イギリス政府がネットコンテンツを規制する機関を計画

    インターネットの自由はどうなる?

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    イギリス政府はインターネットを規制する新たな規制機関の設立を準備中だ。

    テック企業に自社プラットフォーム上で公開されるコンテンツ内容に対する責任を負わせ、違法コンテンツやヘイトスピーチを数時間で削除できない場合制裁措置を科す権限を持たせることが、BuzzFeed Newsの取材で明らかとなった。

    内務省とデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が作成中の原案は今年の冬に公開される予定だ。オンライン上のsocial harms(社会的悪影響)を規制する新たな枠組みが導入される見込みとなっている。

    BuzzFeed Newsは原案の詳細に関する情報を取得した。放送通信庁(Ofcom)のようなインターネット規制を目的とする規制機関が創設される模様だ。放送通信庁は、放送事業者、電気通信会社、郵便局を規制監督している。

    サジド・ジャビッド内務大臣とジェレミー・ライトDCMS大臣は、SNSプラットフォームに対し強制力を持つ行動規範を課し、違法なヘイトスピーチコンテンツを一定の時間内に削除することを義務付け、違反した場合は罰金を課す「削除期限条項」といった新たな厳しい罰則の導入を検討中だ。

    政府はFacebook、Twitter、インスタグラムのユーザーに対し年齢認証を義務付けることも検討している。

    昨年の総選挙で保守党が出したマニフェストの中にはひっそりとインターネットに規制をかけるとの公約が載せてあった。

    「テクノロジーやインターネットを規制するのは、政府の役割ではないとの声も耳にします」とマニフェストには記されていた。「保守党の考えは違います」

    新たな法案はいまだに草案の段階で、今年の終わりに審議が開始する予定だ。イギリス政府報道官は、規制機関の設置を含む「あらゆる選択肢が検討」されていることを認めた。

    計画中の規制機関が新設されると、テロ関連コンテンツ、児童虐待動画、ヘイトスピーチを削除しないSNSプラットフォームに懲罰的制裁措置を課す権限を持つこととなっる。さらにはオンライン上の非合法とまではいかないコンテンツや言動に新たな規制を課す役割も担うという。

    非合法ではないが規制の対象となるコンテンツがどういったものかを定めるルール作りは、間違いなく熱い議論の対象となるだろう。新規制機関は、最終的には議会の指揮下に置かれることとなる。

    BuzzFeed Newsが得た情報によると、政府はオンライン広告を規制する別な機関の設立も検討中だという。この政府機関には塩分、脂肪分、糖分を多く含む食品やソフトドリンクのオンライン広告を取り締まる権限すら与えられるという。

    現在、オンライン広告を規制監督しているのは広告基準審査委員会(ASA)だ。

    政府筋によると、テック業界がネットの安全性を自主的に向上できないでいることが問題視され、政府が規制すべきとの結論に至ったという。

    DCMSのマット・ハンコック前大臣が、今年初めにテック企業14社に対しネットの安全性について協議するよう呼びかけた際、応じたのはわずか4社にとどまった。

    政府の結論によると、自主的な努力を促すやり方では、ごく少数の巨大企業のみがテロ関連コンテンツといった特定の問題に対応するという成果しか得られなかったという。

    さらに新法では、中小規模のSNSプラットフォームに対しても、幅広い内容のコンテンツに対応するよう義務付ける必要があるとの結論がでた。

    インターネットの安全性に関する単一の法的枠組みを制定し、違法なコンテンツを流すプラットフォームを提供するSNS企業に対する法的責任を厳格化する内容も、新法に盛り込まれるだろう。

    SNS企業は実施規則を順守し、ネット上の犯罪行為に対し警察が捜査する際の新たな協力要件に従わざるを得なくなる。

    イギリス政府は昨年ドイツで制定された法律を参考にして法案を作成中だ。ドイツの法律ではSNSプラットフォームが違法なヘイトスピーチを24時間以内に削除しない場合、最大5000万ユーロの罰金を課すとなっている。

    この法律に対し、人権活動家グループや業界団体代表者から強い反対意見が続出した。法律が検閲につながり、小規模なSNS企業には手に負えない負担が押し付けられるというものだった。

    法律施行からほんの数カ月で、風刺雑誌と政治家を風刺する似顔絵を書く画家のコンテンツがブロックされ、様々な問題点が指摘された。

    イギリス政府はSNSプラットフォームに対し年齢認証を義務付ける予定だ。現時点では、子供は「14歳以上です」というボタンをクリックするだけで済むという点に、閣僚たちから懸念の声が上がったからだ。

    DCMSはSNSプラットフォームに対し透明性レポートの提出を義務付け、法律委員会がオンライン上のコミュニケーション内容について検討する旨の勧告を出せるようにすることを検討中だと、すでに表明している。

    DCMSは年齢認証を使ってポルノの閲覧を制限しないサイトを遮断する法律もすでに施行している。

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    ジェレミー・ライトDCMS大臣(左)とサジド・ジャビッド内務大臣

    オンライン上の社会的悪影響を規制する政府機関を新設すべきとの法案が出されたら、大論争となるだろう。

    国外に拠点を置くテック企業に自社のプラットフォームにユーザーが投稿するコンテンツに対し責任を負うよう、イギリス政府が命令できるのか、ヘイトスピーチの規制基準をどう定めるのか、非合法ではないコンテンツを国家が監視の対象とする基準をどう定めるかといった点だ。

    BuzzFeed Newsではイギリス政府内部から懸念の声が上がっていることを把握している。非合法とはいえないコンテンツを規制対象とすれば、言論の自由を求める活動家や国会議員の中から激しい反対の声が噴出するからだ。

    政府内部でさらに懸念が上がっているのは、新しい規制に従わないWebサイトを遮断するといった現在検討中の方策のいくつかが、あまりにも厳しすぎて、猛反発が出ることになるというものだ。

    9月18日に放送通信庁(Ofcom)のシャロン・ホワイト長官はテック企業に対する規制を、携帯電話サービスやブロードバンド業界に対するものと同等にするよう訴えた

    「放送とネットの垣根は、ますます狭くなりつつあります。このため、従来型メディアに対するものとインターネットに適用される規制について、国民がどう捉えるかに影響が出てきます」とホワイト長官は述べた。

    「放送に対する規制を定める上での一定の原則は、インターネット規制に関する問題を政治家が検討する際、考慮に入れるべきものでしょう」

    しかしテック業界内部では長らく懐疑的な見方が広がっている。政府がSNSの規制に口を出してうまく機能するのか、政府の規制をしっかり守るために必要なリソースの量、アメリカなど諸外国に本社がある企業に法的枠組みを当てはめることがそもそも可能なのか、といった見方だ。

    政府高官は今年の終わりに計画の内容が明らかになることを、BuzzFeed
    Newsの取材で認めた。

    「今年の冬に白書を公開して、あらゆる範囲のネット上の社会的悪影響を封じる新法を制定し、イギリス国民の安全を保障する明確な責任をテック企業に課すこととなります」と述べた。

    「どのような法律を制定する必要があるのか、規制機関が必要なのか、あらゆる選択肢を検討中です」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。