「産後すぐ働いてるのに保育園落ちた」フリーランス、自営業の厳しすぎる保活戦線

    待機児童がゼロになる日はまだ遠い

    「産後すぐに働く人より、育休中の人が優先されるなんて」

    そう語るのは、兵庫県明石市に住む金井さん(仮名)。夫と2人の娘、祖母との5人暮らし。自宅でピアノ教室を開業しており、たいてい朝9時半から夜9時まで(うち休憩2時間)働いている。

    長女は認可保育園に通っているが、今回次女が認可の1次募集に落選。2次募集で受かる見込みも少ない。

    会社員を前提とした保活制度の問題について、金井さんがBuzzFeed Japanに語ってくれた。

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    会社員、外勤が優遇される保活制度

    認可保育園の利用調整では、親の就労状況や家庭内状況を考慮した上で、入園の優先度が点数化される。

    就労状況の判断方法としては「家庭外労働(外勤)」か「家庭内労働(内勤)」を問う自治体が多い。その自治体の多くが、家庭内労働を家庭外労働よりも点数が低く設定している。たとえ勤務時間が同じだとしても。

    金井さんは自営業であるというだけで、保活戦線でハンディキャップを背負うことになった。

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    育休も取らずに働いているのに

    自営業である金井さんは、出産手当金も育児休業給付金も支給されない。つまり産後仕事復帰するまで収入がないのだ。

    そこで金井さんは、育休を取らない選択をした。

    産後1ヶ月目から徐々に仕事を再開し、産後2ヶ月目には本格的に復帰。金井さんが仕事をする間、65歳の祖母が次女の面倒を見てくれている。

    しかしこれは、あくまで4月から次女が保育園に入ることを見越しての選択だった。祖母は体力的にも経済的にも、もう限界が近づいている。

    「自営業といっても赤ちゃんを抱っこしながらできる仕事ではありません。これ以上、次女を祖母にお願いすることもできないですし……。

    自営業だからといって一律に加点されない仕組みは、不公平な気がしてなりません」

    金井さんが住む自治体では、産後すぐに働いている人には1〜3点の加点がなされる規定になっている。ただし「保育園申し込み時に育休を取得している場合に限る」とのことで、金井さんは対象外だった。

    働き方が多様化し家庭内労働を選択する人が増えている今、保活の点数制度が時代に追いついていないことは明らかだ。


    「そもそも認可に申し込みさえしなかった」

    ハナから認可保育園の保活戦線を離脱し、別の道を探る家庭もある。BuzzFeed Japanの取材に応えてくれたのは、東京都に住む木村さんご夫妻(仮名)だ。0歳の娘がいる。

    夫は映像プロデューサーで、妻はイラストレーター。ともにフリーランスで働いている。「家庭内労働」に区分される2人にとって、認可保育園に入ることは「無理ゲーだった」と言う。

    でも、働かなければならない

    認可保育園には頼れないが、子どもを預けないと働けない。そこで木村さん夫婦が選択したのは、「認証保育園」の多い地区に引っ越すことだった。

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    国が定めた設置基準をクリアしている認可保育園に対し、認証保育園は東京都独自の基準によって認定された施設だ。

    認証保育園では独自の基準で入園選考を行なっているため、認可保育園で用いられる点数制度に縛られない。

    つまり、フリーランス夫婦である木村さんたちにもチャンスが巡ってくる、貴重な託児先の一つだった。

    文句はない。でも、自由に住む場所が選べたら

    木村夫妻の選択は功を奏し、無事に娘を認証保育園に預けることができた。

    「別に保活に苦労したわけじゃないし文句はないです。でも、自由に住む場所が選べたらもっといいな、とは思いますね」

    フルタイムで働く会社員でさえ認可保育園に落ちるような激戦区では、特別な事情がない限り、自営業やフリーランスにその枠は回ってこない。