「車いすは命と同じ」航空会社に預けた「大切な脚」が破損した女性、涙ながらに訴える

    コロナ前、アメリカでは1日29件、空の旅での車いすや電動カートの破損・紛失が起きていた。「飛行機で移動するのはいつも恐怖」「スタッフに十分な研修やサポートを」と女性は語る。

    写真に写っているのは、ガブリエル・ドフィーブルさん(32) と友人たち。ニューヨークからアリゾナ州フェニックスへ向かう前の1コマだ。

    ショックを受けるガブリエルさんの様子をおさめた動画は大きな反響を呼び、再生回数は170万回近くに上っている。

    ※動画が表示されない場合はリンクから。

    横断性脊髄炎という病をもつガブリエルさんはこれまで、同じ車いすユーザーの仲間たちが航空会社に車いすを破損された体験談を聞いてきた。そのため、旅行は楽しみであると同時に、不安もあったという。

    想定していた最悪の事態が現実になったのは、飛行機を降りて車いすを目の前にしたときだった。預ける前は問題なく使えていた車いすに異変があった。

    「曲がっていて、スポークが壊れていました。車輪がかなりゆがんで、動かせない状態でした。目の前が真っ暗になりました」

    「そのまま引き返してニューヨークへ戻って、修理か交換のために何週間も何ケ月も待たなきゃいけないんだろうな、と」

    ガブリエルさんの車いすは特注だ。脚、腰、腕のサイズを測り、フレームが身体にぴったり合うように作られている。クッションもお尻にフィットするよう、オーダーメイドした。

    ガブリエルさんは片方の手が動かせず、もう片方も機能が限られているため、車輪も電動モーターで動かせる高度な仕様になっている。

    動画を撮影したのは、同行していた友人の一人、 ブリー・スケイレスさんだ。

    デルタ航空の職員がやってきたとき、ブリーさんはカメラに収めておかなければ、と思ったという。

    米運輸省がまとめた航空旅行消費者報告書によると、新型コロナウイルスのパンデミックにより移動が制限される前の2019年、移動を支援する車いすや電動カートが損失、損傷、盗難、到着遅延にあった事例は1万548件に上る。

    BuzzFeedが本件についてデルタ航空に取材したところ、広報担当のモーガン・デュラン氏は次のように回答を寄せた。

    ガブリエルさんは次のように話す。「デルタ側はかなり謝罪してくれていて、両車輪の交換費用の負担を申し出てくれています」

    自分の体験が拡散したことが変化のきっかけになってほしい、とガブリエルさんは語る。

    「(車いすなど)移動支援機器は私たちにとって身体の延長として機能しているのですが、そのことに対する理解が不足している気がします」

    ガブリエルさんは最終的にフェニックスで車いすを借り、壊れた車いすの代わりに使った。しかし、帰宅してからの生活には不便が続いているという。

    一連の経過についてはガブリエルさんのインスタグラムでも紹介されている。ブリーさんのTikTokはこちら 。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan