暗いところで写真を上手く撮る方法 プロのアドバイス
とにかく辛抱強さがカギ。
こちらはクリステル・ライトさん。写真家であり冒険家、そしてストームチェイサー(雷を撮影する人)でもあります。
オーストラリアのクイーンズランド州で育った写真家のライトさん。現在は、非常に辺ぴな場所でのエクストリーム・スポーツや冒険を撮影するために、半ば遊牧民のようなライフスタイルを送っています。ライトさんは、モダンな生活では当たり前の快適さがない場所に定期的に行きますが、そういった場所で素晴らしい写真を撮影するには、大自然が提供してくれるものだけに頼らなければいけないことも。
光があまりない状況で、どうすればきれいな夜空を撮影できるか、ライトさんがBuzzFeed Newsにアドバイスしてくれました。
1. 使える光はとにかく使いましょう。ただし、上手に。
「コツは、被写体が光に照らされつつ白飛びしない場所(特に肌の色が飛ばないように)をきちんとみつけること」とライトさんは言います。「光源としてヘッドランプを使うのは難しいかなと思います。配光のバランスが必ずしも理想的じゃないから。でもヘッドランプは小さくて持ち運びが楽だし、被写体を照らすのに良い場所に置けるという柔軟性の高さがあります」。
2. 光源と言えば、いざという時はスマホが便利。

「スマートフォンって、誰もが手の届く範囲に持っているものです。手持ちの機材がない状態で作業しているときは、使えるものは何でも使います。スマホのライト機能は出先で作業している時に便利で助かることが多いです」
3. 暖かい色の光は冷たい色の光よりおすすめ。
タングステンの光源はきれいで使いやすいなとよく思います。タングステンが作り出す暖かい色調が好きなので。特に、日の出前の薄明かりの中、まだ濃い青さがはっきりと残っている夜明け前のひとときには素晴らしいですよ」
4. 街灯は扱いが「ちょっと難しい」けど、「すごく雰囲気を出せるときもある」。
街灯が高いところにあると、光が被写体に影を作ります。でもライトさんは次のように話します。「写真を撮る際には常に、自分はどんな光を選択肢として使えるのかを気にしましょう。そしてそれをどうすれば一番良い形で利用できるかを」。
5. 設定はこの順番で:絞り値→シャッタースピード→ISO

「状況は常に変わるものですが、私は普段まず絞りを開け、被写体の動きにスピードがあるものでなければシャッタースピードを落とし、最後にISO感度を上げます。私が今使っているカメラのキヤノンEOS RはISOを上げてもノイズが出ないので、光が少ない難しい状況でも高品質の画像を撮ることができます」
6. 備え付けのフラッシュやカメラに取り付けたフラッシュは、そういった画像を撮りたいわけじゃないなら、使わない方が賢明。

「フラッシュでドギツイ画像は、きれいだし個性を出してくれることもあります。でもそのドギツさを求めていない場合、写真の雰囲気をぶち壊してしまうことも。ほとんどのフラッシュは、出力の強さが調整できるようになっています。調整できない場合は、写真を撮る人が移動しながら、そのフラッシュにぴったりの角度を見つける必要があります」
7. 500➗焦点距離=夜空の写真撮影時は最大のシャッタースピード。
「星って私たちが思っているより速く動いているので、10秒の露出ですでにいくらかの動きが見られます。でも、シャッターを長い時間開けておけばおくほど、より多くの色彩が撮れることも覚えておいてください」
8. カメラを安定させておくのにぴったりのものを見つけよう。
「三脚はもちろん必需品ですが、私はよく忘れてしまうので、そんな時はカメラを乗せておける安定のいいものを探します。最悪の場合は、ISO感度を上げるのでも効果がありますよ」
9. 天の川を見つけるには「PhotoPills」を活用しよう。

アプリ「PhotoPills」(拡張現実の機能)は、特に撮影場所を事前に探しに行けない時や作業の時間が限られている時に、計画を練るのに役立ちます」
10. 星空の前に何か物がある場合、全く同じ写真を少なくとも2枚撮っておきましょう。

1枚目は空にフォーカスを当て(星はぼやけるのではなく、小さな点々に見えるはずです)、その後カメラを動かさずに次の1枚ではフォーカスを前にある物体に合わせます。写真にどれほどの深みが欲しいかによりますが、2つ目のステップを必要なだけ繰り返しましょう。自分が撮った画像に満足したら、Photoshopで写真をスタックさせ、シャープな部分だけが見えるようにレイヤーをマスクします。
「それが例えば景観であれ、人であれ、または何らかの被写体であれ、画像に物語や層を加えてくれる前景を見つけてみましょう。コツは、動かない被写体を見つけ、いくらかの被写界深度を出すためにf/5.6くらいで、ややスローシャッターでISOを上げて撮影することです」とライトさんは説明します。
11. 残念。月が出ている時は星を撮影する選択肢はあまりありません。

月明かりがただただ強すぎて、空に光が溢れすぎてしまいます。
12. 渦巻きスタイルの夜空の撮影に必要なのは、できるだけ少ない光害と、たっぷりの時間。

「シャッターを長い時間開いておけばおくほど、より長い軌道を作ることができます。星の軌道を作るには、15分〜数時間かかると考えてください。
13. 景色の中の個性的な物体は、光を使って強調しよう。

「リモートの露出は通常30秒以上できるので便利です。理想的には、カメラを安定させておき、シャッタースピードをより長くするために三脚があるといいですね。そうすればノイズを避けるためにISO感度を低くしておけます」
14. 露出不足を恐れないで。
「白飛びさせたくないし、影の部分は細かさが出なくてもいいので、私はいつも露出アンダーで撮影します」
15. 光があまりない中で焦点を当てるのって、イライラします。でも不可能ではありません。

「もしあなたのカメラが、ほぼ真っ暗な状況でも焦点を絞れるものなら素晴らしいですね。EOS RはISO感度が一瞬上がるので、全景を見ることができます。つまり画像を撮るための設定に戻る前に、焦点を合わせることができるのです」
16. 辛抱強く待とう。暖かい服を忘れずに。
真夜中に自然の中にいるとどれほど寒くなるか、甘く見ちゃいけません。
「夜間の作業は間違いなく忍耐力が必要になります。シャッタースピードは遅くなるし、あっという間に時間が経ってしまいますから!暖かい服と追加バッテリーを持っていくのを忘れずに。それからもちろん、私は必ずお菓子を忍ばせていきますよ!」
BuzzFeedは、オーストラリアのジャービス湾で行われたEOS Rの製品発表会にキヤノン・オーストラリアのゲストとして出席しました。
この記事は英語から翻訳・編集しました。
翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan