「超過酷だと聞いたことあるけど、実際どんな感じ…?」
漠然と“ツラそう”なイメージのある「かに漁」の実情を、スシローの「かに仕入れ担当」である空龍太郎(そら りゅうたろう)さんに聞きました。
空さんはスシロー入社以前に水産商社で働いており、契約を交わしたロシアのかに漁船に乗って、極寒のオホーツク海で漁をした経験があります。
【1】船から降りられなくてツラい
私が経験したかに漁の期間は、1度目が4カ月、2度目が3カ月でした。漁の間は船に乗りっぱなしです。漁船には約30人が乗り込んでいますが、みんなロシア人で、日本人は私ひとり。通訳はいません。テレビは観られず、娯楽といえばラジオくらいですが、ロシア語なので何もわかりませんでした。
【2】漁を始めるまでもツラい
かにを獲っていたのは、オホーツク海の北方にあるマガダン海域。韓国の釜山(プサン)から出船してマガダン海域にたどり着くまでに約2週間かかります。
その2週間は特にすることがありません。朝起きて、食べて寝て、食べて寝て……。仕事の準備をするといっても、2週間毎日やることがあるわけではないので、暇すぎて逆にしんどかったです。
【3】体調管理がツラい
風邪を引くことのないよう、体調管理を徹底していました。
もしも命に関わる病気やケガをすれば、マガダン海域から最も近いカムチャッカ半島にある都市(ペトロパブロフスク・カムチャツキー)の病院に向かったと思います。
軽い病気であれば船にある薬をもらえるのですが、渡されても飲みませんでした。なんか恐かったので。
【4】食事が毎日同じでツラい
漁船には調理師も乗っていて、ピロシキなどを作ってくれました。
しかし食材は、冷凍肉や日持ちのする玉ねぎやジャガイモで、毎日同じものばかり。私は週に一回、カップラーメンやインスタントカレーを食べていました。食事が合わない人にはキツいと思います。
検品作業でかにも食べていましたが、4カ月も続けるとさすがに飽きましたね。
【5】作業時間が長くてツラい
漁船での私の仕事は、ロシアの漁師さんたちに「ずわい蟹」を獲ってもらい、そのまま船内の工場で冷凍製品にしてもらうこと。かにの身の詰まり方や鮮度感の見方を、ロシア人に指南していました。
朝6時にベルが鳴り、かにの水揚げが始まります。海中に設置されたカゴにかにが山盛りに入っていて、それを漁師さんが引き揚げます。そして、獲ったかにを船内の工場に持ち込み、冷凍製品としての生産を始めます。
詳しい業務内容は話せないのですが、非常に長い時間、作業を続けることが多かったです。当然、オホーツク海上にいるので身体も冷えます。足には靴下を三重に履いて、さらにホッカイロを貼っていました。凍傷になるほどではありませんでしたが、とても過酷な環境でした。
【6】最高のかにを食べてもらいたすぎてツラい
私が漁を経験した10年前と現在とで、かに漁のやり方は変わっていると思います。でも昔も今も、飲食店やスーパーにおいしいかにが並んでいるのは、こうした過酷な環境下での漁師さんたちの頑張りがあるからこそ。それを皆さんに知っていただきたいです。
私が現在仕入れを担当しているスシローでは、当時の漁経験を踏まえて、私が様々なメーカーのかにを直接チェックしています。自信を持って仕入れていますので、おいしいかにをおいしく手軽に食べたい方はぜひご来店ください。
【最後に】空さんが漁経験を活かして仕入れた「かに」が楽しめる、スシロー「気合いのかに祭」開催中です!
空さんから皆さまへ、気合いの一言。
「かには価格高騰していて、正直、仕入れの立場からすると厳しい状況です。でもその中で、たくさんの種類のかにを、安く、おいしく食べてもらえるように仕入れました。かにの色目、脚の長さ、鮮度感をすべて私が検品していますので、きっとご満足いただけるはずです」(スシロー「かに仕入れ担当」 空龍太郎さん)
※期間限定商品は無くなり次第終了となります。