夢を追う? それとも就職? どちらも諦めない女性が挑む、新しい働き方

仕事とダンスという一見、関係ないことを両立している女性がいる。正社員なのに週3日だけ会社に行くのは「わがまま」?どうやって仕事をさばいているのか。

「週3日は会社員、残りの週4日でダンスをしています」

Asami Togi / BuzzFeed Japan

そう語るのは、人材派遣会社「ビースタイル」で働く柴田菜々子さん(27)。広報として働くかたわら、ダンサーとして活動する。

仕事との「両立」というと、育児や介護を想像しがちだ。だが、柴田さんの場合は、仕事と夢。

一体どのようにして、その働き方を実現しているのだろうか?

佐藤瑞季

8歳で新体操を始め、中学では全国大会に出場。その後、型が存在せず定義づけできないことが本質と言われるコンテンポラリーダンスに夢中になり、大学時代に結成したダンスユニットでさまざまな舞台に立ってきた。

大学卒業後もダンスは続けるつもりだったが、就職を決意した。ダンスユニットの仲間はその決断に驚いた。なぜなら、周囲では「就職=ダンスをやめる」ということが当たり前だったからだ。

しかし柴田さんは「もっと社会を知りたい」と、どちらにも挑戦することにした。

「仕事はとても楽しかったです。ただ…」

TABATHA photo by bozzo

入社してしばらくは、慣れない仕事に追われる毎日。仕事は楽しくやりがいもあった。ただ、ダンスの練習は週末をなんとかあてる程度で、思うようにはできなかった。

「このままでいいんだろうか」

入社から2年が経ち、モヤモヤとした思いが込み上げてきた。もっとダンスをやりたいが、入社したからには仕事もやり切りたい……。

1年間葛藤を続けた末、ダンスへの思いのほうが募り、会社に退職を願い出た。

その時の三原邦彦社長(現会長)の言葉が、忘れられない。

「会長に『ダンサーとしてのビジョンを語れ』と言われたんです。でも、私が語れたのは5年先まででした」

ダンサーとしては5年先をイメージするのが精一杯。その先は考えられなかった。

「ダンサーとして10年先のことを考えるのって、怖いことなんですよね」

20代半ばからトップダンサーを目指すのは難しい。30代、40代になってもプレーヤーとして第一線で活躍する姿は想像できなかった。

どのようにダンスと向き合っていきたいのか、悩み続けて1カ月。ひとつの考えにたどりついた。自分はただ踊りたいのではなく、ダンサーが活躍できる場を広げたいのだ、と。

「ダンス業界を発展させたい。そのためには、ビジネスの知識が不可欠だと思い当たったんです」

このとき初めて、仕事とダンスの両方を続けることが自分の強みになるのだと気が付いた。

「『週3日なら働けます』と社長に伝えました。まさかそれが受け入れられるとは思っていませんでしたけど」

TABATHA

ダンスを続けるためには、週4日は練習にあてたい。そう会長に相談すると、意外にも「それで頑張ってみろ」という言葉が返ってきた。ダンスを続けたいという自分の「わがまま」が許されるとは、思ってもみなかった。

そうして、週3日会社員、週4日ダンサーという生活が始まった。正社員としては、社内で初めての取り組みだった。

「仕事の成果目標は、週5日勤務のときと変えていません」

勤務時間が減ってからも、変わらず成果を出し続けている。その背景には、働き方の工夫にあった。

・生産性のよいタスクに注力する

まずはじめに、業務を一つひとつリスト化した。それぞれにかかる時間を書き出すと、生産性のよい業務が見えてきた。

その生産性のよい業務を担当することにし、その他は別の人にお願いすることに。そうしてチーム全体のパフォーマンスを最大化していった。

・思いきって、人を頼る

営業日のうち2日は不在になる勤務形態。すべてを一人でこなすのは難しい。

大切なのは「いかに人に協力してもらうか」。ひとりよがりになることなく周囲のメンバーと連携し、人を頼れる環境づくりを整えていった。

・自分が掲げた目標は必ず達成する

週5勤務の状況と比べれば、後輩を育成するチャンスがなく、新しい仕事を与えられづらい。つまり、キャリアアップが難しい。

だからこそ、「一度目標に掲げたことは、必ず達成する」ことにこだわる。実績をつくることで、信頼を得る努力を怠らない。週3日勤務なりのキャリアアップの方法を模索しているのだ。

「ダンサーが生きる選択肢を広げるために、まず、私がダンスと仕事の両立を確立させます」

bozzo

週3日会社員で、週4日はダンサー。この新しい働き方をはじめて2年がたった。

「今のところはうまくいっています。これから確立させていきます」

仕事と夢の両方を選ぶことは「わがまま」ではなく、「強み」なのだと証明できるように。

柴田さんの名刺には、「踊る広報」という肩書きがあった。

Asami Togiに連絡する メールアドレス:asami.togi@buzzfeed.com.

Sumire Nakazonoに連絡する メールアドレス:sumire.nakazono@buzzfeed.com.

Masaya Inoueに連絡する メールアドレス:masaya.inoue@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.