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「鳥肌が立ちました」念願の初仕事なのになぜか憂鬱…。そんな男性を変えた先輩の「教え」とは

「ゾワワ」な作品に注目です!

コピーライターとしての初仕事を描いたマンガが注目を集めています。

元コピーライターでマンガ家のうえはらけいたさん(@ueharakeita)がTwitterに作品を投稿したところ、「うるっときました」「めっちゃ鳥肌立ちました」などの反響が寄せられました。

注目のマンガがこちらです。

「自分の書いたキャッチコピーが、初めて世に出た日の話」

広告代理店に入社したうえはらさん。生まれて初めて採用されたコピーを見るために、掲出場所である美術館を訪れた日のことをマンガにしました。

デビュー作を見に行くにもかかわらず、うえはらさんは憂鬱な表情を浮かべていました。

次世代まで長く語り継がれるようなテレビCM、あるいは広告史に残るような新聞全面広告…。

日本中のお茶の間に届くような「ゾワワ」な広告を作ることを目指して広告代理店に入社した、うえはらさん。

それなのにデビュー作は、たった1枚の展示パネルであることに肩を落としました。

パネルが展示されている出口に向かうことを恐れていましたが、ついにそのパネルを見ることになります。

一期一絵。

生まれてはじめて自分の書いたコピーが世に出た瞬間。その時の感覚は、奇妙だったと言います。

スケッチブックに殴り書きしたコピーが、広告になって目の前に存在しています。

「なんだか自分の書いたコピーじゃないみたいです」

その理由は、自分の書いたコピーでも世に出た瞬間から自分のものではなくなるからだと先輩は言います。

ディレクター、デザイナー、営業…。コピーはあらゆる人の手が加わり、「仮説」から「意志」へと姿を変えました。

「こんな幸福な仕事はありませんよ」と先輩は言いました。

日本中のお茶の間に届くような「ゾワワ」な広告ではなくても。

たった1枚の展示パネルとたった1行のコピーだけでも、コピーライターになったと実感するには十分すぎるものでした。

BuzzFeedは投稿者のうえはらけいたさんに話を聞きました。

作品内で描かれているように、元々は広告マンだったうえはらさん。

広告業とマンガ家を両立していた時期もありましたが、「凄まじい速度で消費されていく広告ではなく、長い期間人々の中に残り続ける『物語』を作る仕事がしたい」と、2020年にマンガ家として独立。

現在は、SNSやWEBメディアを中心にマンガ作品を発表しています。

投稿されたマンガは、うえはらさんがコピーライターとして働いている時に実際に体験したお話をもとに描いたものです。

「ゾワワ」ってなに?

うえはらさんが作りたかったという「ゾワワ」な広告。それは一体どのようなものなのでしょうか?

「感動的な物語やとてつもないクオリティの作品に触れると、感情を超越して鳥肌が立つ生理的な反応を人は示すと思います」

「そんな色々な理屈を超越した、凄まじい作品のことを本作で『ゾワワ』と名付けました」

デビュー作を見た感想は「不思議」

「ゾワワ」を目標に飛び込んだ広告業界。そこで初めて作り上げた「一期一絵」というコピー。デビュー作を目の当たりにした時の感情を、うえはらさんは鮮明に記憶しています。

「パネルを見るまでは『もしかしたら結構感動しちゃうかもしれないな…』という気持ちもあったのですが、いざ目の当たりにしてみるとなんだか自分が書いたモノではないような気がして不思議な感覚でした」

「どこかよそよそしいような、自分の手を離れてしまった寂しさのようなものを感じていたのかもしれません」

広告と向き合うスタート地点

今回マンガにしたエピソードは、うえはらさんの持つ「広告論」の中核となるような考え方だそうです。

「実際はマンガとは違って、デビュー作を1人で見に行ったのですが、マンガの中で先輩が主人公に語る言葉は、その後実際に様々な先輩などから言われた言葉を再編集してセリフにしたものです」

「この時に感じた『どこか自分の書いたものじゃないような感覚』はその後の広告マン人生でも、広告と向き合うスタート地点となるような体験だったので、非常に貴重なものでした」

今回投稿されたマンガや、本作『ゾワワの神様』というシリーズの全体を通して「モノづくりを仕事にすることの楽しさと緊張感のようなもの」を伝えたかったといいます。

「一人でも多くの人がモノづくりをする仕事に興味を持ってくれることを祈っています。また、コピーライターという職種に興味を持ってくれる人が増えたらそれもまた嬉しいです」

多くのクリエイターから共感の声

投稿への大きな反響については、こうコメントしました。

「思った以上に広告畑以外の人が反応してくださり、『初めて自分で同人誌を作った時も同じ感じがした』『自分の作った曲がCDになった時を思い出す』といったような、様々な作り手の方々が共感してくれたのがとても嬉しかったです」

「広告の創作論は突き詰めていくと様々な業界・業種に通じる話に行き着くので、今後もそういった本質的なエピソードを描き続けられたらと思っています」