「なぜ胸を残しているの？」トランス男性に投げかけられた質問→お金がないから

トランスジェンダーの人たちが必ずしも、性別移行をしているわけではありません。性別適合手術にかかる高額な費用が払えないというケースも。

トランスジェンダーの人たち全員が必ずしも、性別移行や性別適合手術をしているわけではありません。手術には高額な費用がかかるのです。

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アメリカのバスト手術を例にみてみましょう。
Healthline Mediaが発信している「Healthline」によると、*MTFの胸を大きくする手術では、5000ドルから1万ドル程度の費用がかかります。日本円にすると、約56万円から約113万円もの費用が必要なのです。

☆MTF（エムティーエフ：出生時に割り当てられた性別が男性で、自認する性別が女性である人。 トランス女性とも言う）

☆FTM（エフティーエム：出生時に割り当てられた性別が女性で、自認する性別が男性である人。 トランス男性とも言う）

すべてのトランスジェンダーの人が、手術費用を用意できるわけではありません。トランス男性であるアドニス・ ジーグラーさん（19歳）もそのひとりです。

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「胸を残している理由」を説明したアドニスさんのTikTok動画は、現在、580万回以上再生されています。

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TikTokで、あるユーザーから「（トランス男性なのに）なぜ胸を残しているのか？」という質問が届いたアドニスさん。

アドニスさんは「こういう質問には疲れた」というキャプション付きで、返信動画を投稿し、金銭的な理由で胸を残さざるを得ないのだと説明しました。

「まだ、私は19歳。家族にはお金がないし、私自身も無職です」

「すべてのトランス男性に恵まれた両親がいて、恵まれた環境にいるわけではありません。みんながみんな、若いうちに手術を受けられるわけじゃない」

「手術費用を負担してくれるわけでもないなら、そんな質問しないで！」

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real tired of this shit 😐 // #fyp #transmasc #ftm #transgender #lgbt #ally #dysphoria

♬ tory lanez - 𝖖𝖝𝖓𝖙𝖆𝖈𝖙🤔

アドニスさんが性別違和を感じ始めたのは9歳の頃。12歳のときに、自分の“性のあり方”を説明する言葉に出合えたそうです。

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その頃から、アドニスさんはホルモン療法を始めたいと願うように。しかし、その道のりは簡単なものではなかった、と話します。

「母は最初から私をサポートしてくれましたが、父は違いました。さまざまな理由で反対され、私が15歳になるまで、何年間も父を説得しなければなりませんでした。私が精神的にもつらい思いをしていることに気づくと、父もやっと性別移行を続けることに納得してくれました」

そんな環境のなかで、アドニスさんの精神面はどんどん不安定になっていったといいます。

「何年にもわたりセラピーにも通いましたが、自傷行為や学業不振が続きました」

ホルモン療法のおかげで心も健康になれた、とアドニスさんは話します。

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ホルモン療法を行うと、さまざまな変化が体に起こります。男性ホルモンを注射したアドニスさんの場合、出生時の性別が男性の人に起こる“二次性徴”が始まりました。

二次性徴とは、思春期の男性に起こる声変わりや筋肉量・体力の増加、ひげが生えるなどの体の変化のことを指します。

出生時の性別が女性の人が男性ホルモンを打つと、生理も終わります。

ホルモン療法は、性自認と体の性を合わせるだけではなく、トランスジェンダーの人たちの性別違和に伴う精神的苦痛を軽減できるのです。

アドニスさんのホルモン療法には、父親が会社を通して加入していた民間保険が適用されていました。

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しかし、アドニスさんが17歳のときに父親が仕事を失い、ホルモン注射を続けることができなくなってしまったといいます。

「今はどこからも援助がありません。仕事ができるようになった17歳から、自分で貯金をしてきましたが、緊急の出費が重なり、稼いだ分は全て持っていかれてしまいました」

「性別適合手術を受ける場合、その人の状況を考慮してほしい」とアドニスさんは話します。

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「当事者が強く希望しているにもかかわらず、経済的な理由により手術を受けることのできないケースがたくさんあります」

「手術が必要な理由は、トランスジェンダーの人たちの心の健康のためだけではありません。手術の有無が、生死を分けることもあるのです」

「例に出すと、2021年はトランスジェンダーをターゲットにした殺人事件が多発した年でもあります。私自身も、目立たない仕事着を着ているにもかかわらず、職場でアウティングされ、身の危険を感じたことがあります」

「しかし、トランスジェンダーの人たちの状況は、人それぞれ違います」

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「早い段階から必要なものを手に入れられる、恵まれたトランスの人もいます。そして社会には、そんな恵まれたトランスの人たちのイメージが、『トランスジェンダーの全ての人の経験』として強く根付いています」

「そんな彼らの喜びが社会に根付いているのを嬉しくを思う反面、手術やホルモン注射を受けることのできないトランスの苦悩は、表だって話されていないのが現状です」とアドニスさんは締めくくりました。

アドニスさんのTIkTokは「grungepuppi」で検索🔍

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳：オリファント・ジャズミン