いまだかつて、これほど可愛い猫を見たことがあっただろうか
作者・花房さくらさんに話を聞いた
ツイッターに突如現れた、猫たち
見て楽しむだけじゃなく、面白い体験ができる装置をつくりたい!大学院の修了制作の「high-seven」は、実際に猫とハイタッチできる作品でした。またこういうのつくりたい。
この投稿は2万リツイートを超え、大きな反響を呼んでいる。
「可愛い!」「ハイタッチしたい」「玄関にほしい」など、猫たちとのハイタッチを望む声が相次いだ。
この、可愛すぎる猫たちは一体…?

作者は花房さくらさん。大学院修了時に手がけた『high-seven』という作品だ。
数多くの猫の彫刻を生み出している花房さんに、BuzzFeedが話を聞いた。
「アイドルの握手会をヒントに」

『high-seven』が生まれた背景について、花房さんはこう語る。
「誰かを元気にしたいという思いから、アイドルの握手会をヒントに思いつきました」
そこで、実家で飼っていた猫や、友人が飼っていた猫をモデルにし、さながらアイドルグループのような7匹を作り上げた。
サイズも本物に近づけている。

「実際に存在した猫たちをモデルにしているので、それぞれの性格が表われるような表情・仕草にしています」
「友人や先生たちがニコニコしながらハイタッチしてくれました。身近な人たちを笑顔にできたことが自分にとっての成功でした」
この作品はすでに人の手に渡っていて、もう触れることはできない。
「非日常のちょっとしたワクワクを感じてほしい」

花房さんは、「有り得ないものを実在させることができることが彫刻の価値だ」と考える。
「彫刻を道具として使い、非日常のちょっとしたワクワクを感じてもらいたいというのが私の作品です。体験してくれた方の人生が少しでも楽しくなればいいなと願っています」
それは「例えるなら、ディズニーランドのミニミニバージョンです」。
「猫は人間にとって最も身近な存在だけど」
花房さんが猫の作品を作るようになったきっかけは、「たまたま猫を飼っていて観察しやすかったから」。
「猫は、人間にとって最も身近な存在であり、かわいいと扱われている反面、日本では人間の支配下でしか生きることを許されない哀しい生き物だと私は思っています」

「猫を人間のように二足歩行させることで、人間も動物の一種であることを感じてもらえたら」という思いも込めている。
「猫を空からバラまいて世界中を幸せにしてやる!」

自身の作品で印象に残っているのは、大学院在学中に発表した『ハピテロ』。
「猫を空からバラまいて世界中を幸せにしてやる! というコンセプトで、猫にパラシュートをつけ展示会場の天井いっぱいに吊るしました」
「技術は拙いものでしたが、初めて自分の空想を力いっぱい表現できた点でとてもよく覚えています」
その一方、苦い思い出でもある。
「『ハッピーなテロリズム』を略して『ハピテロ』という作品名にしましたが、テロという言葉自体で不快になる人もいることを講評で指摘され、苦い思い出としても心に残っています」
「芸術品よりもエンターテイメントでありたい」

作品づくりで常に意識しているのは、「鑑賞者との絡み」だという。
「私の作る彫刻を見るだけでなく体験することによって楽しんでもらいたいと考えています」
花房さんの作品は、猫が食べ物をもって「どうぞ」していたり、「寄ってらっしゃい」と呼びかけていたりと、鑑賞者がいて初めて成立するものが多くある。
「芸術品よりもエンターテイメントでありたいと考えているので、誰かを笑顔にできる作品を目指しています」
花房さくらさんのホームページはこちら
4月17日から23日にかけて、阪神梅田本店9階美術画廊にて、花房さくら個展「そろそろお茶にしませんか?」が開催される。
5月15日から21日には、松坂屋名古屋店8階アンテナプラスアートでの展示も予定している。