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Posted on 2019年11月2日

子どもの予防接種、あんなにたくさん打って大丈夫なの?小児科医に聞いてみた

乳幼児期の予防接種は種類も回数も多く、「こんなに打って大丈夫?」と心配になる方も少なくないはず。同時接種は安全なのか、副作用(副反応)はどんなものがあるのか、水銀やアルミニウムが入っているのは本当か、そもそもワクチンは本当に効くのか……。子どもの予防接種に関するさまざまな不安や疑問を、小児科医ママ・森戸やすみ先生に聞きました。

疑問①ワクチンって本当に効くの?

→効きます。体の免疫の仕組みを利用し、感染症の発症や重症化を防ぎます。

一部の病気には、一度かかると二度とかからないことが知られています。これは免疫ができるからです。

ワクチンは、ウイルスや細菌などを弱毒化したり(生ワクチン)、感染する能力をなくしたり(不活化ワクチン)、毒素の毒性をなくしたり(トキソイドワクチン)して安全な状態にしているもので、接種すると体内に免疫を作り出してくれます。

ワクチンを打っても残念ながらその感染症にかかってしまうこともありますが、死亡したり、後遺症が残ったり、入院したりするような重症化を防いでくれます。

疑問②ワクチンには水銀やアルミニウムが入ってるって聞くけど本当なの?

→ごく少量が入っています。普段の生活で摂取している水銀やアルミニウムの量よりも少なく、心配はいりません。

水銀やアルミニウムは、私たちが普段生活している中で自然と取り入れている成分です。少量であれば健康に害を及ぼすことはありません。

水銀は魚などに多く含まれています。日本人の1日あたりの水銀摂取量はおよそ0.0084mgですが、ワクチンに含まれる水銀の量は0.005mgです。

またワクチンに使われる水銀は「エチル水銀チオサリチル水銀ナトリウム」であり、水俣病の原因となった「メチル水銀」とは別物です。前者は優れた殺菌力と、体内に蓄積されにくい性質をもちます。

アルミニウムは野菜、海藻、穀物、イモ類、魚介類などに含まれていて、1〜5歳の子どもなら1日に約2.0mgを摂取していると言われています。一方ワクチンに含まれるアルミニウム量は、B型肝炎ワクチンに0.125mg、4種混合ワクチンに0.1mgです。

疑問③ワクチンを何本も同時接種するのが不安……

→同時接種しても副反応(副作用)のリスクは上がりません。ワクチンに入っているウイルスや菌は十分弱められているので、体への負担は少ないのです。

同時接種は諸外国でも実施されていて、安全性が確かめられています。

日本小児科学会も、同時接種をしても各ワクチンの有効性は保たれ、有害事象(※)や副反応の頻度が上がらないと述べています

例えば道で転んでケガしたとしたら、その傷口からは大腸菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、緑膿菌など、多くの菌が侵入してくることがよくあります。それでもめったに病気にかからないのは、体の中で免疫が働くからです。もちろん菌の量や菌の強さなども関係するので、傷口から入るのが破傷風菌だったら、少量でも感染する危険性があります。

また、保育園・幼稚園、きょうだい間では、鼻や咳の風邪、お腹の風邪などをうつし合うことが頻繁にあります。これらの状況に比べれば、ワクチンの同時接種の方が体への負担は少ないのです。

ワクチンに含まれる抗原(菌など)は、子どもの体でも十分対抗できる量です。同時接種しても問題ありません。

(※)有害事象とはワクチンや薬を接種した後に起こるあらゆる事象のこと。副反応のようにワクチンとの因果関係が認められるものもあれば、因果関係のないものや原因が不明なものも含まれます。

疑問④予防接種が多すぎてスケジュールを組むのが大変。全部を1本にまとめられないの?

→ワクチンの種類をまとめられるように、今も研究開発が進んでいます。

現在日本では4種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)が使われていますが、海外には5種混合、6種混合のワクチンもあります。

日本は国内でワクチンを製造することを重要視しているので、海外のものは認可されていません。

日本では今、4種混合にヒブ(インフルエンザ菌b型)を追加した5種混合ワクチンを開発しています。有効なワクチンが完成しつつあるので、近い将来日本でも5種混合ワクチンが認可されるでしょう。

疑問⑤「任意接種」は打たなくてもいいってこと?

→定期接種も任意接種も、どちらも同様に重要なワクチンです。

公費で実施するのが「定期接種」、自己負担で行うのが「任意接種」と呼ばれていますが、今や医学的に根拠のある分け方ではなく重要度に違いはありません。

例えばおたふく風邪ワクチンは、WHO(世界保健機関)が「どの国に住んでいても、どんな経済状況でも受けるべき」としていて、多くの国が公費で受けられます。しかし日本では任意接種のため、接種率が低いままです。

任意接種のままでいるのは費用対効果が少ないと考えられていることなどが要因ですが、それでも定期接種化するワクチンが少しずつ増えています。2020年10月にはロタワクチンが定期接種化されます。

疑問⑥ロタワクチンはなぜ2種類あるの?

→2つの製薬会社が同等の効果をもつワクチンを開発したからです。

ロタワクチンには、GSKが開発した「ロタリックス」とMSDが開発した「ロタテック」の2種類があります。

治験の結果、どちらも同等の効果があると認められました。現在は2社とも特許をもっていますが、特許が切れると2種類から選ぶ状況が変わるかもしれません。

ロタリックスは2回接種、ロタテックは3回接種なので、好きな方を選んでください。あくまで効果は同じなので、小児科医としてどちら一方をおすすめすることはできません。

疑問⑦「ワクチンは打たない方がいい」と言う人がいるのはなぜ?

→ワクチンの副反応のリスクを受け入れられないのかもしれません。しかしワクチンには、副反応をはるかに超える利益「感染症の予防効果」があります。

原因の一つとして、「子どもが自然感染で亡くなるのはやむを得ないが、ワクチンなどの人為的なもので亡くなるのは確率が低くても許せない」という考え方があるからでしょう。この根底には「自然は善、人工は悪」という価値観があるのかもしれません。

残念なことに医師がワクチンは不要であるかのような不正確な情報を流していることもあります。医師以外にも、サプリメントを販売したり自然食セミナーを行ったりなどしている人の一部が「ワクチン以外の方法で免疫力を高めよう」などと宣伝していることもあります。

しかしワクチンには、副反応の大きさをはるかに超える利益「感染症の予防効果」があります。ワクチンの接種をやめたところ、死亡者が多くなったという事例は、百日咳、インフルエンザ、風疹、麻疹などいくつもあるのです。

予防接種など医療情報を調べるときは、根拠となる文献や数字が示されていることを確認しましょう。

日本で信頼できるサイトとしては、厚生労働省国立感染研究所日本小児科学会、「VPDの会」などが挙げられます。対面で相談したいときは、保健所に問い合わせるのがいいでしょう。

疑問⑧予防接種の副反応が怖くって……

→副反応のほとんどは、発熱や腫れなどの軽いものです。その多くが数日中に無治療で治ります。

もしワクチン接種後になんらかの症状があるときは、接種した医療機関に相談しましょう。万が一なんらかの問題が起きた場合は補償も受けられます。

主な副反応を少しご紹介します。

<発熱>

麻疹ワクチンや小児肺炎球菌ワクチンは、発熱しやすいワクチンです。小児肺炎球菌ワクチンは接種した日か翌日、麻疹ワクチンは接種1週間後くらいに発熱し、ほとんどが38℃前後で半日から1日程度で解熱していきます。

<接種した部位の腫れ>

腕や脚などの接種した部位が腫れることがあります。特に腫れやすいのは、4種混合ワクチンやインフルエンザワクチンです。上腕の場合、腫れが肘より下まで広がるようなら受診しましょう。腫れが小さい場合は冷やしたりステロイド軟膏を塗ったりします。

<発疹(生ワクチン特有の副反応)>

ごくまれですが、麻疹ワクチンは接種5〜14日に発熱や発疹、おたふく風邪ワクチンは接種10〜14日後に耳下腺の腫れ、水ぼうそうワクチンは接種1〜3週間後に水疱のある発疹を伴うことがあります。いずれも軽症で無治療で治りますし、第三者に感染させることもありません。

その他の副反応については『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』をご覧ください。

疑問⑨そもそも予防接種は義務じゃないよね? 打つか打たないかは自由でしょ?

→ワクチンを接種する義務はありません。むしろ、子どもが元気に生きていくための権利です。

予防接種法によれば、接種しようとする努力義務はありますが、接種自体の義務はありません。予防接種をするかどうかを決めるのは、お子さん本人か保護者です。

でも、感染症にかかったらお子さん自身が辛いし、後遺症が残ったり、命を落としたりするリスクもあります。保護者もお子さんの看病や心配で疲れるだけでなく、自身にも感染するかもしれません。

さらに感染症は周囲の人にもうつしてしまう危険性があります。予防接種開始前の赤ちゃん、予防接種をしても十分な抗体がつかない人、持病などにより予防接種ができない人に重い感染症をうつしたら、責任がとれるでしょうか。

ワクチンの接種は義務ではなく、むしろ子どもが元気に生きていくための権利なのです。

監修:小児科医・森戸やすみ

イラスト:いらすとや

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ワクチンについてもっと詳しく知りたい方には『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』がおすすめ。小児科専門医の森戸やすみ先生、宮原篤先生が、ワクチンに関する疑問や不安についてわかりやすく解説しています。

また、11月24日(日)には『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』刊行記念トークイベントが開催されます。開催場所は新宿のNaked Loft(ネイキッドロフト)。

森戸やすみ先生、宮原篤先生、そして堀成美さん(感染症対策コンサルタント)と直接お話ができ、ワクチンに関する疑問や不安を解消できます。詳細やご予約は公式サイトにて。

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