6位入賞したあと、オレゴンプロジェクトから追い出されました。私は太りすぎていて、『スタートラインに並んだ中で一番大きなお尻をしていた』と言われました」

かつてサラザールの下で指導を受けていたガウチャーは同氏に対して最初に告発を行ったアスリートの1人で、サラザールが2011年と2012年にランナーたちにドーピングを行っていたと連邦機関に証言している。

サラザールは彼に対するすべての訴えを激し否定しており、スポーツ・イラストレイテッドをはじめとするメディアに対し、自分の発言には「無神経なものや配慮を欠いた」ものもあったが、アスリートに対する虐待や差別は決して行っていないと述べている。

ナイキはこの件については調査中だという。

先週末に行われたこのノースフェイスのイベントに参加したガウチャーは、元コーチだったサラザールが「最初の違反行為に対しては最長の活動禁止期間」を課されたことには「高揚している」が、より多くの人間が責任を取るべきだと語った。

「世界最大のチームのトップが摘発されたのは良いことです」。彼女は聴衆に対してそう語った。

「皆がこの件を重視していることが明らかになりましたし、彼が一線を越えたことを証明するために時間とリソースが投入されました。これが許されるべきことではないという非常に強いメッセージになるでしょう」

“It feels like a bit of a #MeToo movement,” Goucher says. “I’m very hopeful because people are believing us. There’s a genuine desire for change and that will be amazing.” https://t.co/UnAZKvhyFL

オリンピックでメダルを獲得し、マラソンランナーとして輝かしい成績を残してきたガウチャーは、これまでの罪の報いを受け始めたランニング界において、選手たちの声を代弁する代表者的な存在となった。

そして、サラザールをはじめとして選手たちに不当な扱いをしてきた人間たちに対して批判の声を上げるケインのようなアスリートを支援し、称賛している。

「最初はとても難しかったです。スポンサーも付かなくなったし、レースにも出られませんでした」。ガウチャーはBuzzFeed Newsに対してそう語った。

「でも今は最前線の現場からより多くの声が上がり、私たちも信じてもらえています。メディアも私たちの声を取り上げてくれます。流れが変わってきていることで、今までのあらゆる犠牲が報われました」

ガウチャーはこうした取り組みには大きな満足を感じているものの、これまでの道のりは非常に厳しく、精神的にも疲弊するものだったと話す。

「正直に言うと、本当に疲れました」。パネル終了後、ガウチャーはそう語った。

彼女は翌日、マリン郡の急峻で霧がかった山々を走る50キロのウルトラマラソンに出場予定だ。

Brianna Sacks

ザ・ノース・フェイス50Kで3位入賞したガウチャー。


しかし彼女は「このスポーツに希望を持っている」という。

「文字通り地獄を見てきましたが、私は今もここにいます。だからこそ希望が持てるんです」クリーン・スポーツ・コレクティブでの講演で、聴衆に向けてそう語った。

翌朝、メダルを手にした彼女はこわばった脚を引きずりながらも、50キロレースの女性部門で3位に入ったことについて笑顔で語っていた。

「ロードレースがまたこういう状態に戻ってくれることを願っています」湿った芝生の上に座り込み、泥だらけで疲れ切った表情でビールを飲んでいるトレイルランナーたちを見て彼女はそう言った。

「私たちはオリンピック出場や世界記録の更新にばかり注目しています。私もそういう世界に長らくいたのでそれは理解できますが、それは道路に飛び出して思い切り走ることの純粋さや興奮を奪ってしまいます」

ロードレースや陸上競技がそのイメージを改め、文化を回復できると彼女が今でも信じている理由の1つは、ウルトラランニングでの自身の経験と「リラックス」した「温かい」雰囲気にあるという。

「私にとって、これこそ自分が走り始めたときのランニングの姿でした」。彼女はそう話す。

さらに、この競技の素晴らしさの1つは「40代や50代の女性たちがいきいきと活躍している」ことだと付け加えた。

この記事は英語から翻訳・編集しました。

BuzzFeed Daily

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