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「同性愛は罪だ」と教わって育った少年が、カミングアウトした理由

キリスト教会の牧師である母に「同性愛は罪だ」と教わって育った少年が、ゲイであることをカミングアウトした初めてのK-POPスターになるまでの軌跡。

ある日、「フライト代も出すから、明日韓国に来てくれ」と運命の電話が。

国民的オーディション番組に出場し、K-POPスターダムを駆け上がったMRSHLL(マーシャル)がリスクを背負って同性愛をカミングアウトした理由を聞いた。

ーー地元カリフォルニアから、K-POPスターを目指して韓国に来ることになったきっかけはなんですか?

大学に入って、YouTubeに自分が歌っている動画をアップし始めて、それがいくつかヒットした。それから音楽の道を本格的に進もうとしていたのだけれど、ある時、喉にポリープの初期段階のようなものが出来て歌えなくなってしまった。

それが理由でヘアスタイリストに転向。NYに引っ越して、音楽の夢は一度忘れようとした。

そこで運命の電話がかかってきたの。

「君のフライトも手配するから、明日韓国に来てくれ!」って。

ある音楽番組のプロデューサーが、僕の昔のYouTubeを見て連絡をしてきてくれたらしい。

それで僕は韓国に飛び立った。韓国に着いた瞬間、喉の痛みが消えていた事に気づいた。

これは何かのサインだって確信した瞬間だった。

ーーカミングアウトに踏み切った理由はなんですか?

同性愛を公表したのは、2015年にTime Outの記事だった。

理由は単純で、僕も恋人が欲しかったし、デートだってしてみたかったから。

今までオープンに出来なかったのは、幼い頃からキリスト教徒として育てられ、同性愛は罪であり、悪いこと、また聖書にもNOと書かれていると思っていたから。

それに両親をガッカリさせたくなかった。友達にだってどう思われるか心配だったし。

本当は2013年に家族にはカミングアウトをしていたのだけど、一時的な感情だって相手にされなかった。でもこのTime Outの記事がきっかけで、避けていた会話をすることになった。

今でも僕はキリストへの信仰を持っているし、ある時気づいたんだ。

神はたとえ何があろうと僕のことを愛してくれると。

ーー生い立ちを教えてください。

生まれ育ちはカリフォルニアの郊外のアナハイムってところ。ディズニーランドの隣!

両親とも韓国からアメリカに移住して来て、カリフォルニアで出会って結婚。

教会熱心な両親で、母は牧師になっちゃったくらい。

兄弟は、僕の他に二人。二人とも僕のことをすごくサポートしてくれている。

YouTubeでこの動画を見る

Buzzfeedのインタビュー動画(英語)はこちら

ーーずっとアメリカで育ってきたMRSHLLさんにとって、同性愛に対する韓国社会の認識に、アメリカとの違いを感じることはありますか?

韓国では、カミングアウトしなければ問題はないという風潮がある。

その点ではアメリカと違って、ある意味安全に感じる時もある。

韓国のアーティストの中には、ドレスを着たりヒールを履いたりして、女の子っぽい振り付けで踊っている子達もいる。

でも誰一人カミングアウトはしない。

多くの有名人がカミングアウトした後に、批判の的にされ、芸能界から干されることがあった。自殺に追い込まれた人たちもいた。

芸能界で唯一カミングアウト出来ているのは、俳優であり、子ども番組の司会者でもあったホン・ソクチョンだけ。

彼も2000年にカミングアウトした翌日、全てのテレビやラジオ番組、ドラマを降板させられ、2008年のトークショー番組「Coming Out」で司会に抜てきされるまでの間、テレビに出ることはなかった。

《韓国では同性愛に賛成する人が今年初めて、過半数を超えた。それまでは反対派が根強かった。日本では、約8割の人が同性婚に賛成しているという調査結果が出ている》

ーー「LGBTQ代表」みたいな責任感は感じますか?

僕は、自分のことを普通の人間だとは思わないけれど、ただミュージシャンとしての夢を追いかけているだけ。そして、たまたま同性に惹かれるっていうだけ。

韓国だけではなく、世界中を見てもアジア人でカミングアウトしているミュージシャンや俳優は極端に少ない。でもどこからか始めないといけない。

だからもし僕が君にとってのLGBTQ代表だというなら、それでも構わない!

清き1票を!(笑)

ーー音楽を始めたきっかけを教えてください。

もともとバレエのダンサーになりたかったんだけど、幼い頃に母に「バレエがしたい!」って言ったら、「男の子はバレエなんてしないの!」って。

だからクリスチャンの子ども合唱団に入団することになった。300人くらいの規模だったんだけど、僕と男の子2人除いて全員女の子だった。そこでダンスを覚えたり、ミュージカルをやったり、とても楽しかった。

でも、僕がフェミニンになりすぎたって理由で、少年合唱団に放り込まれて、中高時代は400人の男の子たちに囲まれて過ごすことになった。

やがて教会でも歌うようになり、マライア・キャリーのアルバムがきっかけでR&Bにどっぷりハマっていったの!

ーー音楽にも自分のセクシュアリティを反映していますか?

今まで書いた全ての曲は、自分の経験を元に書いている。そのうちのほとんどはLGBTQコミュニティ内で起こったことや、自分自身がLGBTQである事について書かれている。

POSE - MRSHLL

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Via youtube.com

その中でも一番LGBTQコミュニティのために書いた曲は「POSE」かな。ディスコ調のダンスポップ音楽に、僕たちの生き方や、自分らしくあることへの喜びが歌詞に書かれている。

サブリミナル効果があるように、「君も僕もゲイ!ゲイ!ゲイ!」って歌ってるの!もちろん冗談だけどね(笑)

ーー歌詞にHe/Himを使わないのは意図的ですか?

あえてジェンダーがわからないように歌詞を書いているつもり。ジェンダーを絞らず、より多くの人が共感できる内容にしようとしている。

ーーオールインクルーシブなイベント「POSE」について教えてください。

僕が主催しているイベントで、LGBTQに関わらず全ての性別やセクシュアリティがウェルカムなパーティー。毎回素晴らしい音楽を流してくれて、LGBTQをサポートしてくれているDJを、僕が自分自身で選んでいる。

これから流行りそうなLGBTQのアーティストや、活躍の場が限られている女性アーティストにも露出できる場を増やそうとしている。良い音楽を聴きに、多様性溢れる人たちが集まって、思いっきり自分らしく楽しめる場所を提供しているんだ。

ーー日本に来たことはありますか?

日本は本当に大好き!FancyHIMっていうゲイのクラブイベントにも行ったことがあって、とても面白かった。日本の文化はとてもユニークだと思うし、日本食も日本人の男性も大好き(笑)

日本でもぜひぜひパフォーマンスしてみたい!

昨年10月にリリースしたミックステープ。 / Via Spotify
MRSHLLが参加している最新作「PETTY」 / Via Spotify