神経内科医を目指す医学生が脳腫瘍に「医者になったら、もっと深いレベルで患者に共感できる」
脳の前頭葉に2.8cmの腫瘍があると告げらたある医学生。患者の立場となった彼女は、自らの経験を活かし、神経内科医になることを強く志しています。
アメリカ・ハワード大学で神経内科医を目指す医学生、シアンドラ・マドゥさん(29)は研修の最中、舌が口の上側に触れないことに気づきました。

Theandra Madu
2020年10月から12月にかけて、このように身体が麻痺する症状が、毎週から毎日、起こるようになりました。
神経内科医に診断してもらったところ、シアンドラさんの脳の前頭葉に2.8cmの腫瘍があることがわかりました。
未来の神経内科医が脳腫瘍を患ったのです。
「自分の診断結果を知った2021年1月11日の夜のことは、決して忘れません」。シアンドラさんはBuzzFeedにこう話しました。

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「私はジムを出て、家に帰るところでした」
「携帯電話が鳴ったとたん、すぐにこの電話が人生を変えることになると感づきました」
「何かが私に『気を引き締めろ』と言っていました」
「電話は神経内科医からでした。彼は『あなたのスキャンで何かが見つかった』と言い、私はすぐに車を停めました」
「さらに、放射線科医から、私の前頭葉の左側にグリオーマ(神経膠腫)と思われるものを発見したと言われました」

Theandra Madu
「症状の原因は、脳腫瘍だったのです。驚きました」
「ずっと発作が続いていたのに、まさかそんな重大なことが原因だとは思いませんでした」
知らせを受けたシアンドラさんは、両親に電話をかけました。怖くて車の中で泣いていた彼女に両親は、「最後にはすべてがうまくいくから」と励ましの言葉をかけてくれたそうです。
「両親は迷うことなく、私は大丈夫だと言ってくれました。自分では見えなかった希望を与えてくれました。私の両親は素晴らしい人です。神に感謝しています」
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両親からのサポートを得たシアンドラさんは、病気の治癒に協力してくれる神経内科医と脳外科医を受診しました。
「診断結果を知ったとき、私はまだ勉強の真っ最中でした。精神科のローテーション研修が終わりかけているときに、人生の決断をしたのです」
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「私の通院と、状況の深刻さを知っていたのは、学部長と担当医だけでした」
「私は医学部の3年生で、研修で優秀な成績を収めようと頑張っていたのに、脳腫瘍ができてしまいました」
シアンドラさんは医学の道を志したときから、神経内科医として脳の研究に携わりたいと考えていたそうです。現在は8週間の休暇を取り、自分が治療したいと思っていた患者の立場になりました。
2021年2月8日、シアンドラさんの腫瘍は開頭手術(一時的に頭蓋骨の一部を取り除く手術)で摘出されました。手術の間、麻酔は効いていましたが意識はあったといいます。
取材日(3月8日)、「今日で手術から1カ月が経ちました」とシアンドラさんは興奮気味に話しました。「今のところ、これ以上の化学療法、放射線療法は必要ありません。私は本当に恵まれています」

Theandra Madu
麻痺症状から、神経系の医療チームを選び、医師に命を預けるという一連のプロセスを経てきたシアンドラさん。自分の経験が、新たな理解と共感をもって患者に接することにつながると考えています。
「神経内科医になったら、もっと深いレベルで患者さんに共感できると思います」
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「脳と神経系の複雑さは、驚くべきものです。脳は体をコントロールし、体の門番でもあります」
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「神経学という分野は、非常に多くの側面を持っています」
「脳卒中から、運動障害、認知、頭痛、さらには睡眠に至るまで、神経学は幅広いです」
「私自身の経験が、この分野で仕事をしたいという気持ちをさらに強めてくれました」
「脳腫瘍があっても、私は自分の運命から遠ざかることはありません」
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この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:アシュウェル英玲奈