ディズニー映画に、もともとの話と全く違うものがあることを知っていますか?

    「アナと雪の女王」のエルサは妹のいない悪役だった。

    1. 「ラマになった王様」(2001年)

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    「ラマになった王様」はあまりにぶしつけで、ふざけているため、ディズニー映画であるという事実に違和感を覚えることすらある。しかしその一因は、もともとの構想が、「リトル・マーメイド/人魚姫」顔負けの恋愛ミュージカル大作だったことだろう。当初のタイトルは「Kingdom of the Sun(太陽の王国)」。インカ帝国を舞台にした「王子と乞食」のような物語で、クスコは脇役となる予定だった。主役2人の声はオーウェン・ウィルソンとローラ・プレポンが担当することになっており、すでにスティングが8曲を書き下ろしていた(アーサー・キットが歌ったこの名曲を含む)。ところが、「ノートルダムの鐘」が不発に終わったことを受け、ディズニーは、観客を圧倒する物語ではなく、面白おかしい映画をつくることにした。そして、Kingdom of the Sunは陽気なコメディーに生まれ変わった。結局2曲しか採用されなかったスティングは、このドラマティックな制作秘話を「Sweatbox」というドキュメンタリー映画にまとめ、残りの6曲も日の目をみることになった。

    2. 「ライオン・キング」(1994年)

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    ライオン・キング」は1990年代のディズニー名作の一つだが、もう少しで全く異なるタイトルになるところだった。「King of the Kalahari(カラハリ砂漠の王)」「King of the Beasts(百獣の王)」「King of the Jungle(ジャングルの王)」などが候補に挙がっていたのだ。しかも、「ライオン・キング」に決定する前は、同じ作品とはわからないほど筋書きも異なっていた。ディズニーの幹部によれば、当初の脚本は「偶然の一致とは思えないほど『National Geographic』の特集番組に似ていた」という。DVDの解説において、アニメーターたちは、もともとはライオンとヒヒの戦いを描いた物語で、スカーはヒヒ、ラフィキはチーターになる予定だったと述べている。言うまでもないが、ディズニーはこの構想を捨て、「ハムレット」のサバンナ版をつくることに決めた。

    3. 「ピーター・パン」(1953年)

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    「ピーター・パン」はあまりに有名なため、どのように異なっていたのか想像すらできない。ディズニーのアニメーターたちはもともと、物語全体を犬のナナの視点でつくろうと考えていた。しかも、2007年に発売されたDVDの付録「Peter Pan That Almost Was(ピーター・パンはこういう物語になるはずだった)」によれば、ウォルト・ディズニー自身は、ピーター・パンが、迷子たちの母親にするため、ウェンディを誘拐する物語(!)を望んでいたという。子供向けの映画としては、かなり暗い題材だ。幸い、ウォルトはこれらのアイデアをすべて捨て去り、時代を超えた名作をつくり上げた。ウォルトは次のように述べている。「ピーター・パンが自分の影を探すため、ウェンディの家にやって来る。ここで物語が盛り上がり、また別の物語が展開していくのです」

    4. 「アラジン」(1993年)

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    ディズニー映画はしばしば、母親に対してつらくあたり、ひどいときは命まで奪う。アラジンも母親を失った孤児だが、当初は母親がいるという設定だった! ところが、当時のディズニー会長ジェフリー・カッツェンバーグが「母親を消してくれ。母親はいらない」と言い、アラジンは母親を失うことになった。それだけではない。映画の舞台は、もともとイラクのバグダッドだったが、1991年に湾岸戦争が始まったため、架空の街アグラバーに変更された。

    5. 「ポカホンタス」(1995年)

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    アライグマのミーコとハチドリのフリットはポカホンタスの親友だが、当初は第3の動物として、「レッドフェザー」という七面鳥が登場する予定だった。声優はジョン・キャンディで、コミカルな役柄になることも決まっていた。しかし、1994年にキャンディが死去し、レッドフェザーは幻となった。そして、声を持つはずだったミーコとフリットも声を失った。

    6. 「ビアンカの大冒険」(1981年)

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    ディズニー映画を見て、「アンチ全体主義を前面に押し出してほしい」と思ったことはないだろうか? 「ビアンカの大冒険」はその夢をかなえてくれる「はずだった」。1962年に考えられた当初の筋書きは、マージェリー・シャープの短編小説「小さい勇士のものがたり」をベースにしており、全体主義の政府によって、凍てつく荒野に捕えられた詩人の物語だった。しかしウォルト・ディズニーが、あからさまに政治的な物語を子供たちに伝えるべきではないと反対し、アニメーターたちは別の筋書きを考えることにした。そして最終的には、クルエラ・ド・ヴィルが悪役に抜てきされた! しかし、まるで「101匹わんちゃん」(1961年公開)の続編のようだと判断され、クルエラ・ド・ヴィルは姿を消した。

    7. 「アナと雪の女王」(2013年)

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    ディズニーは80年近くにわたり、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話「雪の女王」を映画化しようと試みていた。間違いなく、その価値はあった。しかし、その過程でいくつもの小さな壁にぶつかった。2008年には、アンデルセンの暗い物語を忠実に再現し、女王がその力で人々の命を奪う物語をつくろうとした。アニメーションは従来の手法で制作し、人気女優メーガン・ムラーリーがエルサの声を担当することになっていた。上のイラストのようなキャラクターで、ベット・ミドラーをモデルにしていた。しかも、姉妹の話ではなく恋愛物語で、エルサは非情な悪役だった。結局、アニメーターたちはこれらすべてを「レット・イット・ゴー」した(あきらめた:映画で歌われる歌曲のキーワード)。そして2012年、監督兼脚本家のジェニファー・リーが革命を起こし、アナとエルサの姉妹愛と、悪役ハンス、そして嫌味のない陽気な雪だるまオラフを生み出した

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan