授業中に飛び交う「マジでww」「88888」。敬語不要ルールで「神授業」が話題に!

    よく考えられた授業でのチャット機能活用。カメラオンを強要せず、チャットで参加できるのめっちゃいいわ〜!

    お茶投げたくなる授業が話題です。

    兵庫教育大学大学院学校教育研究科・准教授の小川修史さん(@ogatti21)が、Twitterに自身が開講しているオンライン授業の手応えを投稿したところ、2万6千回以上リツイートされ、13万8千を超える「いいね」が集まりました。

    「時代にあった柔軟なご対応、素晴らしいと思います」「やる気が出せる環境を作り、学生が主体的に学ぼうとするのが素晴らしい」と、コメント欄には小川さんの粋な対応を絶賛する声が多く見受けられます。

    また、「授業のオンライン化はデメリットばかりじゃなさそう」「やっぱり、オンラインにはオンラインの良さがあるんだよ」とオンライン授業に対する前向きな反響も寄せられました。

    「新たなニコ生主誕生の瞬間ですね」

    大学のオンライン講義はカメラオフなので学生の顔が見えない。あまりに寂しかったので、チャット機能を活用することに。「なるほど」「マジでww」「88888」など敬語不要のルールにしたところ、チャットが異様に盛り上がり、「神授業!!」「お茶投げたいです!」と感想に書かれていて満更でもない件。

    Twitter: @ogatti21

    こんなにもフランクな授業、最高すぎません?

    コメント欄には「wwwwwwとかもありですか?」という質問が寄せられ、小川さんはそれに対して「もちろんですwww」と返信していました(笑)

    BuzzFeedは小川さんにお話を聞きました。

    新型コロナウイルスの影響で、多くの大学が授業形態を対面からオンラインに移行せざるを得なくなりました。

    オンラインを活用して、どこにいても教育を受けられるようになりましたが、学生からは「『オンライン教育はモチベーションが持続できない』『疲れる』など、ネガティブな声を多く聞きます」と、新たな試練が見つかったそう。

    小川さんはそんな状況をブレイクスルーすべく、「どうすれば学生がストレスなく、かつ楽しく講義を受講できるか?」を全力で考える必要がありました。

    とりわけ「オンライン教育は教員の目が届かない分、学び手の主体性がなお一層重要になってきます」と、オンラインならではの対策を練ることが求められました。

    そこで小川さんが考えついたのが、チャット機能を活用したルールでした。

    「このルールに関しては学生からポジティブな感想があまりにも多かったことから、オンライン教育で悩んでいる方の一助になればと思い、ツイートさせていただきました」

    伸びてきたので後日談ですが、「受け身な自分が前のめりになった」「チャットを見ながらメモを取れた」「他の人の意見や考え方を知れた」「聞くだけより断然集中できる」「発言しやすい」など、任意の授業アンケートにもかかわらず7割の学生が感想を書いてくれました。 ちなみに、感想は全て敬語です。

    Twitter: @ogatti21

    カメラよりチャット?

    ーーチャット機能をうまく使っているのは、学生もきっと楽しみながら授業に参加できそう。でも、どうしてカメラをオンにすることを強要しなかったのですか?

    「本当はカメラをオンにして講義をしたいのが本音です。しかし、家庭によって回線速度に差があるため、カメラをオンにすることで講義が受けられない可能性が生まれます」

    「また、顔を写したくない学生もいることが予想されますので、カメラのオンを無理強いするのではなく、講義への意欲を固める方法を模索した結果、チャットに辿り着きました」

    なるほど! 確かに学生さんにもそれぞれ事情はあるはず。それをしっかり吟味した結果、チャットを活用することにしたんですね。

    参加しやすい工夫

    ーー投稿を読む限りでは、チャットには質問だけでなく、リアクションやコメントも書き込んでいる印象がありますが、他にも学生が参加しやすいように設定されたルールはあるのでしょうか?

    「質問をたくさん取り入れ、全ての人がチャットで回答する状況を生み出しました」

    また、小川さんは「うわぁー!沢山の『なるほど』がきていますね!」みたいな感じで、チャットに対してなるべく反応する様にしたんですって。

    「私は関西人ですので、『みんな、めっちゃ笑ってるやん!』とツッコミを入れる感じです。すると、チャットはどんどん盛り上がっていきました。私のキャラクターもチャットと相性が良かったのかもしれません」

    その話を聞いてるだけで、楽しそうな雰囲気が伝わってきます! 小川さんの講義、めちゃくちゃ受けてみたい…(笑)

    困ったこと

    ーーチャット機能っていいな〜。では反対に、チャット機能を利用することで困ったことはありますか?

    「(私が)質問をした際に、回答が出てくるまでのタイムラグがあることです」

    「人数が多い講義では問題ないのですが、少人数の講義の場合だと(学生が)1番最初に回答することを躊躇するんですよね。特に抽象的な質問だと『質問を間違っているかもしれない・・』と考えるのか、鈍くなります」

    「また、最初にうまくルール説明をして練習をしないと、チャットが出しづらい雰囲気になってしまいます。最近は『おはようございます』などの挨拶を、講義の冒頭で強制的にチャットに入力させる様にしています」

    今後は…

    小川さんは、チャット機能活用を「今後も継続して続けていきたいですし、対面の講義に戻った際も継続したい」とポジティブな様子です。

    「対面であろうがオンラインであろうが、学生が主体的に学べる環境を生み出す作業という意味では同じだと考えています」

    今は一人一台タブレット端末やスマホを持っている時代。従来の挙手をして発言する方法でも、学生を指名して発言してもらう方法でなくても、学生が手持ちの機器を利用して、講義中も学生とコミュニケーションすることができますよね。

    そんなこともあって、小川さんは言います。

    「(今後、)講義のスタイルが大きく変わることを期待しています」

    反響に対して

    小川さんのツイートには、大きな反響が寄せられました。

    「まさかこんなに反響が来るとは思ってなかった」

    「オンライン教育に対する不満が高い背景の中で、オンライン教育の可能性を感じた部分が大きかったのでは」と、反響が大きかった背景を振り返ります。

    現在、教育におけるICTの活用が議論されている中で、コロナ禍という状況もあり、教育のあり方は大きく変わっています。そんな状況の中にいる私たちに、小川さんはこんな提案をします。

    「教育のあり方が大きく変わる今だからこそ、その根本となる学び手の『主体性』について、一度考えてみてはいかがでしょうか?」