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過労死ラインを超えた教師たち。背景に「過剰要求」? 親たちには何ができるのか

部活動、授業準備、採点、添削、事務作業......1日11時間以上、学校にいる先生も。

教員の過半数が「過労死ライン」を超えるような働き方をしている。長時間労働で疲れきって、過労で倒れる先生もいる。

こうした状況を学校の「外」から解決できないかを考えるシンポジウム「保護者の立場から考える! 教員の長時間労働」が8月18日夜、東京都内で開かれた。

NPO法人コヂカラ・ニッポンが主催。教育財源の倍増などを訴える「ニッポン教育応援団」などが共催し、教育関係者や保護者らが参加した。

「過労死ライン」を超え、持ち帰り仕事も

文部科学省の学校業務改善アドバイザーを務める学校マネジメントコンサルタントの妹尾昌俊さんが、「教員勤務実態調査」(2016年)から、長時間労働の実態を紹介。

それによると、小学校教諭の33.5%、中学校教諭の57.7%が、過労死ラインに相当する週60時間以上の勤務をしていた。

自宅に持ち帰る仕事(平均して週に約5時間)も含むと、この割合はさらに上がり、小学校教員で57.8%、中学校教諭で74.1%になるという。

他業種よりブラックな学校の先生

またこの割合は、長時間労働が問題視されている飲食業や運輸業と比べても、高くなっている。

大手広告代理店・電通で過労自殺をした新入社員について、労働基準監督署が認定した時間外労働は月105時間。代理人弁護士が入退館記録から算出したものでは、月130時間にのぼったこともあるという。

「残業が月130時間の教員はザラにいます。熱血教師と呼ばれる人たちです。教壇に立つという職業柄、周りに弱みを見せづらい特性もあります」と妹尾さん。

週60時間以上働いている教員の特徴としては、授業の準備(10〜11時間)、課題の採点・添削(5〜6時間)、事務・分掌業務(6〜8時間)、部活動(9〜13時間)などに時間をかけているという。

「熱血教師に対して、保護者や同僚がよかれと思って褒めたり感謝したりすることが、先生にさらに無理をさせてしまうケースもあります。どんなにいい先生でも、倒れてしまっては元も子もありません」

保護者の「過剰な要求」とは

シンポジウムでは、長時間労働は教員にとって、健康上の問題に加え、「能力開発の機会損失になっている」と指摘。子どもの教育にも影響するため、保護者にできることとして、教員の負担を軽減することを挙げた。

その一つが、保護者から学校への「過剰な要求」の対応だ。過剰な要求というと「モンスター・ペアレント」がイメージされやすいが、実情はもっと複雑だという。

学校と地域や企業をつなぐ活動をしているNPO法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長の生重幸恵(いくしげ・ゆきえ)さんは、親も先生も追い詰められていると指摘。

「親自身が孤立していたり、障害やコミュニケーションの問題を抱えていることが多いのです。学校もチームで対応する体制ができておらず、一人の先生がずっと同じ親と向き合わなければならず、限界を感じていきます」

前出の妹尾さんも、学校が教育だけでなく「福祉」の場になっているといい、こう問いかけた。

「学校は子どもの貧困対策でも一つの拠点となっており、情報をキャッチする点では優れていますが、すべてに対応しようとすると多忙になる。教員に無償で重い役割を負わせていることが、本当に子どものためになるでしょうか」

学校のために何ができるか

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

シンポジウムに登壇したのは、右から、ファザーリング・ジャパン ファウンダーの安藤哲也さん、東京インターナショナルスクール理事長の坪谷ニュウエル郁子さん、生重さん、妹尾さん、白河さん。コーディネーターはコヂカラ・ニッポン代表の川島高之さん。

保護者・地域・企業が、学校のためにできることはいろいろありそうだ、と登壇者からはアイデアが尽きなかった。一方で、その役割を担うはずのPTAは、親が敬遠したり仕事が形骸化したりしているところも多い。個人情報保護法により子どもの情報を共有できないというハードルもある。

働き方改革に詳しいジャーナリストの白河桃子さんは、「業務の棚卸しと、労働時間の把握が必要。先生の労働時間の短縮にもっとも効果があったのは、留守番電話の導入だった、という例もあります」と述べた。

学校も企業と同じように、仕事のプロセスを洗い出す、教員以外の事務職を雇用する、などの業務改善が必要で、こうしたノウハウを提供することができるはず、とシンポジウムは締めくくられた。

教員の長時間労働を是正する署名活動、教育財源を倍増させる署名活動は引き続き、実施している。

BuzzFeed Newsは、学校と保護者の関係について、「#PTAやめたの私だ」「給食に救われる子どもたち」などの記事をまとめています。

サムネイル:妹尾昌俊さん提供


Akiko Kobayashiに連絡する メールアドレス:akiko.kobayashi@buzzfeed.com.

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