自衛隊が派遣された南スーダン そこには飢餓で死んでいく赤ちゃんがいる

    「日本の戦国時代のような状況。民族紛争という形をとった政治闘争、利権争いが起きている」。日本国際ボランティアセンターの今井高樹さんが国会で指摘した南スーダンの状況。何が起きているのか。

    南スーダンで飢饉が発生している。国連3機関は2月20日、10万人が飢餓状態に陥っていると発表した。

    世界食糧計画(WFP)、ユニセフ、食糧農業機関(FAO)は、さらに100万人が飢饉寸前の状態にあると警告する。 直ちに援助物資が届かない場合、この数は増加すると見込まれている

    国連のグテレス事務総長は22日に記者会見し、南スーダンを含むアフリカ中東4カ国で2千万人以上が深刻な食糧危機に直面していると発表。3月末までに約5千億円(44億ドル)の緊急支援を加盟国に要請した。

    長引く紛争

    南スーダンは2011年、スーダンから独立して誕生した世界で最も若い国だ。だがこの地域は半世紀にわたって、紛争に巻き込まれてきた。

    独立のために共に闘ったキール大統領とマシャル前副大統領。だが独立後、両者の紛争によって、荒廃は進んだ。 戦闘で200万人が家を追われた。少なくとも5万人が死亡したという報道もある。

    両者の間で2015年に平和協定が結ばれ、翌年、暫定政府が設置された。だが、7月には争いが激化し、再び泥沼化している。

    広がる飢饉、草から球根まで

    長期にわたる内戦とその後の経済不安によって引き起こされた食糧不足。なかでも北部ユニティ州で深刻な状況になっている。

    「いま、飢饉に直面している人たちは、戦いが起こり、人道的なアクセスが拒否されていることで、孤立させられている」。ユニセフの東南アフリカ担当のコミュニケーション責任者ジェームズ・エルダー氏は BuzzFeed Newsに話す。

    「彼らは最後の持ち物を売り払い、戦いから逃げ、可能な限り学校に子どもを預け、草から球根まで食べ続けている。生き残るために」とエルダー氏。

    飢饉とは

    国連が採用する「総合的食料安全保障レベル分類 (IPC)」は食糧不足を五つのレベルに分けている。飢饉は最悪レベルだ。

    「2割超が極端な食糧不足」「急性栄養失調が3割を超える」「毎日1万人に2人超が死亡」という3条件を満たした状態をいう。

    南スーダンの地図。濃い赤で塗られた地域で「飢饉」が広がる。赤はその一つ前のレベル「緊急状態」で栄養失調による死が広がっていることを意味する。

    #Famine hits parts of #SouthSudan: 100,000 ppl facing starvation. 5 mln ppl need food, #ag & nutrition assistance… https://t.co/jej5EQwSiu

    オレンジは「危機」で、かろうじて食べ物が手に入るような状態。

    「南スーダンでは100万人以上の子どもが急性栄養失調に陥っているとみられる。すでに25万人以上が深刻な栄養失調にある。緊急援助を届けなければ、多くは死ぬだろう」。ユニセフ南スーダン代表のジェレミー・ホプキンス氏は指摘する。

    2016年、ユニセフは深刻な栄養失調の子どもたち18万4千人を治療した。前年の1.5倍を超えた。

    南スーダンのインフレ率は800%に達し、食糧危機を悪化させている。WFPによると、今年7月末までに550万人の食糧が足りなくなるおそれがある。

    Relief Web は、野生にあるもので作った食事を1日1回取るしかなかったり、2〜3日歩かないと食べ物を売るマーケットに行けなかったりする地域の状況を伝える。

    争いが続き、作物を植えることも、収穫することができなかった。そのため、魚を釣ったり、球根や草といった野生の植物を探したりするしかない。

    FAOの広報担当者はBuzzFeed Newsに、首都ジュバからのメールで「これほど多くの人たちの食糧が足りなくなることはこれまでなかった」と語った。

    南スーダンを含む世界の飢餓や人道危機に苦しむ人たちを助ける寄付はこちら。

    * 日本ユニセフ協会

    * 国連WFP

    この記事は英語から翻訳・編集しました。