「反射光にジャマされることなく、スマホで簡単にレシートをスキャンできる道具」を作ったら、当初思っていなかった人たちに売れはじめた――。
とある便利グッズの意外なブレイク秘話がTwitterで注目を集めています。ツイートを投稿したのは、文具と収納用品のセレクトショップ「ドケットストア」の山下義弘さん。
モノづくりは本当に面白い 反射する光に邪魔されることなく、スマホでレシートをスキャンするための道具を作ったら、交換用の低反射シートだけが漫画家さんに売れ始めるなんて誰も思わないんよ そしてどこからそれが噂になってるのかさっぱり震源がわからないので、知ってる方本当教えてください🙇♂️🙇♂️🙇♂️
山下さんが開発した「toto レシートスキャンボード」は、シートとボードの間に挟んだ書類のシワを伸ばし、さらに照明の反射による映り込みを防止してくれるというアイテム。
本来はレシートや領収書などをスマートフォンで撮影し、電子帳簿保存の効率を上げるためのアイテムとして開発されたのですが、山下さんのツイートによると、なぜかある時期から「交換用の低反射シートだけが漫画家さんに売れ始めた」とのこと。

確かにこれは、原稿やイラストなどをささっとスマホで撮影したいときにはもってこいです。
漫画家の例としては『ひとりじめマイヒーロー』のありいめめこさんも愛用しているようで、過去には「ふせんを挟んでスキャンしたりラフをスキャンしたり、アナログデジタル行き来する者には使いみち無限…!」とのツイートも。
ふせんを挟んでスキャンしたりラフをスキャンしたり、アナログデジタル行き来する者には使いみち無限…! CAMPFIREで「レシート電子化をもっとスマートに「toto レシートスキャンボード」」の支援者になりました! https://t.co/RouHWM8QWE #クラウドファンディングCAMPFIRE @tyarinkoから
SNSでは「アナログ絵を写真で撮りたいときに欲しいわこれ。」「これ楽譜スキャン用でも便利そう!」などの声もみられました。
編集部は山下さんに開発の背景や、反響の感想などについて聞きました。
最初に作ろうと思ったのは「自分のため」
――「toto レシートスキャンボード」開発のきっかけは?
電子帳簿保存法という法律の変更によって、スマートフォンのカメラでスキャンしたレシートは原本を捨ててもよくなりました(タイムスタンプや保存の為のシステム導入は必要)。しかし、さっそく自分も試してみたところ、クリアホルダーに入れて撮影しようとしたレシートが天井照明の反射で撮影しにくかったことが開発のきっかけです。
低反射素材を見つけ、取引のある老舗のデスクマットメーカーさんに相談して、最初は自分のために作り始めました。
――開発にあたって、どのような点にこだわりましたか。
どの低反射素材を使うと撮影がうまくいくのかにはこだわりました。また低反射シートをめくる際に、指の爪の間にシートが刺さってしまわないように注意しました。
ちなみにこれが500ルーメンのライトをクリアホルダーと並べて低反射シートに交互に当てている様子
――2022年夏にはクラウドファンディングも行っていましたが、そのときの反応はいかがでしたか。
まだ電子帳簿保存法が一般的でなかったこともあって、どうして便利なのかという必要性の説明で一番苦労しました。
実際反応が多かったのは年が明けて確定申告の準備に迫られるタイミングだったこともあって、商品化のタイミングの難しさをあらためて感じました。
――漫画家の間で売れ始めたことはどのように知りましたか?
クラウドファンディングで支援をいただいた漫画家さんやイラストレーターさんが、レシート以外にも使えるとTwitterで投稿されていたのを目にしたのが最初でした。
その後も低反射シートのみの注文がネットストアで何十回も続き、「どこから広まっているのだろう?」と疑問を持ったのが、今回のツイートのきっかけでもあります。
「これのおかげで火が付いた!」という明確な発火点はわからないままでしたが。じわじわと口コミで広がっているのかなと思います。
――商品に対する大きな反響をどう感じていますか。
大変ありがたいことだと感じています。特に、チェキやカードの撮影にも使えるといった本来の用途以外の使い方を直接お聞きできたのが良かったです。今後の商品開発にも生かしていきたいと思います。
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普段私たちが日常的に使っているティッシュペーパーも、もともとは戦争で不足した脱脂綿の代用品として開発されたものでした。
そんな逸話も思い起こさせる「toto レシートスキャンボード」。口コミの効果もあり、オフィシャル通販では3月頭に在庫が一度完売するほどの反響に。3月16日時点では4月上旬出荷分の予約受付が行われています。