買うと思わず「応援したくなる」 ある男が仕掛ける心を動かすマーケティング

    「バターのいとこ」というお菓子が、なにやらSNSを賑わしている。

    「バターのいとこ」をご存知だろうか。

    このお菓子を買った人はみな魅了され、SNSにその熱い想い書き込むのだ。

    まずは、その熱量を見てほしい。

    「無脂肪乳にスポットライトを🐄」

    「バターを作った時にできる無脂肪乳。その価値をもっと高められるようにという、そんな願いも込められている」

    「生産者の想い、牛の想いも含めて大切にしたいね。ありがたくいただきます」

    「バターのいとこ」ができるまで

    チャウス提供

    宮本さんは栃木県那須で、マルシェやコミュニティカフェを経営している。

    ある日、宮本さんは酪農家からこんな相談をされた。

    「食卓を豊かにするこだわりのバターを作りたい。

    しかしバターは生乳の4%しかできない貴重なもの。残りのおよそ90%は無脂肪乳として安く販売されてしまう」

    無脂肪乳の価値が上がらない限り、小さな牧場でこだわりのバターを作り続けることができないのだ。

    そこで宮本さんは考えた。

    「無脂肪乳を買い取って、おいしいお菓子を作ろう」

    チャウス提供

    そうして生まれたのが、「バターのいとこ」だ。

    牛乳から分離したバターと無脂肪乳の関係性が「まるで従兄弟みたいだ」と、宮本さんが命名した。

    無脂肪乳を原料としたミルクジャムを、バターを練りこんだゴーフル生地でサンド。

    ふわっ シャリッ とろっという3つの食感が楽しめる。

    作り手と買い手、そして地域が嬉しい「三方良し」をめざして

    生産者に寄り添う宮本さんは、バターのいとこに「三方良し」となる仕掛けを施した。

    チャウス提供

    無脂肪乳の価値を高めるお菓子をつくることで

    ①生産者は美味しいバターを安定して作れるようになる

    ②観光客(買い手)は美味しいお菓子やバターに出会い、また那須に訪れる

    ③そして地域が活性化していく

    これが作り手・買い手・地域のみんなが嬉しいサイクルの仕組みだ。

    宮本さんは、全国でバターのいとこを販売するたび、この仕組みを丁寧に説明しているという。

    パッケージから伝わるメッセージ


    GOOD LINKS, GOOD LIFE

    牛乳からバターを作るために出る90%もの無脂肪乳。その価値を高められると、生産者さんも嬉しい、新たな仕組みが生まれ、おいしいクラフトバターを作ることができるようになります。
    「バターのいとこ」は那須育ちの無脂肪乳を使い、つくる人も、たべるひとも、地元のひともみんながうれしい、よろこびの連鎖を産むことができる可能性に満ちたお菓子。那須産バター作りへとつながり、世の食卓がより豊かなものになりますように。

    買い手は、無脂肪乳の知られざる事実を目の当たりにするとともに、宮本さんのメッセージに心を動かされる。

    そして宮本さんのメッセージは、買い手によって次々と拡散されていく。

    みんなができることを、ちょっとずつ

    「まだ生産者の方に還元できるようなインパクトは生み出せていない」と宮本さんは言う。

    「たかが一店舗ができることは限られています。

    でも、バターのいとこを買ったお客さんが『三方良し』の仕組みを発信してくれたり、同業者から『スキムミルクを使いたい』という声が届いたりしています」

    宮本さん一人では手の届かないところまで、プラスのサイクルが広がっていることを実感しているという。

    「みんながそれぞれにできることをやる。それも、楽しみながら。それが社会を良くすることに繋がるんじゃないでしょうか」